クレモナ 3月10日 

<2020年、3月10日(火)のクレモナの状況です>【情報訂正しました】

先週、3月5日(木)の時点では、クレモナ市への出入りは自由でしたが、3月8日(日)の首相令により、クレモナを含むロンバルディア州全体と、他地域14県(4州)で移動が制限されました。
さらに、本日付けの首相令により、移動制限はイタリア全土に拡大されました。

これにより、イタリアの全ての地域で、町を超えての個人的な移動は、必要な場合を除いてできなくなりました。

日本では、「封鎖」や「隔離」という言葉で報道されているようですが、現実的には、他の町に移動できないというだけで、それぞれの町の中での行動は、いろいろな制約はあるものの、個人の良識に任せられていますので、街の雰囲気としては、封鎖や隔離という言葉とは違う状況のように感じます。

8日の日曜日は、とても穏やかな気候だったこともあり、公園などで散歩を楽しむ大勢の市民で賑わったそうです。

これを、落ち着いた好ましい対応と見るか、少しのんびりし過ぎていると見るかで、今後への不安感も変わってくる気がします。
私の印象では、もう少し慎重に行動した方が良いのではと、この数日の感染者の増加を見ると思ってしまいますが。

かといって、必要以上に警戒してパニックになるのも怖いですし、なかなか難しい状況になってきたというのが正直なところです。

ただ、スーパーに行けば、食料品のほか、必要なものは十分に手に入りますので(マスクはやはり売り切れですが)、その点は、安心材料というか、イタリアの頼もしさに救われている感じです。

いずれにしても、今週が一つの節目になるという気がしていますので、様子を見守りたいと思っております。

日本の情報も、常に伝わってきております。
物不足なども重なり、不安な状況と思いますが、皆様もお気をつけてお過ごしくださいませ。

庭の桜の木は、まだまだ開花は先のようですが、栄養を十分に蓄えて、エネルギーに満ちているように見えています。
イタリアも日本も、桜が満開になるころには、事態が収まっていることを、心から祈っております。


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# by violino45 | 2020-03-10 06:05 | 日記 | Comments(4)

クレモナの状況と、サン・ミケーレ教会、製作記など。

<2020年、3月5日現在のクレモナの状況です>

前回の投稿から一週間経過しました。

最初の感染者が見つかった直後の対応は素早かったイタリアですが、その後は一向に収束の方向に向かわず、感染者も死亡者もこの一週間で約10倍になってしまいました。
しかも、その半分以上が、クレモナが位置するロンバルディア州でのこととなると、さすがに、心穏やかに過ごすことは難しくなってきますが、クレモナ市はまだレッドゾーンに指定されていないことが幸いしてか、街を歩いていても、それほど混乱した雰囲気ではないと思います。

ですが、直接影響を受けている職種に関しては、すでに多くのマイナスの影響が発生していますので、なかなか収束の目途が立たない状況に対して、不満の声が上がっているのも事実です。

イタリア全土の学校は3月15日までの休校が決まりましたし、もし、次の一週間も同じペースで状況が進んで行った場合、なかなか厳しい状況になるのではないかと予測せざるを得ないのが正直なところです。

日本もまだまだ不安な状況と思いますが、イタリアほど急激に進行していないように見受けられますね。
いずれにしても、引き続き、お気をつけてお過ごしくださいませ。

息が詰まる話題ばかりでは辛いので、今日は、ご近所にある、サン・ミケーレ教会をご紹介します。

自宅から徒歩3分程度の、坂を少し上ったところにある小さな教会です。


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我が家も含めて、近隣の住人は、この時計台から30分毎に鳴らされる鐘の音で、生活のリズムを感じています。

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記録によると、7世紀ごろに建造されて、12世紀ごろに改装された、歴史のある建築物です。


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クレモナの日本人製作家の大先輩である、石井高さんが、1981年にイタリア人の奥様ジュゼッピーナさんと結婚式を挙げられたのがこの教会でした。

そして、2015年に石井さんが亡くなられた時のお葬式も、この、サン・ミケーレ教会でした。

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近隣のクレモナ市民の生活に密着して、何百年もの間、喜びも悲しみもすべて見守ってきた教会です。


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さて、私自身は、普段と変わらず、楽器製作の日々です。

バスバーを貼り付けて、所定の高さまで削ります。


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すべてが整ったら、ラベルを貼って、焼き印を押して、ボディを閉じます。
毎回、やり残したことがないかどうか、何度も確認しますが、いつも、後ろ髪を引かれます。


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このラベルを使い始めてから、18年が過ぎました。


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焼き印は、もう少し後の時期から押すようになりました。


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次回の製作記は、おそらく、ホワイトヴァイオリンになる予定です。
毎回、ダイジェストになってしまい、申し訳ありません。。

# by violino45 | 2020-03-05 08:30 | 製作記 | Comments(2)

クレモナ 2月27日

<2020年、2月27日現在のクレモナの状況です>

イタリアの状況が、日本でも報道されていると伺いました。
日本も大変な状況の中にもかかわらず、クレモナをご心配いただくメールを多くいただきましたので、現時点での状況をお伝えいたします。

ただ、具体的な用語やデータは、検索に引っ掛かって混乱を招く恐れがありますので、個人的なご報告だけにさせていただきます。

クレモナは、問題となっているロンバルディア州に位置しますが、今のところ、街への出入り制限などはなく、スーパーでは普通に買い物もできますし、街を歩いていても、大きな混乱を感じることはありません。

先週末に、近隣の町で次々に事例が見つかった時は、一時的に、食料品の在庫が品薄になりましたが、すぐに補充されたようです。
正直なところ、いきなりピンポイントで地元に来たものですから、私も少し動揺しましたし、スーパーで買い溜め現象が起きたのはやむを得ない状況だったと思います。
ですが、すぐに物流も復帰したこともあり、大きな騒動にならずに済んで、今のところ安堵しています。

ただ、学校はすべて休校ですし、人が集まるイベントは中止、ヴァイオリン博物館も一時的に休館となっております。

このまま収束することを祈っていますが、近隣の当該地区のような状況になる可能性もあるので、町全体が、平穏と不安が入り混じった状況にあるのは事実だと思います。

また状況など、お伝えできればと思っております。
日本の皆さまも、お気をつけてお過ごしくださいませ。


写真は、2月27日、快晴のクレモナです。

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# by violino45 | 2020-02-27 18:17 | 日記 | Comments(0)

大聖堂の絵画と、次回作ヴァイオリン

クレモナの中心地に用事があると、たびたび、大聖堂(Duomo)の前を通るのですが、タイミングによっては、扉が開いていることがあり、中を見学することができます。


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私はクリスチャンではないのですが、大聖堂内の荘厳な雰囲気に包まれると、やはり神妙な心持になります。
1107年に建築が始まり、1491年に完成したと言われている大聖堂、アマティやストラディバリ、ガルネリも礼拝に訪れたと思うと、ヴァイオリン製作者として、この地で生活することの重みをあらためて感じます。


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堂内を少し進んでから振り返ると、大きな丸いステンドグラスに目がくらみながら、その下に位置するフレスコ画に目を奪われます。
ジョバンニ・アントニオ・デ・サッキス、別名ポルデノーネが1520年から1521年にかけて描いたフレスコ画で、イエス・キリストの処刑シーンをモチーフにした、ポルデノーネの代表作の一つとされています。


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詳しい画像はこちらです。
中央の人物がとても印象的な、ダイナミックな映像ですね。

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実は、自宅の壁にも、同じ絵が飾ってあります。
昨年のクリスマスに、お向かいに住んでいるイタリア人のご夫婦が、私たちにプレゼントしてくれました。
クレモナに来て20年近く、同じアパートで暮らすイタリア人はみな親切で、突然やってきた日本人の私たちに温かく接していただけたことが、不慣れな土地で頑張ってこれた一つの要因だったと、あらためて思います。


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さて、次のヴァイオリンの製作も進んでおります。
このヴァイオリンから、荒削り用の丸ノミを新調しました。
実は、この作業は腰や背中、腕の負担が大きくて、年々、厳しくなってきていたのですが、友人の製作家のAさんに相談したところ、彼が自作した丸ノミを譲っていただけることになったのでした。
持ち手が少し長くなり、また、握り具合も絶妙で、体にかかる負担がかなり軽くなり、傷みや疲れが少なくなりました。
Aさんには本当に感謝しております。

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ミニカンナでのアーチ削りは、いつもどおりです。
低い位置からの光でできる影を頼りに、最適な膨らみを目指して削っていきます。


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表板は、エフを描きながら、完成したイメージを想定しながら、整えていきます。


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スクレーパーで仕上げて、アーチの完成です。
トラ杢が浮き立って、楽器としての美しさを初めて実感できる瞬間です。


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# by violino45 | 2020-02-14 07:31 | 製作記 | Comments(2)

最新作ヴァイオリンのご紹介

気が付けば2月も第二週、今年も時間の流れに追い付いていけない状況ですが、最新作のヴァイオリンが完成しましたので、写真にてご紹介させていただきます。

前回の記事でご紹介したホワイトヴァイオリンにニスを塗り、楽器として誕生しました。
ストラディバリ、1705年モデルです。
このモデルをラザーリ師匠からいただいて15年間、メインのモデルとして追及してきましたが、外観的にも、音色的にも、まだまだ奥が深く感じています。

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少し細目のトラ杢、繊細ですが、変化もある模様の裏板です。


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アマティ風のエフも、15年間、いろいろ試行錯誤してきましたが、時には明るい表情に見え、時には少し寂し気に見えたりもする、魅力的なモデルだと感じています。
これからも、長い付き合いになると思います。


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今回は、どんな表情でしょうか?


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コーナー部分の造形も、この15年間、悩みながらも試行錯誤してきたところです。


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ウズマキは、数年前から黄金期のストラドの雰囲気を目指していますが、15年前の楽器と見比べても、それほど大きく違っているわけではないようにも思えてきます。
モデルを変えても、自分が目指すスタイルや、内面性が自然に出てきてしまうものかもしれません。


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この楽器も、無事にお客様のもとに届けられ、喜んでいただけたようです。

末永く、音楽を楽しんでいただければ、製作者としてとても嬉しいです。


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# by violino45 | 2020-02-07 15:55 | 製作記 | Comments(2)