ヴァイオリン製作記

ビオラもひと段落したので、今製作中のヴァイオリンの製作風景をご紹介します。
チェコのコンクールに行く直前から作り始めていたこの楽器、ストラディバリモデルですが、今まで作っていた楽器とは少し型を変えてみました。
私の師匠、ニコラ・ラザーリ氏は、基本的に3つのモデルを使っているのですが、いままではその内の一つの型、ストラドモデルの1703年型というのを使っていました。
チェコのコンクールに出した楽器もこの型だったのですが、一通りの完成を見たということと、一つの型ばかりを使い続けていると、楽器の形に対する感性が鈍ってくることもあり、新しい型を試してみることにしました。
これは、同じストラドなのですが、1705年のモデルで、全体的に少しどっしりとしている印象です。
いずれにしても、二つとも、大好きな形なので、これからは両方作っていく予定です。

さて、楽器、今はパーフリングを入れているところです。
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イタリア語では、フィレットといいます。(Filetto)
なぜフィレット? ヒレ肉のことや、魚の切り身の事もフィレットといいますが。
ふち飾りという意味もあるようです。
この作業、繊細なくせに、結構力も必要で、目も疲れるし、無理な体勢での作業もあいまって、終わった後はいつもぐったりです。
失敗した時などは、立ち直れません。
今回は、上手くいきました。ホッと一息。
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# by violino45 | 2005-07-08 04:29 | 製作記 | Comments(2)

ビオラ製作記 ニス その後

日本のバイオリン展示会参加と、チェコのコンクール参加であわただしい状況でしたが、ビオラは着々と色が付いてきています。
完成時にはもう少し、濃くなると思います。
この時点で、すでに30回以上塗り重ねています。
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でも、ただ塗り重ねるだけではなくて、途中で何度も色むらを取るためにリタッチをします。
リタッチはいろいろなサイズの筆を使って、根気良く何度も繰り返します。
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リタッチをしている途中、自分がメイクアップアーチストになったような錯覚に陥ります。
ただ、ムラを取るだけではなくて、彫りの深さを強調するためにシャドウをつけたり、特にエフ字孔の回りや、パーフリングのあたりなどは、微妙なグラデーションをつけて立体感を出します。

完成した楽器を、マエストロ・モラッシーに見せると、いつも、「もっとムラを残せ」と叱られます。
きれいにムラ無く塗りすぎると、スプレー塗りの工場製の楽器に見えるそうで、手工楽器はもっと個性を主張しなければならないというわけです。
自分では、ムラを残していたつもりだったのですが、なかなか難しいですね、美しく、しかも手作りの味わいが残る楽器というのは。

# by violino45 | 2005-07-07 06:06 | 製作記 | Comments(0)

コンクール参戦速報1

仕上げたばかりのバイオリンを持って、チェコ共和国のコンクールに行って来ました。
結果を先に言いますと、4位入賞でした。
初めて参加したコンクールとしては、上出来だったと思います。
ちなみに優勝は、同じくクレモナから参加した日本人、高橋明さんです。おめでとうございます。

実は、私の楽器はとても高い評価を頂いて、最終日まではトップに並んでいたのです。
でも、最終日の音の審査での辛口の採点が響き、結果的に4位という成績でした。
楽器の完成が大幅に遅れて、音の最終調整をじっくりする時間が取れなかったことと、やはりニス自体が充分に乾いていなかった事が楽器の音に影響したのだと思います。
これが今回の反省点でした。


コンクールが開催されたのは、、ルビーというきれいな名前の可愛い小さな田舎町でした。
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クレモナと違って、坂が多い街ですが、とてもきれいで静かな町です。

地元のチェコとヨーロッパ各国から精鋭があつまり、レベルの高いコンクールとなりました。
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審査員は地元のチェコから二人、ドイツから一人、そしてクレモナからもシメオネ・モラッシーさんが参加しました。

チェコまで片道10時間、車での移動で、疲れが心配でしたが、元気に参加してきました。
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コンクールの様子は、速報の2をご覧下さい。

# by violino45 | 2005-06-28 07:22 | 日記 | Comments(0)

コンクール参戦速報2

出品した楽器を審査員が審査している間、参加者は実技試験をしました。
一つ目の課題は、楽器のアウトラインとエフ字孔をを小刀だけで切り抜くというものです。
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普段は、ヤスリも使う仕事なので、慣れない作業で大変でした。
でも、小刀を上手く使えるかどうかを審査するには最適な試験であることは確かです。
ちなみに、地元の製作家に、普段も小刀だけで作っているのかと聞いたら、そんなことはなく、ヤスリを使っているそうです。
写真の中央の奥、オレンジ色のポロシャツが私、菊田です。
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二つ目の課題は、バイオリンの魂柱を25分でセットするというものでした。
25分という時間は微妙で、少しでも失敗したら取り返しがつかない状況です。
一秒でもオーバーしたら0点で、傾いていたり、隙間があったら大幅に原点なので、丁寧に、しかも急いで仕上げるという、かなりハードな試験でした。
皆、すごく緊張していました。
しかも、4人ずつ同時に作業するので、まわりで審査員や他の参加者が見つめているという状況は、さらにプレッシャーを与えますよね。
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写真は、最初の4人が作業しているところですが、みな、緊張して手が震えてました。
私は、3番目のグループだったので、ギャラリーも少し減って良かったですが、やはりものすごく緊張しました。
でも、なんとか時間内にセットすることができて、ホッとしました。
審査の結果は、もちろん完璧でした。

# by violino45 | 2005-06-28 07:20 | 日記 | Comments(0)

コンクール参戦速報3

最終日の音響試験です。
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プロのヴァイオリニストが、参加者の楽器を順番に弾いていきます。
私の楽器、前日までの技術審査では好成績だったので、音の試験には期待がかかったのですが、やはり準備不足は正直に音になって現れました。
やはり、最低でも一ヶ月前には完成して、弾き込んで、完璧に調整してから出品すべきでしたが、そうできなかったのはやはり私の経験不足のせいですね。
弦のマッチングにも問題があったようです。
でも、すごく良い経験になりました。

審査員も真剣です。
左から3人目がシメオネ・モラッシーさんです。
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出番を待つ楽器達です。どんな音を出してくれるのでしょうか?
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そんなわけで、コンクールも終わり、速報1で最初にお伝えしたように、私は総合で4位でした。
もう少し上を狙えたという声もありましたが、やはり結果が全てですし、満足しています。
それよりも、ある意味極限状態でセットした魂柱や、ナイフだけで仕上げたエフ字孔など、とても充実して過ごせたコンクールで、得られた経験はかけがえのないものとなりました。
チェコの人たちの素朴な優しさにも心打たれた4日間でした。

実は、まだ手元に届いていない膨大な量の写真があるので、これからも少しずつ紹介したいと思いますのでお楽しみに。
 
長時間お付き合いありがとうございました。

# by violino45 | 2005-06-28 07:18 | 製作記 | Comments(6)