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ストラディバリ、1705年モデル  動画と写真でご紹介

クレモナも、ようやく暖かくなり、中庭の桜も満開となりました。


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日本のソメイヨシノとは違って、天に天にと向かって伸びていくような、力強い枝振りです。

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しばらくすると、葉桜になり、そして、美味しそうなサクランボが実りますが、毎年、見るだけです。。

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さて、タイトルに書きましたように、以前、ホワイトでご紹介していました、ストラディバリ、1705年モデルが完成しました。
昨年までは、楽器が完成すると、製作仲間の輪野光星さんに動画撮影をお願いしておりましたが、いろいろな都合で、継続することが難しくなってしまいました。
輪野さんには、今まで素晴らしい演奏でコラボしていただき、とても感謝しております、ありがとうございました。


地道に続けてきた動画撮影なので、これからどうしようか思案しましたが、クレモナで演奏活動をされているヴァイオリニストの横山令奈(れな)さんに試奏をお願いできないか尋ねてみたところ、快く引き受けていただきましたので、先日、動画の撮影を行いました。

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横山令奈さんは、2006年にイタリアに留学され、2011年にはクレモナのモンテヴェルディ音楽院を審査員一致の満点で卒業された後、イタリアを中心に活動、ソリストとして数々のオーケストラやアンサンブルとの共演を実現する中、数多くの国際コンクールにて優勝されるなど、輝かしい経歴をお持ちです。
この場では書ききれませんので、横山さんの公式ブログのプロフィールのページをぜひご覧ください。

また、ピアノ、チェロとのトリオでの演奏活動「トリオカノン」もされています。
トリオカノンの公式ページはこちらです。
https://www.triokanon.it

多忙な中、演奏活動をされている横山さんですが、2013年からは、クレモナのヴァイオリン博物館にて、展示楽器の公開演奏者を務められています。
つまり、博物館のホールでは、定期的にストラディバリなどの名器を紹介するリサイタルが開催されていますが、現在、公開演奏者の役職を務められているのは3名の演奏家で、横山さんはその一人なのです。
横山さんの演奏の芸術性、そして楽器の個性を引き出す演奏技術が、高く評価されていることの証明だと思います。

このような役職の方に、新作ヴァイオリンの試奏をお願いすることは、なかなか畏れ多く、勇気がいることではありましたが、伺うところによると、横山さんご自身もクレモナの新作ヴァイオリンを愛用されているとのことですし、私自身、楽器を試奏いただいてご意見を伺うだけでも大変勉強になることですので、思い切ってお願いしたというわけです。

そういうわけで、無事に録音も終了しましたので、動画をご紹介させていただきます。
曲は、バッハのパルティータ2番、ブラームスのハンガリー舞曲5番、タイスの瞑想曲、それぞれ冒頭部分を弾いていただきました。


横山さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。
これからも、継続して試奏をお願いできればと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

ちなみに、この日は、録音の直後に、ヴァイオリン博物館にてストラディバリの試奏コンサートがあるとのことで、急いで移動されました^^。

横山さん、4月には帰国されて、26日と27日には大阪にて、トリオカノンとして演奏会に出演されるとのことです。

詳しくは、横山さんの妹の亜美さん(日本でヴァイオリニストとして活動されています)のブログにてご紹介されていますので、ぜひご覧ください。
https://ameblo.jp/ami-yokoyama-violino/entry-12447151700.html



さて、今回試奏いただきましたヴァイオリンを、写真でご紹介させていただきます。

私のメインモデルとなっております、A・ストラディバリ、1705年のモデルです。

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裏板は、少しだけ細かい、そして変化のあるトラ杢の1枚板を使用しました。

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エフは、この1705モデルと相性の良い、アマティ的な雰囲気を持ったデザインです。

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裏板のコーナー部分です、このモデルの特長である、伸びやかな造形を目指しています。

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ウズマキは、この二年ほど、継続して使用しています、黄金期のストラディバリのモデルで製作しました。
最近は慣れてきましたが、毎回、いろいろ悩むのは、どのモデルでも同じです。

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正面からの造形です。

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斜めからも。
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この楽器も、間もなく手元を離れ、お客様の元に旅立っていきます。

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お客様の元で、どのような音色で鳴ってくれるのか、製作者としては毎回心配しつつ、もちろん、とても嬉しい気持ちで送り出します。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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by violino45 | 2019-03-31 06:38 | 製作記 | Comments(4)

クレモネーゼ 1715モデル ホワイトで完成

A.ストラディバリ 1715年 クレモネーゼ・モデルのヴァイオリンがホワイトで完成しましたので、写真にてご紹介いたします。
途中、私のメインモデルである、1705年との違いについて、少し写真にてご説明させていただきます。
(すごくマニアック&ディープな内容になっております^^)

まずは、楽器全体の写真です。 表側から。


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そして、裏側です。

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楽器のシルエットとして、ボディだけの写真をご覧ください。

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比較として、いつもの1705年のボディです。

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なかなか違いは分かりづらいと思いますが、全体の印象としては、いつもの1705年のほうが、ボディ中央部がくびれていて、プロポーションの差が大きいと思います。
センター部分の、特に下側のコーナー部分に着目すると、その違いを感じていただけるのではと思います。

ふさわしい例えかどうかは分かりませんが、クレモネーゼ1715モデルは、ストラドの黄金期の代表モデルらしく、押し出し感が強く男性的なイメージ、対して1705年モデルのほうは、少しアマティ的な繊細さが残った、女性的なイメージとも言えるかと思います。

今度は、表板での比較となります。
まずは、クレモネーゼ1715モデルです。

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そして、1705年モデルの表板です。

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全体的なシルエットの違いは、裏板で説明したとおりですが、それとともに、エフのデザインの違いが、楽器の表情、印象の違いとなっています。

エフの部分を拡大した写真です。

クレモネーゼモデル

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そして、いつもの、1705年モデルです。


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これまた、微妙な違いなのですが、クレモネーゼモデルのほうがエフの縦方向の動きが強く、直線的。 対して1705年モデルのほうは、横方向の広がり感が強く、曲線的という違いがあります。
いつもの1705年モデルのエフは、ラザーリ師匠から譲り受けたモデルで、イタリア語で「Amatizzato」つまり、アマティ的なエフと呼ばれているモデルです。
1705年の楽器のシルエットの女性的なイメージによくマッチする造形で、特に、コーナー部分のデザインとのコンビネーションが絶妙と思います。

すみません、やはり、非常にマニアックで、観念的な説明になってしまいました。
楽器の音にどの程度影響があるかは分からない部分ですが、製作家同士の会話では、もっとも盛り上がる、これだけで酒が飲める内容というのは事実です。

というか、こういう微妙な違いを突き詰めていって初めて、イタリアのヴァイオリン製作の本質に近づくことができるとも言えますし、実際のところ、私自身、このような微妙な違いを勉強するために、また、それを楽器製作に具現化するために会社を辞めてクレモナに留学したようなものですので、今回書きましたような内容は、私の製作家としての根幹にかかわるような大切な部分ではあるのです。

上記の、二つのモデルの違いは、非常に微妙な差ではありますが、見る人が見れば分かる、すごく明確な違いでもあります。
私も以前はそうでしたが、ただ設計図どおりに、モデルとして製作しただけでは、この微妙な違いは表現できないと思います。
モデルの特徴をイメージできる感性、そしてイメージを具現化できる技術力が無いと、どのモデルで製作しても同じように見えてしまいますし、それどころか、ストラディバリにも見えないという状況になってしまいます。

私自身、そのことを十分に体現できているとは思ってはおりませんし、ラザーリ師匠の楽器を見る度に、まだまだ道は遠いことを実感もするのですが、クレモナに来て18年、歩んできた道のりと、これから進むべき道のりをあらためて再確認する意味もあって、あえてマニアックな記述をさせていただきました。


一つだけ、非常に分かりやすい違いをご説明しておきます。
これは、クレモネーゼモデルを製作する場合のポイントとなるのですが、パーフリングを入れる位置(ボディ外周からの距離)が、0.5ミリだけ内側になっています。
つまり、いつもの1705モデルの場合は、外周から4ミリにするのですが、クレモネーゼ1715モデルの場合、4.5ミリになります。
エフの写真を見比べていただければ↑良く分かると思いますが、このことも、クレモネーゼのモデルが男性的な力強さを持つ要因の一つになっています。


さて、マニアックな比較はここまでにして、今回の楽器を写真でご紹介していきます。
裏板は、オリジナルのクレモネーゼとはだいぶ印象が違いますが、私の好みの、動きのあるトラ杢の1枚板です。

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コーナー部分です。

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エフの造形です。

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ウズマキは、数年前から黄金期ストラドのモデルで製作していますので、今回、特に大きな違いはないかと思います。
ウズマキの話を始めると、さらにディープな、泥沼的なマニアック話になってしまいますが、また別の機会にご紹介できればと思っております。


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最後までご覧いただき、ありがとうございました。


ベランダから見える桜は、まだ開花までは日がかかりそうですが、少しずつ、つぼみが膨らんでいるようにも見えます。
春は、もう近くまで来ているようです。

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by violino45 | 2019-03-10 17:44 | 製作記 | Comments(4)