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トリエンナーレコンクール参加と、自転車で山登り

現在、3年に1度の大イベント、「トリエンナーレ 弦楽器製作コンクール」がクレモナで開催されています。

9月20日が楽器提出の締め切りでしたが、その日の朝まで音の調整をしたり、磨いたりして、ぎりぎりの時間に無事に提出することができました。

私は、今回はバイオリン1台とビオラ1台での参加となりました。
結果は、今週の半ば、10月1日ごろに発表されると思います。

成績が良かったら、ご報告しますね。。^^

トリエンナーレコンクールは、バイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバスの4部門があるのですが、トータルでの参加台数は400台を超えたそうです。
バイオリンだけでも200台以上あるということで、、私がいままで参加したコンクールの中でも最大の規模になります。

しかも、世界中から、このコンクールに照準を絞ったツワモノが集まりますので、上位に残るのはとても難しいコンクールと予想されます。

思えば、2005年から参加したコンクールは7大会になるのですが、すべて幸運にも10位以内という成績を残してこれたのですが、、今回は、さすがにそれを維持するのは難しいかもという予感がしています。

でも、出来上がった楽器そのものにはとても満足していまして、やり残したことはありませんし(たぶん)、師匠にも褒めていただいたので、現在の心境は、人事を尽くして天命を待つ、そのものであります。


さて、、楽器も無事に提出した後、日本からコンクール参加のためにクレモナに来ている友人の製作家、岩井孝夫さんに誘われて、ドロミテ渓谷にサイクリングに行ってきました。

場所は、ステルビオ峠(標高2757m)、、、自転車に詳しい方なら良くご存じの、イタリア最大の自転車レース「ジロ・デ・イタリア」の中の山岳コースでも最も厳しい峠の一つです。

岩井さんは、学生時代は国体に参加したり、オリンピックを目指したこともある、競技自転車の大ベテランで、現在も普段からトレーニングを積んでいるので問題無いのですが、、私は、子供のころから自転車は大好きでしたが、競技経験などはまったくありませんし、普段も工房にこもりっぱなしの生活ですので、世界最高峰の峠に挑戦するというのは無謀というものなのですが、でも、せっかくの機会なので、同行させていただきました。

さて、サイクリングとは言っても、現地まで自転車で行くわけではありません。
目的地までは、こうして車に自転車を積んで移動します。
手前のが、私の自転車、「デ・ローザ」です。
子供のころからの憧れのイタリア製自転車で、クレモナに来て手に入れて、夢を実現したわけです。
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自転車レースでは、山のふもとからスタートするのですが、私がそれをすると日が暮れてしまいますし、怪我をしては意味が無いので、今回は、2000m付近からのスタートとなりました。
それでも、山頂ははるか遠くに見えます。
右端の人は、やはりイタリア在住の友人で、自転車を始めたばかりの人なのですが、いきなり最高峰への挑戦となりました。
私と岩井さんが着ているのは、クレモナの自転車屋さんのオリジナルウエアで、バイオリンがデザインされています。
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いよいよスタート、、でもすぐに私一人が遅れていきます。。
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すでに2000メートルですから、、空気が薄いのです。。
少し無理をすると、すぐに酸欠になって倒れそうになりますので、歩くようなスピードで、少しずつ上ります。
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山頂まで、こういうヘアピンカーブの連続です。
次のカーブの、遠いこと、、、。
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岩井さんは、余裕です。
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途中で下を見ると、絶景が広がっています。
スタート地点があんなに遠くに、、でも、まだまだ半分来ただけです。
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こんな切り立った崖に、よく道を作ったものですね。
上っているときは必死でしたが、あとから写真をみると怖いです。
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あと、カーブもわずかになってきました。
倒れそうになりながらも、ゴールは間近です。
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無心にペダルを漕いでいると、それまでのいろいろ大変だったことや、コンクールでのストレスなど、すべてのことが消えていって、ただ体のすべての細胞が生き返ってくるような気がしてきました。
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無事に山頂に到着、、ホッと一息です。
最後に、私を追い越して行ったたくさんのバイクのライダーさんたちが、一斉に拍手をしてくれて、とても嬉しかったです。
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記念撮影です。
体は疲れ果てていますが、気分は最高の達成感で、皆、良い表情です。
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2760メートルの山頂、世界中の自転車乗りの憧れの聖地に到達することができて、とても幸せな体験でした。
これで心落ち着けて、コンクールの結果を待つことができる、、わけないですね、、;_;、。
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ちなみに、すべての写真は、車で伴走してくれた私の奥さんが撮影したものです。

最後はすでに日が暮れていたので、下りは危険ということで、車で下まで降りましたが、あらためて斜面のきつさを実感しました。

次は、ぜひふもとからの完全登頂を目指したいと思っています。

by violino45 | 2009-09-28 07:07 | 日記 | Comments(14)

ビオラ、ふたたび

気がつけば9月も半ばですが、クレモナは例年になく、秋の訪れが遅い気がします。
毎年、9月に入ると急に冷え込んで半袖ではつらくなるのですが、今年はまだTシャツで作業しています。

3週間後には弦楽器見本市、「クレモナモンドムジカ」が開催されますし、今年は、3年に一度の楽器製作コンクール「トリエンナーレ」も行われますので、クレモナは秋の訪れとともに、落ち着かない、慌ただしい時期を迎えようとしています。

さて、製作記も長らくお休みしてしまいましたが、現在、ふたたびビオラを製作しておりますので、少しご紹介いたします。
大きさは、ふたたび40センチです。

実は、最近、愛用していたデジカメの調子が悪くて、、;_;、コンパクトタイプのデジカメで撮影しております。。
横板、センター部分です。
毎回、一番曲げづらいこの部分の作業が最初に来るので、一気に集中しなければならないですが、無事に貼り付いた時はホッとします。
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裏板の荒削りです。
この作業は、一気に大量の木を削りますので、荒っぽい作業に見えますが、ここでアーチの基本的なバランスをイメージしますし、木を残し過ぎると後の作業が大変ですし、かといって削りすぎたらそれで終わりなので、見た目にそぐわない、結構繊細な工程です。
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荒削りが終わったら、アウトラインの仕上げに入ります。
まだまだ製作の初期段階ですが、ここで仕上げたアウトラインは、楽器のシルエットとして最後まで残りますし、途中で修正はできませんので、最終仕上げと同じ繊細さが要求されます。
特にコーナー部分の長さや形は楽器の美しさを決定づける大切な要素なので、慎重に仕上げます。
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パーフリングは、私は裏板の場合、途中でつなぐ方法で入れています。
つながない製作者も多いですが、、、私はこの方法で慣れたので、。。
このつなぎ目は、目をこらさないと見えないはずですが、、時々、見えてしまうこともあります。
でも、私の楽器を見るときに、、ここばかり見ないでくださいね、、、^^。
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ミニかんなを使って、アーチを整えていきます。
アーチのカーブに合わせて、いろいろな大きさのミニかんなを使います。
ここまで来ると、ミスによる大失敗の危険は少ないので、心を落ち着けて、美しいカーブを生み出すことに専念します。
もちろん、膨らみ具合によって音も変わるので、木の声を聞き逃さないことが大切ですが。。
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アーチの仕上げは、スクレーパーです。
一度に削れる量は少ないですが、最終段階ですので、ひと削りで全体のバランスが崩れてしまう危険性が増えてきます。
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ダイジェストになってしまいましたが、少し基本に立ち返って、製作工程を順を追ってご紹介しました。
これからも、少しずつ書いていきたいと思いますので、またお立ち寄りいただければ嬉しいです。

by violino45 | 2009-09-13 13:18 | 製作記 | Comments(18)