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雨ニモマケズ

震災から20日間が過ぎようとしていますが、遠く離れたクレモナでも、まだまだ落ち着かない空気が流れています。

知り合いのイタリア人から「日本の家族や親戚は大丈夫か?」と聞かれるたびに、大丈夫だと答えるのですが(中部地区在住です)、それでも、原発の問題は常に気がかりですし、イタリア人もその事は良く知っていて、震災の話題は、常に原発の話題につながっていきます。

中部地区という、比較的安全(とは言い切れないかもしれませんが)な地域に生活している家族のことでも、遠く離れていると心配ですので、関東から東北にかけての地域にご家族や親戚がいらっしゃる方のご心配を思うと、やはり、一日も早い安全の確保を祈りたい心境です。

そんな中、先日、クレモナでチャリティーコンサートが開かれました。
日本人の有志が企画して、クレモナの職人労働組合の団体が主催して実現したものですが、250席程度の会場は400人以上の観客で埋まりました。

これは、やはりイタリア人の震災への哀悼の気持ちと、クレモナでの、日本への親密度の高さを表しているのだと感じました。

コンサートは、武満徹の作品の演奏に始まり、二人の日本人声楽家(ソプラノ、メゾソプラノ)による日本の唱歌の演奏がメインプログラムでした、、そして、「宮沢賢治」の詩もイタリア語に翻訳して朗読されました。

「あかとんぼ」、「夕焼け小焼け」、などを美しい歌声で聴いていると、3月11日の、津波が来る前までの、美しい海岸線と家並みの風景が目に浮かんできて、目頭が熱くなりました。

また、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」は日本語とイタリア語で朗読されましたが、その内容は、イタリア人の心にも強く響いたようで、ひときわ大きな拍手が鳴っていました。

こういうチャリティーイベントは、イタリアでも各地で行われているようですし、クレモナでも、4月の10日に、私が卒業した国際ヴァイオリン製作学校の有志がチャリティーコンサートを開催するようです。

製作学校の生徒の中にも被災地出身者が居て、彼自身、このコンサートでは演奏をするそうです。
製作家を志す有望な若者たちの、積極的な活動はすばらしいものだと思います。
成功する事を祈っています。

さて、被災地での若者たちの活躍の様子を知ることができるサイトを、友人が知らせてくれました。
福島県立医科大学付属病院のホームページです。

福島県は、震災の直接被害、さらに原発の脅威で、現在、もっとも過酷な状況にあるわけですが、その中で、医療という立場から、生のメッセージを発信されています。

放射能汚染の脅威の中、自主的にボランティアチームを立ち上げて活動を続けている学生さんたちの心意気には、ほんとうに心が熱くなる気がします。

宮沢賢治も、きっと喜んでいると思います。

by violino45 | 2011-03-30 09:31 | 日記 | Comments(4)

カテドラル、アーチ

東日本大震災で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げますとともに、
一日も早い復旧をお祈り申し上げます。

私自身、東北から関東にかけての、多くの友人やお客様の安否を心配しているところですが、第三者が安易に電話やメールをすることは、こういう状況では迷惑になることも承知していますので、今はただ無事の一報が届く事を祈っています。

いずれにしても、しだいに明らかになる悲惨な状況を目にするにつれ、心が痛みつつ、こういう時に何も役に立てない無力さをかみしめておりますが、ブロガーのはしくれとして、念のため、地震に関する情報を提供しているサイトをご紹介しておきます。

「東日本大震災の安否確認・緊急募金・ライフラインなどの情報」、ということで、毎日新聞が提供しているサイトです。

http://mainichi.jp/select/jiken/graph/20110311lifeline/
安否情報など、どの程度機能しているかは不明ですが、もし、なにかの手がかりの助けになれば幸いです。



今は、いろいろ心配で仕事が手に付かない状況ではありますが、、カテドラルの作業の続きをご紹介します。

アーチは、丸ノミで荒削りをする時点で、全体のイメージを作っていきます。
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逆カーブの部分も、この時点で、明確にイメージして削っておくと、後のカンナでの作業がやりやすくなります。
でも、仕上げのラインまでかなり近いところまで削りますので、慎重に作業します。
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次に、ミニカンナで全体の形を整えていきます。
丸ノミの跡を取るだけで、アーチがほぼ完成することが理想ですが、実際には、この時点でかなりの修正をすることになります。
材料の響き具合を予測しながら、より良い音で鳴るような形を目指して、、さらに、美観も重要ですから、音と外観の両方を左右する工程として、やはりアーチは楽器製作の山場だと思います。
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最後は、スクレーパーで仕上げます。
この作業も、ミニカンナの跡を取るだけが理想ですが、、、そうもいかず、、、。
やはりアーチそのものも、スクレーパーで修正することになります。
どの程度で、完成、終了とするか、、その判断はいつも迷います。
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コーナー部分に近い、膨らみと逆カーブが溶け込む箇所は、造形的にもっとも難しいですが、上手く仕上がれば、とても美しい雰囲気になります。
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アーチの完成です。
これで、音に関する作業の山場の前半が終了です。
後半は、厚み出しです。
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by violino45 | 2011-03-12 17:43 | 製作記 | Comments(0)

カテドラル、その後と、ニス、その後。。

早いもので、もう3月ですね。
いろいろ慌ただしく、、一日が過ぎ去るのがとても速くて、、、ブログを更新する余裕も無く、失礼しております。
カテドラルも、だいぶ製作が進みましたので、少しまとめてご紹介します。

今回の裏板は、カテドラルのオリジナルに合わせて、一枚板です。
これは、カンナで平面出しをしているところですが、木材の樹皮がそのまま残っていますね。
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何百年も生きてきた木の尊厳のようなものも感じて、決して無駄にならないよう、良い楽器を作りたいと思う瞬間です。
それにしても、樹皮のギリギリの所まで使わないと、サイズ的に一枚板にはならないです。
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前回製作した横板の形に合わせて、裏板にデザインします。
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横板から2ミリ強のところにラインを引いていきます。
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デザインされた裏板です。
これで、型を製作してから初めて、バイオリンの全体像が見えたことになります。
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ラインに合わせて切り抜き、丸のみで荒削りします。
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ヤスリを使って、バイオリンのアウトラインを仕上げていきます。
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この作業は、バイオリン製作の序盤の山場となります。
この時点で、バイオリンを正面から見たシルエットは確定してしまって、後から修正はできないからです。
全体的には、まだまだ荒削りの段階のように見えますが、、実際は、最終仕上げをしていることになります。
アウトラインが完成した裏板と表板です。
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パーフリングは、横板と同じ要領で曲げていきますが、カーブの緩い部分は、曲げずに、弾力性を利用して溝に納めていきます。
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コーナーの部分は、美観を左右する重要なところですので、慎重に仕上げます。
よく、技術レベルを見るために、隙間が開いていないかどうかをチェックする方がいらっしゃいますが、私は、この部分は、隙間が開くかどうかよりも、美しい形に納まっているかどうかを優先しています。
もちろん、隙間が無い方が良いのは当然ですが、、、、でも、もし、隙間を無くすために全体の形が崩れてしまうような状況になった場合、迷わずに、全体の形を優先します。
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でも、、形を優先しても、、なかなか良い形にはならないのがこの部分で、、、
まだまだ勉強が必要だと感じています。
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パーフリングが入った時点で、バイオリンのボディの平面系はほぼ仕上がったことになります。
これから、アーチ、そして厚みだしの、立体系の仕事に入ります。
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ニスは、かなり色が付いてきて、そろそろ、終盤です。
このころになると、ムラとの戦いは一段落してきますが、もっと重大な、色の濃さの決定の段階になります。
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薄すぎず、濃すぎず、、、ちょうど良い色合いを毎回追求するのですが、、なかなか思うようには行かないです。
これで最後の一回と思って塗ってみても、思ったような色の濃さにならなかったり、思った以上に濃すぎてしまったり、、。
あと、夜にはちょうど良いと思っていても、翌朝見ると、すごく薄く見えたり、、、そういうことが頻繁におこります。
そんな時に、あわてて塗ると、逆に濃すぎる状態になったりしますので、要注意です。
私は目の専門家ではないのでよく分からないのですが、おそらく、目の瞳孔の開き具合で、ニスの色合いが違って見えてくるのではと想像しています。
もちろん、光の具合でも色の濃さや色合いは違ってきますので、いろいろなライト、そしてもちろん太陽光でも確認します。

さて、上の写真の、奥の方に、妙なものが見えますね。。
これです。
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はい、クッピーラムネに続いて、大久保さんに送っていただいた、駄菓子屋さんネタです。
私が子供の頃は、、忍者のデザインで、忍法で煙を出すような感じのおもちゃでしたが、、、いつから、妖怪けむりになったのでしょうね、、、。
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なかなか奇怪なデザインが、良いですね。
試してみましたが、かなり盛大に煙が出ます。
昔のは、ここまでは出なかったように思いつつ、、40年前の記憶は曖昧ですからね、、、。
でも、実際、いろいろ改良はされているのだと思います。
でも、写真に撮ろうとすると、、これがなかなか難しいです。
こんな感じ↓ですが、、実際はもっと盛大に出ています。
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これ、、自分も子供の頃は好きでしたが、、、今の子供達にも受けるでしょうね。。。

by violino45 | 2011-03-07 08:19 | 製作記 | Comments(8)