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帰国、イベント参加のお知らせ

前回のシマにゃんの記事には、たくさんのコメントをいただき、ありがとうございました。
その後も元気に暮らしておりますが、耳のポリープは完治はしていないようで、獣医さんに行くたびに痛い(怖い)思いをして、そのたびに、グレて口をきいてくれなくなります。
まだまだ平和な生活への道は遠いようです。

さて、今回は、5月の帰国のお知らせです。
3週連続で、3つのイベントに参加します。


①宮地楽器、東日本大震災 被災地支援チャリティコンサート  
5月14日 (土)宮地楽器小金井店 ショールーム内ホール


②関西弦楽器製作者協会 展示会         
5月21日(土)22日(日) 大阪市中央公会堂 3階 特別室

③日本ヴァイオリン製作研究会 展示会      
5月28日(土)29日(日) 自由学園明日館講堂 


それぞれについて、簡単にご説明します。

①5月14日(土)、宮地楽器にてチャリティコンサートが開かれます。

場所:宮地楽器小金井店 ショールーム内ホール(東京都小金井市本町5-14-10)
日時:5月14日(土) 17時30分開場 18時00分開演
入場無料ですが、座席数が限られますので電話にて予約が必要になります。
(5月1日 受け付け開始 ☎042-385-5585)

私も、帰国の予定を少し早め、応援に伺う事にしました。
京都の、天野年員さんも、いらっしゃいます。

コンサートの内容は、基本的には、4組のアマチュアグループのアンサンブルによる演奏です。
宮地楽器の山本さん(ビオラ)の他、私のバイオリンを使っていらっしゃる奏者さんのグループの演奏もあります。

また、ヴァイオリニストの三ツ木摩理さんが、シューマンのヴァイオリンソナタ第2番(抜粋)を演奏されます。
この演奏には、昨年の弦楽器フェアにて展示しました、私と、高橋明さん、天野年員さんによる「共同製作バイオリン」が使用されます。

このコンサートは、入場無料です。
できるだけたくさんの方にお気軽にお立ち寄りいただければ嬉しいのですが、宮地楽器さんのホールの座席数が限られてしまうため、電話による予約を受け付けるとのことです。
5月1日から、下記の宮地楽器の電話にて受け付けを開始です。
宮地楽器 小金井店 ☎042−385−5585

このコンサートの詳細は、このパンフレットをご覧下さい。↓(クリックで拡大表示されます。)
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②5月21日(土)22日(日)関西弦楽器製作者協会の展示会に参加します。

場所:大阪市中央公会堂 3階 特別室 (大阪府大阪市北区中之島1丁目1−27)
日時:5月21日(土) 12時〜18時
   5月22日(日) 10時〜18時
入場無料です。

今年で第3回を数える展示会ですが、初めて参加します。
会長の岩井孝夫さんが私の友人ということから、以前から誘われていたのですが、昨年までは7月の開催でしたので無理だったのですが、今年から5月に変更になりましたので、参加することにしました。
こちらは、入場無料で、自由に試奏も可能ですし、弓や楽器を持ち込んでの比較試奏もできます。
詳細は、こちらの公式HPでご覧いただけます。
http://www.kansai-violinmakers.jp/index.html
パンフレットの写真↓をクリックすると、拡大表示されます。
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注)パンフレットには、全ての楽器が購入可能と書いてありますが、残念ながら私の展示楽器は注文製作したものですので、販売品ではありません。


③5月28日(土)29日(日)日本ヴァイオリン製作研究会の展示会に参加します。

場所:自由学園明日館講堂 (東京都豊島区西池袋2丁目31−3)
日時:5月28日(土) 10時~17時30分
   5月29日(日) 10時~17時30分
入場無料です。

もともとは、この展示会への参加が帰国のメイン目的でしたが、その一週間前に大阪、そしてさらに一週間前に宮地楽器と、なぜか予定が続いてしまい、帰国が2週間早まってしまいました。

この展示会は、3年ぶりの参加になりますが、もっともおなじみの展示会かと思います。
私が、日本でのアマチュア時代から参加していた展示会で、私にとって原点となる大切な展示会です。
2年間、ちょうどコンクールの時期が重なってしまったので参加できませんでしたが、今年は3年ぶりに参加できるので、楽しみにしています。

この展示会恒例の、展示楽器を使用した試奏コンサートは、以下の予定で行われます。
5/28(土)10:00~17:30  
    試奏時間 11:00~ Va  会員 石川さん
         13:00~ Vn 三沢裕美子さん
         15:00~ Vn 三沢裕美子さん
5/29(日)10:00~17:30
         11:00~ Vc 三森未来子さん
         13:00~ Vn 星野美葉さん
         15:00~ Vn 星野美葉さん

私の楽器は、日曜日に試奏を希望していますが、まだ確定ではありません。
決まりましたら、またご報告いたします。

注)こちらの展示会は、自由に試奏は可能ですが、弓や楽器の持ち込みはできません。

以上、今回の日本滞在もいろいろ慌ただしい状況になってしまいますが、もしお時間がございましたら、いずれかの会場にお立ち寄りいただければ幸いです。
会場でお会いできることを楽しみにしております。

菊田 浩

by violino45 | 2011-04-28 02:41 | お知らせ | Comments(10)

シマにゃんの物語

シマにゃんの物語。
(拙文の上に、記録の意味もありますので、意味も無く長い文章になっています。)
(また,少々つらい写真もあえて載せています。ご了承ください。)

私たち夫婦が住んでいる自宅アパートの敷地内には、ネコがいつも何匹か居ます。

その中に、シマ模様が印象的な、シマにゃんがいました。
シマにゃんは、7年ほど前に、このアパートの「ネコおばさん」のガレージで生まれて、基本的には野良なのですが、毎日、ネコおばさんが餌と水をガレージであげていました。

とてもかわいくて人懐っこくて、駐車場を歩いていると近寄ってきて、スリスリ、、スリスリ、、すりすり。
得意技は、スリスリしながらその場で風車のように回転を始める「クルクル」と、突然横に倒れて、お腹を撫でて!の要求をする、「ゴロン」です。

7年前というと、私がクレモナのバイオリン製作学校を卒業する直前の頃で、いろいろなストレスが溜まっていたころですが、この、シマにゃんをはじめとして、アパートに住んでいるネコちゃんたちには、いつも癒されていました。

ところが、しばらく前から、シマにゃんの耳の中が黒く変色してきたことに、我が家のネコおばさん(失礼)が気づきました。
そして、少し異臭も。
耳ダニかな?と思いつつ、でも、本家のネコおばさんが面倒を見ている手前、勝手に獣医さんに連れていくわけにもいかず、しばらく様子を見ていました。

そうこうするうちに冬になりました。

我が家のガレージには段ボールで作ったネコハウスがあるのですが、シマにゃんが一日中そこで寝ていることに気がつきました。
最初は、ネコハウスを気に入ってくれたのだと思ったのですが、2日目になっても、餌を食べに出た形跡もなく、近寄っても出てこないし、異臭もひどくなってきました。
3日目に、さすがにこれはおかしいということで、ネコハウスごと明るい場所に出してみたら、右の耳が完全に黒く塞がっていて、顔が腫れて変形して、ひどい脱水症状の状態で、倒れていました。

そして、すごい腐敗臭、、、まるで、生きたまま朽ち果てていく途中のような、ひどい状態でした。
そのまま車に乗せて獣医さんに直行しました。

獣医さんは、シマにゃんのあまりのひどい様子に、ビックリしながらも診察してくれました。
そして、耳の中のものは腫瘍で、喉にも転移して大きく腫れているので、ものを食べられないこと、つまり、手遅れの状態であるとの説明でした。
ただ、万が一、抗生物質の投与で、腫瘍が小さくなったら、手術で切除できるかもしれないとのことでした。

いずれにしても、ネコおばさんには無断で連れてきてしまいましたが、こうなったら我が家で看病するしかありませんので、その日は、皮下点滴で水分を補給して、強力な抗生物質を注射してもらって、帰宅しました。
(最初の状態は、あまりのことに写真を撮る気になれず、、映像は残っていませんです。)

その日は、自宅で、ネコハウスに入れて様子を見ましたが、餌は少しだけ食べたけれど、喉を通らないので苦しそうで、水はまったく飲まず、グッタリとしていました。

最初は、耳の中が真っ黒で何も見えませんでしたが、掃除をしたら、患部が見えるようになりました。
完全に塞がってしまっています。
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2日目は、やはりほとんど動かずでしたが、驚いたことに、トイレの時だけは立ち上がって、砂箱にきちんと済ませました。
なんと良い子。。。
でも、顔がはれて、苦しそうです。
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3日目の朝、息が苦しそうになって、咳もし始めました。
喉にできた腫瘍のせいで、呼吸が困難のようです。
再び脱水症状になってきたこともあり、獣医さんへ。
皮下点滴と抗生物質注射。
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獣医さんによると、このまま腫瘍が大きくなったら、いつかは呼吸困難で苦しみ始めるので、その場合は、安楽死も考える必要があると言われました。
安楽死は避けたいと思いましたが、目の前で窒息して苦しんでいるのを見て、そのままでいられるかどうか自信はなく、、覚悟も必要かと思いました。

この日から、強力な抗生物質の副作用なのか、よく分かりませんが、意識がほとんど無くなり、夢遊病のようにフラフラと歩き回るようになりました。
周りの動くものにまったく反応しなくなり、表情も無く、でも、いろいろな場所に行っては暗がりに隠れたり、ネコの本能のままに歩き回っているような感じでした。
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また、眠り方も、ネコらしさが消えて、うずくまるような感じになってきました。
いわゆる、ネコがよくやる、箱座りとはちょっと違っていて、苦しそうな感じです。
獣医さんによると、ネコはこういう眠り方になると、かなり体調が悪いそうです。
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眠るときも目が閉じなくなり、瞬膜?が出たままになって、なんとも怖い顔になってしまい、かつての、美人ネコの面影がどこかに行ってしまったのは悲しかったですが、それよりも、餌も水もまったく取らないし、呼吸もだんだん苦しくなってきて、ほんとうに、この数日で命が危ないのではないかと思いました。
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とりあえず、注射器で、水と、ネコミルクを口から与えてみたら、抵抗しながらも飲んだので、抗生物質の錠剤も水に溶かして投与することにしました。

そのまま、数日間はこうして毎日数回、注射器で水分とミルク、抗生物質を投与する日が続きましたが、これだけで栄養が足りるわけもなく、徐々に痩せていくのが目に見えましたが、でも、ひたすら歩き回るのはやめようとせず、その足取りもフラツキ始めて倒れることが多くなり、これはいよいよ危ないかと感じ始めました。

でも、耳の中を良く観察してみると、最初に比べると、少し腫瘍が小さくなっているような気がしました。
のどの腫れも少し引いてきて、呼吸もあまり苦しそうではなくなりました。
これは、もしかすると?と希望の火も見えた気もしましたが、目の前のシマにゃんの状態を見ると、回復に向かうとはとても思えない状態でした。
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拾って10日ほど過ぎた頃、耳から大量に膿みが出てくるようになって、(抗生物質が効いているのだと思います)また、頭の上のコブのような物が大きくなってきている事に気がついて、触ってみると、なんだかブヨブヨしているので、もしかしたら膿みかもしれないと、獣医さんに連れていくと、太い注射器で頭から直接吸い出されました。
でも、完全には取りきれないようで、まだコブは残っていました。

でも、膿みが減ったことで、脳の圧迫が減ったのか、、少し様子が違ってきました。
少しだけ、動くものに反応するようになったのと、瞬膜が小さくなってきました。

2、3日、小康状態が続きましたが、ある時、獣医さんが頭に注射器を差した穴から、膿みが出ているのを発見。
少し押してみたら、大量の膿みが出るわ出るわで、、頭にどれだけ膿みが溜まっていたのか、、、
とりあえず、出せる膿みは全部絞り出したのですが、それからしばらくして、大きな変化が、、。

突然、目覚めたのです、、シマにゃん。

「ここはどこ?私はだれ?」状態です。
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急にキョロキョロ、周りが気になりだしたようです。
でも、まだ半分夢の中のようで、すぐに夢遊病状態にもどったり、突然我に帰ったり、、。
試しに餌をあげてみたら、匂いをかいで、食べ始めました。
これは、感動しました。
まさか、ふたたび自分で餌を食べることができるようになるとは、以前の様子からは、想像もできませんでしたので。。
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こうなると、とうぜん、元通りに元気になるのでは?という期待が生まれますが、、、
シマにゃんの試練の日々は、実はここから始まるのでした。

目が覚めた翌日、獣医さんに連れて行くと、その回復の様子に、驚かれたようです。
腫瘍は悪性ではなくて、ポリープかもしれない、ということになり、内視鏡で見てみると、耳の奥の方に、たくさん、キノコみたいにポリープが生えているそうです。
早速、切除開始です。。

でも、このくらいのオペでは、麻酔は使わないようで、、、。

小さいポリープを、ブチッと切り取るたびに、、「ウギャー!」という、化けネコのような叫び声が響いて、、、
そりゃ、痛いですよね、、。
シマにゃんを押さえつけている、私の方が大汗で、、見てられませんでした。
でも、シマにゃんの偉いところは、どれだけ痛い思いをしても、逃げようとはしますが、爪でひっかいたり、噛み付いたりしないことでした。
これには、私、惚れました。

3~4個のポリープを取ったところで、今日はこれまでで、次はまた次回、、、
結局、反対側の耳にもポリープがある事が分かり、計4回、獣医さんに通って、痛い思いをしました。
一応、目立つポリープは取ったので、しばらくは、様子を見ようということになり、とりあえず、病院通いは終了しました。(良かった、、)

まだまだ完全には治っていないとは思いますが、でも、最初に拾った時の状態から見れば、信じられないくらいに回復したと思います。
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ただ、シマにゃん、、夢遊病状態で生死の境をさまよっていた時のことは、まったく覚えていないようです。(当然ですが)
そのころは、抱っこしても平気でしたし、膝の上でも眠っていましたが、覚醒したとたん、私たちの顔を見ると、逃げてしまうようにもなりました。(ある程度は予想はしていましたが、これは悲しいですよね~)
でも、気が付いたらまったく知らない場所で、知らない人に取り囲まれて、しかも、4回も痛い思いをさせられてですから、、、仕方がないですよね。
でも、記憶のスイッチは、入ったり切れたりするようで、、、リラックスして落ち着いているかと思えば、急にビックリして逃げ出したり、変化を繰り返すようにもなりましたが、その感覚が、序所に長くなり、リラックスモードの方が多くなってきました。
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リラックスしている時は、得意技の、スリスリ、クルクル、ゴロン、もするようになってきて、少しずつ、新居にも慣れてきているのかもしれません。
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シマにゃんはヒモが好きで、ヒモでジャラしてあげると、ものすごいスピードで完璧なフットワークで追いかけることができるようにもなりました。
少しの段差につまづいて、よろけて倒れていた頃から思うと、その回復力はさすがだと感じます。
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覚醒したころ、ネコおばさんの部屋にシマにゃんを連れていったら、涙を見せて喜んでくれました。
餌を食べに来なくなってしばらく経つので、もうどこかで死んでいると思っていたそうです。
ネコおばさんは、これから家族の看病で忙しくなるので、ガレージネコの面倒は見られないとのことで、私たちによろしくと言っていました。
シマにゃんが、名実共に、私たちの家族になった瞬間でした。
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今は、シマにゃん、耳の中にできたカサブタが痒そうですが、それ以外は、普通に生活しています。
このまま、ポリープが完全に無くなってくれるのか、、それはまだ分かりませんが、とりあえずは健康な状態に戻ったので、しばらくは様子を見ていこうと思っています。
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シマにゃんが、以前暮らしていた駐車場のことを覚えているのかどうか、分かりませんし、今の暮らしを喜んでいるのかも、その表情からはよく分かりません。
まだまだ、時々、警戒モードになってしまいますし、心の底からリラックスしてくれるまでには時間もかかると思いますが、でも、あの日、助けていなければ、おそらくもうこの世にはいなかったと思いますので、シマにゃんが、ご飯をたくさん食べて、安心して丸くなって眠ってくれれば、やはり、これで良かったのだと思います。
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私が、製作家になれるかどうか不安で、苦しんでいたころ、駐車場で気持ちを癒してくれたことには本当に感謝していますので、これで、少しだけ恩返しができた気がしています。

前回の記事で紹介したシマにゃんの写真の、少し複雑な表情の理由が、これでお分かりいただけたかと思います。
足の先の、茶色く染みのようになっているのは、血や膿みがこびりついて取れなくなっているのでした。。
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最近は、呼んだら小走りで近づいてくるようにもなりました。
本当に心を許せる家族になってくれるのも、そう遠い日ではないかもしれません。
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また、シマにゃんに変化があったら、ご紹介しますね。。

長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

by violino45 | 2011-04-20 06:18 | 猫ネタ | Comments(30)

カテドラル、ボディの完成

厚み出しの終わった表板と裏板は、横板に貼付けます。
まず、裏板を貼付けます。
ニカワをつけて、スプールクランプという道具で、締め付けていきます。
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ここで、内型を外します。
内型の役目は、ここで終わりです。
次に、カテドラルモデルを製作する時まで、お休みです。
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次に、表板を貼付ける準備をします。
箱を閉じてしまうと、中は修正できませんので、、慎重に、やり残したことは無いか、考えます。
一人、「私はここに居る!」と言い張っている天使が居ますね、、、。
だいじょうぶでしょうか?
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あ、無事に出てこられたようです。
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これで、ボディの完成です。
次は、ネックの製作になります。
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ここで、突然ですが、、我が家に新しい家族ができましたので、ご紹介します。
名前は、シマにゃんです。
今後ともよろしくお願いいたします。
実は、シマにゃんが家族になる時には、壮絶な物語がありました。
とても長くなってしまいますので、、次回、詳しくご紹介しますね。。
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by violino45 | 2011-04-16 08:09 | 製作記 | Comments(16)

製作記再開

東日本大震災から一ヶ月が過ぎました。
あらためまして、お亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、余震が続き、そして原発の問題がなかなか解決しない状況ではありますが、避難されている皆様が一日も早く安心した生活に戻れることを、心よりお祈り申し上げます。

クレモナでは、昨日、復興への支援の気持ちを込めて、クレモナ国際バイオリン製作学校の日本人の生徒さんたちが中心となって、チャリティコンサートが開催されました。

中心となって企画したのは、普段から弦楽5重奏のグループで演奏活動をしている若者たちですが、楽器が演奏できる生徒さんが演奏に加わる形で、クラシック音楽からポピュラー音楽まで、様々な形態でのアンサンブルで演奏されました。

また、クレモナの音楽学校からの選抜オーケストラも参加して、バッハのドッペルコンチェルトも演奏されました。
ソリストは、クレモナで演奏活動をされている日本人姉妹の方でしたが、オーケストラの安定した響きとともに、すばらしい演奏でした。

中心となった生徒さんの中には、ご実家が福島原発から30キロ圏内で被災された人もいて、落ちつかない心境だと思うのですが、、それぞれ、自ら製作した楽器を手にしての、気持ちのこもった演奏を聴かせていました。

また、ラザーリ師匠のお弟子さんがすばらしいトランペットソロを披露したり、普段、物静かな感じの人が堂々としたボーカルを聴かせたりと、普段から良く知る方達の、意外な一面があったことも嬉しい驚きでした。

演奏を聴きながら、バイオリン製作を志してクレモナに来た若者たちが今回の震災に心を痛め、自主的に支援活動のために演奏会を開いたことを嬉しく思いました。

それにしても、製作学校の生徒さん達の演奏は、なかなかのレベルでした。
これだけの演奏技術を維持するためには、かなりの練習量が必要だと思うのですが、、忙しい学校生活の中、楽器製作の勉強がおろそかになっていないか、逆に心配にもなりました。

でも、彼らの楽器を見せてもらいましたが、荒削りな面もありますが、学校やマエストロの下で良く学んでいることが分かる、十分に良い楽器だと感じました。

逆に言えば、こういうコンサートを企画しようという心意気のある人が作る楽器が悪いはずがないとも言えます。
楽器には、製作する人の心や、生き方そのものが現れるということを、あらためて感じました。

そう言ってしまった後で、製作記を再開するのは怖いのですが、、

カテドラルの製作はかなり進んでおります。
アーチが完成しましたので、厚み出しに入ります。
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アーチの形は、音にも大きく影響しますし、また、見た目の美しさを決定付けますので、ある時点では、見た目を優先するか、音を優先するかという、難しい選択を迫られることもあります。
もちろん、音を優先するのが大前提なのですが、でも、製作者の心情としては、見た目を追い求めてしまうというのが正直な気持ちだと思います。

逆に、厚み出しは、見た目にはまったく影響しませんので、、音に集中して作業できる、ある意味、楽器製作の醍醐味ではあります。
でも、集中できるということと、結果の良し悪しは関係ありませんので、ある時点で、いずれにしても悩むことになります。
特に、材質によって、木材の重みは大きく変わってきますので、それに合わせた厚みの配分を決めるのは至難の業というか、無限にある答えの中から、疑心暗鬼の中、一つだけを選ぶような心境になります。
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表板は、さらに、バスバーが追加されますので、状況が複雑になります。
バスバーを強いものにする前提で、表板を薄くするという方法論もありますし、その逆もあります。
もちろん、表板の材質や、バスバーの材質の組み合わせによって、答えはさらに無限の度合いが増えていきます。
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そして、表板はエフを切る作業が待っています。
エフは、音にも影響しますが、やはり見た目重視の度合いが大きい作業ですので、頭の切り替えが必要になります。
カテドラルのエフは、本物を見ると、ストラドには珍しく左右でかなり形が違っていて、それが、カテドラルの固有の表情を作っているようにも感じます。
ですが、製作者としては、それをそのままコピーするのは、かなり勇気が要ります.
後世の、事情を知らない人が見たときに、単に、失敗したようにも見られてしまう可能性もあるからです。
ですので、失敗したようには見えないように慎重に作業しながら、全体の雰囲気は、カテドラルのエフを十分に感じられるように、微妙に修正しながら作り込んでいきます。
こうして出来上がったエフが、こちらです。
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そして、オリジナルのエフが、こちらです。
300年経過した迫力には、やはりなかなか及びませんね。
右上の、魂柱を調整するために削れてしまったと思われるカーブが、この楽器の表情を大きく作っているのですが、、、それを再現する勇気はありませんでした。。
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ニス塗り途中だったバイオリンは、ニスは塗り終わり、指板を貼付けて、現在乾かしているところです。
乾燥が十分になったら、磨いて、部品を組み付けて、完成です。
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by violino45 | 2011-04-11 08:45 | 製作記 | Comments(10)