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弦楽器フェアにてお待ちしております。

トリエンナーレ・コンクール直後にひいた風邪がなかなか治らず(この風邪、、クレモナ中に蔓延していたようですね)、ブログの更新をする余裕も無いままでしたが、今週末に開催されます弦楽器フェアで、今年も、宮地楽器さんのブースにて楽器を展示させていただくことになりました。

もちろん、同僚の高橋明さん、京都の天野年員さんも一緒です。

会場にて、皆様にお目にかかれることを、心より楽しみにしております。

2012 弦楽器フェア (第55回 弦楽器展)
【主催】 日本弦楽器製作者協会(JSIMA)⇒ オフィシャルサイトへ
【会期】 2012年11月2日 (金)~4日 (日)  各日10:00~18:00
【会場】 科学技術館 (東京都千代田区北の丸公園2-1)
【入場料金】 1,000円(全イベント3日間共通券・高校生以下無料)

宮地楽器さんのホームページでも、弦楽器フェアへの参加について、詳しい説明がご紹介されております。
ぜひご覧頂ければ嬉しいです。
http://strings.miyajimusic.jp/gengakki_fair/
宮地楽器のブースでは、プロの演奏者が在駐して、楽器の試奏代行を承ります。
ぜひお気軽にご用命くださいませ。

また、高橋明さんが展示される楽器は、フェアの会場にてご購入いただけます。
数台の楽器から選んでいただける貴重な機会ですので、ぜひお試しください。
こちらの、高橋さんのブログにて、ご紹介されています。
http://akiravln.exblog.jp/

スタッフ一同、皆様のお越しをお待ちしております。(写真は、昨年のフェアのものです)
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今回、私は5台の楽器を展示させていただく予定です。

そのうちの一台は、4月に放送されました「笑ってコラえて」にて、千住真理子さんに演奏していただきました2005年製のバイオリンです。
今思い返しても、千住さんのストラディバリ「デュランティ」との比較試奏という、、なんとも畏れ多い番組ではありましたが、良い経験になりました。
ブースでは、この楽器も自由に御試奏いただけますので、ぜひ、お気軽にお試しいただければ幸いです。
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また、トリエンナーレコンクールに参加しましたバイオリンも展示させていただきます。
この楽器は、生まれた時から、とにかく強い音がしていまして、コンクールに参加する時には、もう少し柔らかい音のほうが審査員に好まれるのでは?と思って、魂柱、駒を調整したり、弦を柔らかいものに変えたりと、いろいろ試したものでした。

調整の結果、たしかに、表面上は柔らかい音になったのですが、、でも、ストレスを感じる音になったように思えました。 
まるで、楽器が、「私が歌いたい声とは違う!」と訴えているような気がしましたので、、発想を180度変えて、この楽器が持つ元気な声をさらに引き出すようなセッティング、弦の選択をしたところ、予想通り、さらに耳に痛い音になりましたが、でも、この楽器が一番気持ちよく歌えている音でコンクールに挑戦するのが一番と思い、そのまま提出しました。

結果、200台近いエントリーの中、30位代の成績でしたので、この選択は正しかったのだと思っています。
弦楽器フェアでは、コンクールに提出した時のままの状態で展示いたしますので、ぜひ御試奏いただき、ご感想をいただければ嬉しいです。
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さて、トリエンナーレではファイナリストとなりましたビオラも、展示いたします。
ファイナリストとはなりましたが、、実は、このビオラの音には少々疑心暗鬼ではありまして、、ビオラらしい音で鳴っているのか、正直なところ、納得がいく状態とは言えない状況で提出したビオラでした。
ですので、ファイナリストとなったことはもちろん喜ばしいことでしたが、それに満足してはいけないと感じていまして、、今回、弦楽器フェアでは、ぜひ、ビオラ奏者の方に試奏していただいて、忌憚の無い意見をたくさん伺いたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

また、このビオラは、11月2日の金曜日、14時からの試奏コンサートにて、須田祥子さんに演奏していただきますので、こちらもぜひお楽しみください。
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さて、この拙ブログにてご紹介していました40センチビオラも、展示させていただきます。
ブログでは、中途半端なところで切れてしまっていて、申し訳ありませんでした。
完成した楽器を少しだけ写真でご紹介いたします。
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もう一台、最新作のバイオリンも展示いたします。
このバイオリンと40センチビオラは、都合により、御試奏はしていただけず、展示のみとなりますことを、あらかじめお詫び申し上げます。
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長々と楽器をご紹介してしまい、失礼しました。

さて、シマにゃんの容態につきまして、たくさんの方からメールなどでご心配をいただき、ありがとうございます。
状態は、この数週間変わらず、耳の調子はあまり良いとは言えないのですが、抗生物質を変えて試したりしながら、お互いに辛抱強く闘病を続けているという感じです。
写真は、少し元気な時に、ストレスを発泡スチロールにぶつけているところです。
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こちらは、ミケにゃんです。
クレモナも、すでに冬の気候になりまして、円形モードで熟睡中です。。
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長くなり、失礼いたしました。
火曜日にクレモナを出発しますので、しばらくネット難民となるかもしれません。
コメントをいただきましても、御返事できないことがあるかと思います。
あらかじめ、お詫び申し上げます。

by violino45 | 2012-10-29 08:09 | お知らせ | Comments(16)

2012トリエンナーレ・コンクール、一過。 (長文です)

日本では、大型の台風の影響が各地であったようですね。
被害に遭われた皆様、お見舞い申し上げます。

さて、クレモナでも、トリエンナーレ・コンクールが台風のように過ぎ去り、、いつもの静かな町の雰囲気に戻っております。

前回の記事でもお知らせいたしましたが、私のビオラは最終音響審査まで残り、メダルには届きませんでしたが、表彰式では、ファイナリストとして賞状をいただきました。
応援いただきました皆様、ありがとうございました。
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メダルに届かなかったことについて、残念に思う気持ちも少しだけありますが、でも、世界最大規模のコンクールでファイナリストとして残り、音響審査でビオラが元気な声で歌ってくれただけで、十分嬉しく思っております。

300名以上に上る参加者を見ると、過去数年間の国際コンクールで3位以内に入った製作者の名前を簡単にリストアップすることができますので、世界中から真剣勝負に来ている大勢の「優勝候補」を迎え撃ってファイナルに残るというのは奇跡に近いことだとコンクール前は思っていました。

ですので、コンクールに参加したことの「結果」としては、私の中では十分に満足しています。

ですが、ここで満足するだけでは、コンクールに参加した本当の「意義」を失ってしまいますので、嬉しい気持ちは置いておいて、「なぜ、メダルに手が届かなかったのか?」「今の楽器に足りない物は何か?」ということを、まだ鉄が熱いうちに、十分に叩いていきたいと思っております。

楽器製作者にとっての本当の勝負の場は、普段の楽器製作の中にありますので、コンクールの結果に対して一喜一憂するだけで終わってしまっては、本末転倒になってしまいますし、製作者として成長できるチャンスを見失ってしまっては、もったいないと思っています。

ちなみに、バイオリンの成績は、200台近いエントリーの中、30位台の中盤でした。
数字の上では、ファイナリストには残れませんでしたが、私の中では、ビオラの成績となんら遜色の無い、喜ばしい成果として、この結果を受け止めています。

実際、30位代から100位くらいまでの楽器を見ても、名前を聞くだけでも畏れ多い製作家の名前が並んでいます。

さて、こうした思いを胸に、トリエンナーレの参加楽器が展示されている展示会に行ってきました。
広い会場に整然と並んだ楽器は、壮観です。
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チェロも、吊されています。
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こちらが、ファイナルに残ったビオラです。
私の顔、、かなり疲れてますね、、、すみません。
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こちらが、バイオリンです。
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前回、3年前に参加した時、バイオリンの提出直前に、あるマエストロから理論的な音の調整方法を教えていただいたのですが、私には手に余る状況になってしまい、結果的に、楽器の音を十分に聴いてあげることができずに、理論優先の調整をしたまま、楽器を提出してしまいました。

結果、音の点数がとても低くなってしまい、順位が大幅に下がってしまうことになってしまいました。
そのこと自体は、私にとって良い経験になったので良かったのですが、後日、展示会でその楽器と対面した時に、バイオリンが、とても悲しそうな表情に見えたのです。
「十分に歌うことができなかったよ(;_;)」と訴えているようにも見えました。

なので、今回のコンクールでは、理論よりもなによりも、とにかく、楽器の音を十分に聴いてあげて、納得がいくまで音を出し切ってから、提出することを心がけたのでした。

結果は、ファイナルに残ることはできませんでしたが、バイオリンとして、十分に歌うことができたような表情で私を迎えてくれました。
このことは、ビオラでファイナルに残ったことと同じくらい、嬉しいことでした。
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さて、会場にて、審査員のAlessandro Voltiniさんに、楽器について意見を伺うことができました。
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Voltiniさんは、クレモナの製作学校でも教鞭を執られている、現代クレモナを代表する製作家です。
以前は、私の師匠のラザーリさんと共同で工房を開いていた事もありました。
私のバイオリンについては、現代のクレモナの雰囲気、スタイルを受け継いだ、とても良い作品だと褒めていただきました。
ですが、いくつか、厳しい指摘もいただき、とてもありがたかったです。
少し、ビビってますね、、↓
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そして、もう1人、意見を伺いたかった審査員さんに、幸運にも楽器を見ていただくことができました。
製作家としての名声とともに、楽器の鑑定の世界でも有名な、マエストロJEAN-JACQUES RAMPALさんです。
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RAMPALさんからは、楽器の技術レベル、そしてスタイルはとても良いと褒められましたが、ニスの仕上げについて、「磨きすぎていて味わいが無い」、「個性、生命力を感じさせない」と、強く指摘をいただきました。
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やはり、ストラディバリなどの名器を日頃から鑑定されている方の目には、艶のある仕上げよりも、少しアンティーク仕上げのような雰囲気の楽器のほうが好まれるのかもしれません。
私としては、今のスタイルを変えるつもりはありませんが、貴重なご意見を胸に秘めて、いつか、自分の目指すスタイルを発展させた形で、RAMPALさんを唸らせるような雰囲気を持った楽器を完成させたいと思いました。
こうした、千載一遇の経験をできるのも、地元開催の国際コンクールの醍醐味だと思います。
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ちなみに、こちらが、RAMPALさんが私への見本として薦めていた、ビオラ部門2位の楽器です。
やはり、少し艶消しな雰囲気ですね。
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後ろから見ると、こんな感じです。
ニスの、筆の跡が、そのまま残っているような感じです。
手前から4台目の楽器が、私のビオラです。
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さて、コンクールの優勝者を写真でご紹介します。
左から、バイオリン部門優勝の、Ulrich Hinsberger(ドイツ)さん。
真ん中は、コントラバス部門優勝の、Marco Nolli (クレモナ)さん。
右は、ビオラ部門優勝の、Ulrike Dederer(スイス)さん。
トリエンナーレコンクールで、女性の優勝者が出たのは、史上初だそうです。
みなさん、おめでとうございます。
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チェロ部門は優勝者は無しで、2位を受賞したのは、Krzysztof Krupa (ポーランド)さんでした。
Krupaさんは、私が参加する国際コンクールではいつも顔を合わせるライバルで、何度も優勝経験を持っています。
おめでとうございます。
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クレモナの、マルコ・オジオさんも、私と同じくビオラのファイナリストとして残り、そして残念ながらメダルは逃してしまいましたが、イタリア弦楽器製作協会(ALI)の賞を受賞されました。
おめでとうございます。
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そして、嬉しいニュースです。
山梨県で製作活動をされている若手の製作家、松上一平さんが、30歳以下で最も成績の良かった製作家に送られる「Simone Fernando Sacconi賞」を受賞されました。
松上さんは、表彰式の前日に連絡を受けて、急いでイタリア行きの飛行機に乗ったそうです。
クレモナでの表彰式には、なんとか間に合って、表彰台に上られました。
おめでとうございます。
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ちなみに、私の同僚の、高橋明さんの成績ですが、ビオラが20位代に入りました。
そして、ラザーリ師匠の奥様で、私の妹弟子の伊東さんは、ビオラが10位代、バイオリンが30位代に入りました。
私の強力なライバル達も皆、とても立派な成績だったことを、お伝えしておきます。

さて、長くなりましたが、最後に、出品した作品をご紹介したいと思います。
こちらの、ビオラ(手前)とバイオリンです。
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楽器は、無記名で提出するのですが、タグに、ニックネームを書いてぶらさげなければなりません。

命名については悩みましたが、ビオラを製作していた時期は、ちょうど、シマにゃんの具合が悪く、毎日のように獣医さんに行っていまして、注射をしたり、カラーをつけたり、シマにゃんには受難の時期だったと思います。
ですので、コンクールを一緒に戦う気持ちを込めて、「SHIMANYAN]と名付けました。
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これでは、ミケにゃんがグレるので、、バイオリンは、「MIKENYAN]となったのは言うまでもありませんです。。
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「SHIMANYAN]のがんばりのおかげで、ファイナルに残ることができて、良かったです。
あとは、シマにゃんが元気になってくれれば、一番嬉しいことなのですが、、なかなか、難しい状況が続いています。

最後に、楽器の写真を貼り付けて、コンクールの報告を終了いたします。

長い記事にお付き合いいただき、本当に感謝しております。
今後も、初心を忘れずに、良い楽器を製作できるようにさらに精進していきたいと思っておりますので、これからもよろしくお願いいたします。

菊田 浩



バイオリンの写真です。この楽器は、実は昨年製作したものです。
コンクールを目標に製作していた楽器も他にあったのですが、いろいろな都合により、こちらの楽器になりました。
昨年の弦楽器フェア、今年の関西での展示会でも展示しましたので、たくさんの方に弾いていただいたバイオリンでの参加となりました。
そういう意味では、展示会にお越しいただきました皆様と一緒に戦ったコンクールとなったのだと思っております。
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ビオラです。
夏の間に製作しておりました。
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by violino45 | 2012-10-03 01:39 | お知らせ | Comments(16)