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ストラディバリモデル 動画と写真でご紹介

8月にホワイトでご紹介しておりましたヴァイオリンが、ようやく完成しましたので、ご紹介させていただきます。

今回も、輪野さんに試奏をお願いしました。
曲は、バッハのパルティータ2番、冒頭部分を弾いていただきました。



いつもながら、ニス塗りが終わって、磨いて、部品を組み込んで、弦を張って、軽く調整しただけの状態のヴァイオリンの音色ではありますが、まさしく生まれたての声を記録に残せているのは、製作者として嬉しいことだと思っております。
輪野さん、今回も素敵な演奏をありがとうございました。


では、ヴァイオリンを写真にてご紹介いたします。

いつもどおり、A.ストラディバリ、1705年のモデルを使用して製作しました。
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裏板は、若干変化のあるトラ杢の一枚板を使用しました。
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ストラディバリは、アマティ工房で修行しましたので、若い頃は、ニコロ・アマティの影響を強く受けた作品が多いですが、独立して、試行錯誤しながら製作していく中で、ストラディバリ独自のスタイルに少しずつ変化していきました。
エフの造形も、その一つで、アマティの弟子の時代から、黄金期に至るまで、大きく変化しているのですが、師匠のラザーリ氏から譲り受けたエフは、独自のスタイルを確立しながらも、まだアマティの影響が残る時代のデザインとなっています。
黄金期の、張り詰めた力強さが目立つエフと比較して、全体的に丸く、優しいイメージのエフになっています。
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Cの部分や、コーナー部分の造形も、黄金期の押し出しの強いイメージよりも、1705年のモデルは、全体に繊細な雰囲気を感じさせます。
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ウズマキは、ラザーリ師匠の元で修行していた時は、ガリンベルティ的な、モダンなスタイルで製作していましたが、この数年は、よりクラシカルなストラディバリのスタイルを目指して製作しています。
ですが、立体的なウズマキの造形なので、なかなか求めるイメージを実現するのは難しく、試行錯誤が続いています。
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このヴァイオリンは、すでに手元を離れておりまして、残念ながら、弦楽器フェアでお披露目することはできません。

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弦楽器フェアにて展示する楽器は、後日、ご紹介させていただきます。
最期までご覧いただき、ありがとうございました。
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by violino45 | 2018-10-19 07:38 | 製作記 | Comments(2)

トリエンナーレ・コンクールの参加報告

3年が過ぎるのは早いもので、クレモナでの弦楽器製作コンクール、「トリエンナーレ 2018」が開催され、私も参加いたしました。

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ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの4部門での審査となりました。
各部門の上位入賞者は、コンクール事務局のHPにてご覧いただければ幸いです。
https://www.museodelviolino.org/en/concorso-triennale-2018/


今回は、ヴァイオリン部門について、私自身が参加した所感などを簡単にご報告させていただきます。

このコンクールの正式名称は、
「Concorso Triennale Internazionale di Liuteria Antonio Stradivari」となります。
直訳すると、「アントニオ・ストラディバリ、 3年に一度の国際弦楽器製作コンクール」という感じでしょうか。

ヴァイオリンの聖地クレモナで開催される、しかも「ストラディバリ」の名を冠したコンクールということで、規模、そして注目度の面でも、やはり世界最大のコンクールですし、参加台数の多さがそれを物語っています。
今回は、ヴァイオリンだけで180台程度の参加台数だったと伺っています。

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この180台の中から、メダリストとして選ばれるのは3台だけ、という過酷さを覚悟の上で、世界各国から楽器が集まってきます。

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ヴァイオリン部門でゴールドメダルを受賞した楽器はこちらです。
フランス人のNICOLAS BONETさんで、ミラノの製作学校の卒業生です。
雰囲気のある、良い楽器でした。
おめでとうございます。
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そして、シルバーメダルを受賞したのは、日本の三苫由木子(みとまゆきこ)さんです。
三苫さんは、2006年のヴィエニアフスキー・コンクールでもファイナリスト、そして最優秀ニス賞を受賞された実力派の女性製作家で、クレモナにも定期的に勉強に来られている研究熱心な方です。
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こちらが三苫さんのヴァイオリンです。
今回の作品は、楽器の外観の美しさとともに、特に、音の良さを評価されての受賞だったそうです。
おめでとうございます。

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さて、私自身のヴァイオリンですが、、
順位的には22位となり、上位入賞とはなりませんでしたが、順位そのものには十分満足というか、予想以上に高い評価をいただいたと実感しています。

と言いますのも、180台の参加楽器のうち、50台以上は誰でも一度は名前を聞いたことがある一流の製作家の作品で、それだけでも畏れ多いですが、さらに、最近のコンクールで常に上位入賞している製作家が私の前後に並んでいる光景を見ると、あらためて、過酷なコンクールだったという実感が正直なところです。

こちらが、私のヴァイオリンです。
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コンクールには、もちろん、キャリアアップという大きな目標があって、皆、より良い成績を目指して参加するのですが、メダルを獲得できるのは3人だけですので、残りの177人は皆、残念な思いをするわけです。
なので、順位そのもの以外にコンクールに参加する意義を明確にしておかないと、参加するために費やした労力が無駄になってしまいます。

私の場合、このブログでも過去に書いてきたことですが、普段通りお客様に納品するつもりで完成した作品が、コンクールでどのような評価を受けるのかを分析して、その後の作品に活かすということが、コンクール参加の意義だと考えています。

具体的には、楽器が完成した時点で、外観、音について自己採点しますが、結果が出たら、項目別に細かく得点を分析して、今の自分に足りないものを冷静に判断することで、より普遍的な意味での良い楽器を目指していくアプローチになります。

今回の採点結果を見ると、自分ではあまり自信の無かった項目で高得点だったり、その逆もあったりで、なかなか興味深い結果となりました。

今までもブログで書いていますが、製作家にとって、お客様に楽器をお渡しする時が最大の勝負で、一番緊張する瞬間でもあります。
その時に残念な思いをしないためにも、コンクールの順位に一喜一憂するのではなく、本質的な部分を冷静に分析していければと思っています。


審査が終わった楽器が展示されているのを見ると、いつも、愛おしい気持ちになります。
今回も、よく頑張ってくれました。。
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同僚の高橋明さんの楽器です、ヴァイオリン部門で12位という成績を納められました。

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もう一息でファイナリストだったと思うと、やはり残念ではありますが、クレモナに来て17年以上、良きライバルとして切磋琢磨してきた二人の楽器が、そこそこの成績で評価された事実は、安堵とともに、やはり嬉しい気持ちではあります。
お疲れ様でした。

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さて、同じタイミングで楽器を提出した根本和音君も、初参加ながら、十分に良い評価を得られたようで、なによりでした。
チェロ部門では、根本君の工房の同僚である、同年代の韓国人のGAWANG JUNG さんがゴールドメダルを受賞されました。
クレモナでも、着実に若い世代の製作家が成長していますし、良きライバルを得た彼らの今後の活躍を楽しみに思っています。
まだまだ私達も負けられませんけれどね^^。

高橋明さん、根本和音さんとともに、楽器を提出した時の写真です。
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さて、今回コンクールに参加しましたヴァイオリンは、11月の2日~4日に開催されます、「弦楽器フェア2018」にて展示させていただきます。
ぜひ、この機会にご覧いただければ嬉しいです。

以下、写真にて、ご紹介させていただきます。
いつもどおりの、ストラディバリ、1705年モデルです。
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比較的ワイルドなトラ杢の1枚板です。

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コーナー部分の造形と仕上げは、モデルの特長、製作者の技術、オリジナリティが色濃く出る部分で、言うまでもなくコンクールでの採点でも重要になる部分です。

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表板側のコーナー部分とともに、エフの造形、精密度、美しさなども、コンクールでの得点に大きく関わる部分です。

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そして、ウズマキに関しては、音にはまったく関係のない箇所ではありますが、製作者の技量はもちろん、経験、流派、楽器に対する考え方などが色濃く反映される部分です。

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11月に弦楽器フェアでお披露目させていただきます。
会場にてお待ちしております。
長文をご覧いただき、ありがとうございました。

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by violino45 | 2018-10-02 15:48 | 製作記 | Comments(4)

ストラディバリモデル 製作進行中。

残暑お見舞い申し上げます。
日本はまだまだ暑い日が続いていると伺っております。
引き続き、ご自愛くださいませ。
クレモナも、一時の暑さは去りましたが、夏らしい日が続いております。

先日、ホワイトヴァイオリンをご紹介しましたが、現在ニス塗り中となっております。
今日は、別のストラディバリモデルのヴァイオリンをご紹介いたします。

今回は、トラ杢が少し細身で繊細な感じの2枚板を使用しております。
第一段階の荒削りで、いかにバランス良く、無駄な部分を取り除くことができるかで、後の作業の効率も変わってきますし、最終的なアーチの仕上がりにも影響が出てくるので、慎重かつ大胆に削っていきます。
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ミニカンナの作業では、木材の性質を見極めながら、もっとも音響的に優れていて、さらに見た目も美しいアーチにできるように、少しずつ仕上げていきます。
ミニカンナの刃が当たる音も、木材の性質を知るヒントになります。
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そして、スクレーパーでの作業では、さらに全体のバランスを整えながら、細部の微妙なカーブを調整していきます。
電灯の光でできる影と、手触りに神経を集中させて、ヴァイオリンのアーチを仕上げていきます。
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表板も、同じ段取りで仕上げていきますが、途中でエフをデザインして、エフ込みでのアーチのバランスを見ながらの作業となります。
このあたりまでくると、仕上がりのヴァイオリンの姿が想像できてくるので、作業の楽しさも増してくる感じです。
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ミケにゃんも夏バテ気味ですが、元気に過ごしております。
少しの段差を利用して、自分の腕を枕にすることが多いです。
首が疲れなくて良いのでしょうね。。
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by violino45 | 2018-08-21 05:48 | 製作記 | Comments(2)

ストラディバリモデル、ホワイトで完成。

日本はまだまだ猛暑が続いているようですね、暑中お見舞い申し上げます。
熱中症にはくれぐれもご注意くださいませ。

実は、クレモナも先週から35度越えの日が続いておりまして、厳しい暑さで集中力の維持が難しいですが、地道に仕事をしております。

6月から製作記でご紹介しておりました、ストラディバリモデルのヴァイオリンがホワイトで仕上がりましたので、いつもどおり写真にてご紹介させていただきます。

A・ストラディバリ、1705年のモデルです。
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裏板は、私の好みの、少し変化のあるトラ杢の1枚板を使用しております。
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コーナー部分の仕上げです。
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エフもいつもどおり、アマティ的な丸みのある造形を目指しております。
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ウズマキはこの1年間使用している、ストラドの黄金期のモデルです。
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この後頭部の造形も、美的感覚を問われる部分で、なかなか難しいです。。
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巻き貝のように、このままの形で生まれて成長したような、自然な造形を目指していますが、理想のウズマキの完成は、まだまだ難しい道のりだと感じています。
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たまにはウクレレでも練習しようと準備して、少しよそ見をしていたら、楽譜の上に居座ってしまいました。
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by violino45 | 2018-08-02 06:51 | 製作記 | Comments(4)

コラムのお知らせと、アーチの作業

7月ですね、日本もイタリアも夏本番となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

さて、私が所属する「関西弦楽器製作者協会」では、会員によるコラムを連載しております。
今回、寄稿させていただきましたので、ご紹介させていただきます。
http://www.kansai-violinmakers.jp/column/2570/

駄文失礼いたしました。

コラムにも書きましたとおり、無我夢中で美しい楽器を目指してクレモナに来て17年、このブログも13年目となりました。
毎回、製作する楽器と真剣に向き合い、より良い楽器を目指して仕上げておりますが、まだまだ楽器製作の世界は奥が深く、一生をかけて勉強をしていくものだと実感しております。

今回ご紹介するアーチ削りも、13年前の記事を読み返しても、ほとんど変わらないことを書いていますし、写真も、あまり変わっていない気がします。
それでも、完成する楽器は少しずつ、カタツムリのような歩みで進化していることを信じつつ、一台一台の楽器を製作していきたいと思っております。

というわけで、ミニカンナによるアーチの削りです。
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構造的には、もちろん外側から削っていく作業になりますが、感覚的には、丸ノミでの荒削りで作った骨格に対して、肉付けしていくような感じです。
このミニカンナ、クレモナに来てすぐに手に入れたものですが、手に馴染んでおります。
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スクレーパーでの作業は、肉付けした筋肉に、皮膚を貼り付けていくような感じでしょうか。
ですが、表面を滑らかに仕上げることが目的ではなくて、内面からの張り出しを生き生きと感じるような、自然な膨らみを目指していきます。
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さて、ベランダ菜園のイチゴの鉢植えに、小さな実が付きました。
とても酸っぱくて、デザートという感じではないですが、でも、生命力が凝縮されている感じで、一粒で元気になれます。
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ミケにゃんも、夏の訪れを全身で感じながら、のんびりしています。。
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by violino45 | 2018-07-05 16:17 | 製作記 | Comments(4)

2018後半に向けて、ストラドモデルの製作

早いもので2018年も半ば、6月になりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか?

今年の前半はガルネリモデルの製作で一区切りでしたが、後半はストラドモデルのヴァイオリンを中心として製作していく予定です。

製作を開始しましたのは、私の定番となっております、ストラディバリ1705年モデルです。
いつものように、丸ノミでの荒削りから、アーチの形成が始まります。

この段階では、まだまだ数ミリの余裕を保っておりますので、文字どおり、荒っぽく削っていますが、それでも、仕上げのアーチをイメージしながら、バランス良く削っていくことが大切です。
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この荒削りにも、いくつかの段階がありまして、次の段階では、かなり仕上げに近づいたところまで削りますので、気を抜くと削り過ぎてしまい、取り返しのつかないことになりますし、この時点でアーチのバランスが取れていないと、最後の段階まで、そのアンバランスさを引きずってしまい、良い仕上がりにならないこともありますので、荒削りとはいえ、繊細な作業ではあります。

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実は、この後でパーフリングを入れますが、パーフリングを入れた後に、最後の荒削りをします。
この作業は、以前に撮影した動画でご覧くださいませ。
ほとんど仕上がりラインに近いところまで削りますので、慎重になりますが、木材を残しすぎると、次のミニカンナ作業が大変になりますので、その兼ね合いが難しいところです。



クレモナも、このところ暑くなってきまして、体調維持が大変ではありますが、2018年の後半戦を元気に乗り切っていきたいと思っております。
ミケにゃんは、どんな夢を見ているのでしょうか?
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by violino45 | 2018-06-08 05:57 | 製作記 | Comments(2)

ガルネリモデル 動画と写真でご紹介します。

先日、ストラディバリモデルを動画でご紹介しましたが、ガルネリモデルのヴァイオリンも先日完成しまして、輪野さんに試奏していただきましたので、ご紹介いたします。

曲目は、前回と同じく、パラディスのシチリアーノ、そしてバッハのソナタ1番の冒頭部分の、続けて2曲です
今回も、弦を張って2日目くらいの状態での録音となりました。
生まれたての楽器の声をぜひお聴きください。



お聴きいただきありがとうございました。
今回も、輪野さんには楽器の持つ音色をそのまま引き出していただけたと思います。
普段のストラディバリモデルに比べると、幅が1センチ近く細いヴァイオリンなのですが、低音のふくよかさもある楽器になったのではないかと思っております。


では、完成した楽器を写真にてご紹介させていただきます。

ガルネリ・デル・ジェズ 1731年 ex Huberman モデルです。
オリジナルの楽器の完全コピーではありませんが、サイズ他、楽器の基幹となる部分はできるだけ再現しております。

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裏板は、前回のストラドモデルと同様の、少し変化のあるトラ杢の1枚板を使いました。
名器をモデルとしての製作ではありますが、現代のクレモナで学んだスタイルと、私自身の個性が融合したヴァイオリンに仕上がっていると思います。

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このモデルの特徴が出ているのが、エフの造形です。
ストラディバリほど整っているわけではなく、かといって、後期ガルネリのような大胆さでもない、内なる暴れん坊?のようなエフの雰囲気を、できるだけ再現したいと思って製作しましたが、なかなか難しい経験となりました。。

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こちらが、オリジナルの楽器のエフとなります。

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右側のエフは、こんな感じです。
オリジナルのエフは、少し削れてしまっていて、それも含めて迫力があるのですが、私の美意識の中で、その雰囲気を再現しようとした結果、このような感じとなりました。
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こちらは、裏板のコーナー部分です。
オリジナルの楽器は、長い年月の間に欠けてしまったりして、ガルネリさんがどのような造形を目指していたのか、正確には読み取れないのですが、全体のフォルムとのバランス、トータルでのイメージを考えつつ仕上げました。
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ウズマキも、同じガルネリでもカノン砲のような大胆な造形ですと、特徴が掴みやすいのですが、この時代のガルネリさんのウズマキは、なかなか均整が取れていて、オリジナルの少し荒々しい雰囲気を出すのは難しいところです。

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オリジナルは、こんな感じです。
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反対側は、こんな感じになりました。
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正面は、ストラディバリの流麗なラインとは違って、無骨なウズマキの造形ですが、なかなか味わい深いシルエットです。
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オリジナルは、こちらです。
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斜めから見ると、こんな雰囲気です。
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この数ヶ月、毎日このガルネリモデルを見続けてきたのですが、最終的には、その魅力的な造形に惹き付けられた感じです。
もちろん、今後もストラディバリモデルを中心に製作していくことには変わりはないのですが、機会があれば、ぜひまたガルネリモデルに挑戦してみたいと思っております。
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この季節、ミケにゃんは少しずつ夏毛に変わっていき、表情も精悍な感じ?になってきます。
足の位置が、少し変な写真ですね。。
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by violino45 | 2018-05-01 06:51 | 製作記 | Comments(8)

ストラディバリモデル 試奏動画と写真でご紹介

以前ホワイトでご紹介いたしました、ストラディバリモデルのヴァイオリンが完成しました。
今回も、輪野光星さんに試奏していただきましたので、動画と写真にてご紹介いたします。

輪野さんとのコラボによる試奏動画も3年目になり、いろいろ録音方法なども試しましたが、ほぼ、収録方法も固まってきましたので、今年はこのスタイルで通してみたいと思っております。

輪野さんには、いつも、慣れていない新作楽器を弾いていただき申し訳無い状況ですが、おかげで、生まれたての楽器の音を記録するという、製作家として意義深い経験をさせていただき、感謝しております。
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年齢的には、二回り以上違う世代ではありますが、いろいろな意味で頼りになる、製作者仲間です。
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では、動画をご覧下さいませ。
曲目は、パラディスのシチリアーノ、そしてバッハのソナタ1番の冒頭部分の2曲です。


いかがでしたでしょうか?
弦を張って1日ぐらいしか経過していないヴァイオリンですが、製作者としては、元気に鳴ってくれて安心するとともに、将来的に、より音楽的に響いてくれることが予想できる音色を聴くことができて嬉しい時間となりました。

では、楽器を写真にてご紹介いたします。
モデルは、いつものストラディバリ、1705年モデルです。
このモデルをラザーリ師匠から受け継いで10年以上になりますが、細かい部分はいろいろ変化をしていても、基本的なスタイルは変わらず製作し続けているモデルです。
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裏板は、1枚板ですが、いつもどおり、少し変化のあるトラ杢のカエデを使っております。
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コーナー部分の造形や、エフのスタイルも、自然に独自性が表れてきていますが、基本的には、ラザーリ工房で学んだスタイルを守って製作しています。
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ウズマキは、昨年から新しいモデルを使っておりまして、よりクラシカルなストラディバリのイメージを目指していますが、ラザーリ師匠からの教えと、自然に湧いてくる独自性が上手く融合できているような気がしています。
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この楽器は、すでにお客様の手元にお届けしましたが、とても喜んでいただけたようで、ホッとしました。。
これから、演奏者様とともに、どのような音楽を奏でていってくれるのか、製作者として、とても楽しみに思っています。
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最後までご覧いただき、ありがとうございました。
クレモナは、今年はとても寒くて長い冬だったので、例年は3月の終わりには満開になる桜も、今年は
4月までつぼみのままでした。
少し暖かくなったら、一気に咲きました。
やっと、クレモナにも春が来た感じです。
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ミケにゃんにとっては、一番心地良く眠れる季節のようです。
イタリアカラーの包みは、お菓子ではなくて、手作りのロウソクです。
日本の友人がプレゼントしてくれました。
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by violino45 | 2018-04-16 03:09 | 製作記 | Comments(4)

ガルネリモデル ホワイトで完成

なかなか製作記をこまめに更新できない状況ですが、、、以前からご紹介しておりましたガルネリモデルのヴァイオリンがホワイトで仕上がりましたので、ご紹介いたします。

写真では伝わりづらいですが、黄金期のストラドに比べると、かなり細身なヴァイオリンです。

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裏板は、細めのトラ杢の1枚板です。
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エフはオリジナルの楽器の特徴を再現しつつ、私自身のスタイルを最大限に取り入れての製作となりました。

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ちなみに、オリジナルの楽器のエフはこんな感じです。
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コーナー部分の仕上げです。
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ガルネリは、普段製作しているストラドモデルの造形とは異なりますし、オリジナル楽器のこの部分は削れてしまって、見本もなく、着地点が難しい作業になりましたが、楽器全体の雰囲気に調和するような造形を目指しました。
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ウズマキも、オリジナル楽器の雰囲気を出しつつ、私の新作楽器としての解釈で製作しました。
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ちなみに、オリジナルのウズマキはこちらです。
この、なんとも言えない力強さを100%再現しようとすると、フルコピーをするしかない気がしますが、、、、
でも、新作楽器としてのスタイルを維持しつつ、ある程度は造形を再現できたのではないかと思っております。

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ご覧いただき、ありがとうございました。

ミケにゃんは、時々、部屋の中をグルグル、何かを探すような感じで、叫びながら^^歩き回っています。
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私達の存在に気がつくと、我に返ったように、安心するようです。
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by violino45 | 2018-03-30 06:44 | 製作記 | Comments(4)

ガルネリモデル その後

ガルネリ 1731年 ex Huberman モデル、アーチ削りの作業になっております。

ミニカンナでの作業ですが、普段製作することが多いストラドモデルと比較して、幅が少し狭く、また、全体の形も違いますので、隆起の形も違ってきます。
どのようなアーチにすれば見た目が美しく、また、音が良い楽器になるのか、ミニカンナで削りながらイメージを固めていきます。
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続いて、スクレーパーでの作業になります。
ほぼ真横からに光を当てて影を作り、全体のバランスを整えながら、滑らかなカーブを仕上げていきます。
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裏板のアーチが仕上がりました。
初めてのモデルの場合、アーチによって、どのように音色が変化するのか予測を付けづらいのですが、今までの経験に照らし合わせながら、最適と思われる隆起に仕げていきます。
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表板も、同じ工程で仕上げていきますが、途中でエフをデザインして、最終的な楽器の表情をイメージしながら削っていきます。
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さて、エフの話が出ましたが、オリジナルの楽器のエフはこんな感じで、左右が対称形ではなく、それぞれ、主張を持った造形となっています。
また、ボディのCの部分も、左右で開き具合が異なっていて、アンバランスな印象を受けます。
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ですが、左右、どちらの造形を見ても、この楽器のイメージを明確に表していて、トータルで破綻せずに一つの表情を作っているのは、さすが、ガルネリさんだなと思うところです。
人間の顔も左右で微妙に異なりますが、どちら側を見ても、その人だということを見間違えないですし^^、左右の微妙な違いが表情に魅力を作っている事に似ている気がします。

問題は、この楽器をモデルにして新作ヴァイオリンを製作する場合に、どこまで忠実に造形を再現するのかという点です。
この点については、過去に、イザイモデル、ハイフェッツモデルを製作した時にも説明しておりますが、基本的には、左右対称に製作するというのが私のポリシーですので、オリジナル楽器の左右どちらかを選択して、開く形で全体のモデルを作ります。

ただ、それでは、完全に左右対称な楽器になり、オリジナル楽器のような味わいが足りず、表情が薄い楽器になってしまいますので、実際に木材を削る際に、微妙に修正して、雰囲気を作っていくという作業になります。

いずれにしても、どのモデルで製作する場合でも、製作者の個性、ものの考え方、生き方などが色濃く反映されるのが楽器製作なので、そこが魅力でもありますし、完成した楽器を見れば誰が製作したか分かるような、奥の深い意味でのオリジナリティを追求していきたいと思っております。


ミケにゃんは、ホットカーペットが大好きですが、どちらかというと、上半身というか、頭を温めるのが好きなようです。
のぼせてしまいそうで、少し心配なのですが、、。
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by violino45 | 2018-02-12 15:13 | 製作記 | Comments(2)

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