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ストラディバリ、1705年モデル  動画と写真でご紹介

クレモナも、ようやく暖かくなり、中庭の桜も満開となりました。


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日本のソメイヨシノとは違って、天に天にと向かって伸びていくような、力強い枝振りです。

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しばらくすると、葉桜になり、そして、美味しそうなサクランボが実りますが、毎年、見るだけです。。

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さて、タイトルに書きましたように、以前、ホワイトでご紹介していました、ストラディバリ、1705年モデルが完成しました。
昨年までは、楽器が完成すると、製作仲間の輪野光星さんに動画撮影をお願いしておりましたが、いろいろな都合で、継続することが難しくなってしまいました。
輪野さんには、今まで素晴らしい演奏でコラボしていただき、とても感謝しております、ありがとうございました。


地道に続けてきた動画撮影なので、これからどうしようか思案しましたが、クレモナで演奏活動をされているヴァイオリニストの横山令奈(れな)さんに試奏をお願いできないか尋ねてみたところ、快く引き受けていただきましたので、先日、動画の撮影を行いました。

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横山令奈さんは、2006年にイタリアに留学され、2011年にはクレモナのモンテヴェルディ音楽院を審査員一致の満点で卒業された後、イタリアを中心に活動、ソリストとして数々のオーケストラやアンサンブルとの共演を実現する中、数多くの国際コンクールにて優勝されるなど、輝かしい経歴をお持ちです。
この場では書ききれませんので、横山さんの公式ブログのプロフィールのページをぜひご覧ください。

また、ピアノ、チェロとのトリオでの演奏活動「トリオカノン」もされています。
トリオカノンの公式ページはこちらです。
https://www.triokanon.it

多忙な中、演奏活動をされている横山さんですが、2013年からは、クレモナのヴァイオリン博物館にて、展示楽器の公開演奏者を務められています。
つまり、博物館のホールでは、定期的にストラディバリなどの名器を紹介するリサイタルが開催されていますが、現在、公開演奏者の役職を務められているのは3名の演奏家で、横山さんはその一人なのです。
横山さんの演奏の芸術性、そして楽器の個性を引き出す演奏技術が、高く評価されていることの証明だと思います。

このような役職の方に、新作ヴァイオリンの試奏をお願いすることは、なかなか畏れ多く、勇気がいることではありましたが、伺うところによると、横山さんご自身もクレモナの新作ヴァイオリンを愛用されているとのことですし、私自身、楽器を試奏いただいてご意見を伺うだけでも大変勉強になることですので、思い切ってお願いしたというわけです。

そういうわけで、無事に録音も終了しましたので、動画をご紹介させていただきます。
曲は、バッハのパルティータ2番、ブラームスのハンガリー舞曲5番、タイスの瞑想曲、それぞれ冒頭部分を弾いていただきました。


横山さん、素晴らしい演奏をありがとうございました。
これからも、継続して試奏をお願いできればと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

ちなみに、この日は、録音の直後に、ヴァイオリン博物館にてストラディバリの試奏コンサートがあるとのことで、急いで移動されました^^。

横山さん、4月には帰国されて、26日と27日には大阪にて、トリオカノンとして演奏会に出演されるとのことです。

詳しくは、横山さんの妹の亜美さん(日本でヴァイオリニストとして活動されています)のブログにてご紹介されていますので、ぜひご覧ください。
https://ameblo.jp/ami-yokoyama-violino/entry-12447151700.html



さて、今回試奏いただきましたヴァイオリンを、写真でご紹介させていただきます。

私のメインモデルとなっております、A・ストラディバリ、1705年のモデルです。

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裏板は、少しだけ細かい、そして変化のあるトラ杢の1枚板を使用しました。

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エフは、この1705モデルと相性の良い、アマティ的な雰囲気を持ったデザインです。

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裏板のコーナー部分です、このモデルの特長である、伸びやかな造形を目指しています。

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ウズマキは、この二年ほど、継続して使用しています、黄金期のストラディバリのモデルで製作しました。
最近は慣れてきましたが、毎回、いろいろ悩むのは、どのモデルでも同じです。

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正面からの造形です。

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斜めからも。
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この楽器も、間もなく手元を離れ、お客様の元に旅立っていきます。

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お客様の元で、どのような音色で鳴ってくれるのか、製作者としては毎回心配しつつ、もちろん、とても嬉しい気持ちで送り出します。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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by violino45 | 2019-03-31 06:38 | 製作記 | Comments(4)

クレモネーゼ 1715モデル ホワイトで完成

A.ストラディバリ 1715年 クレモネーゼ・モデルのヴァイオリンがホワイトで完成しましたので、写真にてご紹介いたします。
途中、私のメインモデルである、1705年との違いについて、少し写真にてご説明させていただきます。
(すごくマニアック&ディープな内容になっております^^)

まずは、楽器全体の写真です。 表側から。


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そして、裏側です。

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楽器のシルエットとして、ボディだけの写真をご覧ください。

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比較として、いつもの1705年のボディです。

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なかなか違いは分かりづらいと思いますが、全体の印象としては、いつもの1705年のほうが、ボディ中央部がくびれていて、プロポーションの差が大きいと思います。
センター部分の、特に下側のコーナー部分に着目すると、その違いを感じていただけるのではと思います。

ふさわしい例えかどうかは分かりませんが、クレモネーゼ1715モデルは、ストラドの黄金期の代表モデルらしく、押し出し感が強く男性的なイメージ、対して1705年モデルのほうは、少しアマティ的な繊細さが残った、女性的なイメージとも言えるかと思います。

今度は、表板での比較となります。
まずは、クレモネーゼ1715モデルです。

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そして、1705年モデルの表板です。

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全体的なシルエットの違いは、裏板で説明したとおりですが、それとともに、エフのデザインの違いが、楽器の表情、印象の違いとなっています。

エフの部分を拡大した写真です。

クレモネーゼモデル

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そして、いつもの、1705年モデルです。


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これまた、微妙な違いなのですが、クレモネーゼモデルのほうがエフの縦方向の動きが強く、直線的。 対して1705年モデルのほうは、横方向の広がり感が強く、曲線的という違いがあります。
いつもの1705年モデルのエフは、ラザーリ師匠から譲り受けたモデルで、イタリア語で「Amatizzato」つまり、アマティ的なエフと呼ばれているモデルです。
1705年の楽器のシルエットの女性的なイメージによくマッチする造形で、特に、コーナー部分のデザインとのコンビネーションが絶妙と思います。

すみません、やはり、非常にマニアックで、観念的な説明になってしまいました。
楽器の音にどの程度影響があるかは分からない部分ですが、製作家同士の会話では、もっとも盛り上がる、これだけで酒が飲める内容というのは事実です。

というか、こういう微妙な違いを突き詰めていって初めて、イタリアのヴァイオリン製作の本質に近づくことができるとも言えますし、実際のところ、私自身、このような微妙な違いを勉強するために、また、それを楽器製作に具現化するために会社を辞めてクレモナに留学したようなものですので、今回書きましたような内容は、私の製作家としての根幹にかかわるような大切な部分ではあるのです。

上記の、二つのモデルの違いは、非常に微妙な差ではありますが、見る人が見れば分かる、すごく明確な違いでもあります。
私も以前はそうでしたが、ただ設計図どおりに、モデルとして製作しただけでは、この微妙な違いは表現できないと思います。
モデルの特徴をイメージできる感性、そしてイメージを具現化できる技術力が無いと、どのモデルで製作しても同じように見えてしまいますし、それどころか、ストラディバリにも見えないという状況になってしまいます。

私自身、そのことを十分に体現できているとは思ってはおりませんし、ラザーリ師匠の楽器を見る度に、まだまだ道は遠いことを実感もするのですが、クレモナに来て18年、歩んできた道のりと、これから進むべき道のりをあらためて再確認する意味もあって、あえてマニアックな記述をさせていただきました。


一つだけ、非常に分かりやすい違いをご説明しておきます。
これは、クレモネーゼモデルを製作する場合のポイントとなるのですが、パーフリングを入れる位置(ボディ外周からの距離)が、0.5ミリだけ内側になっています。
つまり、いつもの1705モデルの場合は、外周から4ミリにするのですが、クレモネーゼ1715モデルの場合、4.5ミリになります。
エフの写真を見比べていただければ↑良く分かると思いますが、このことも、クレモネーゼのモデルが男性的な力強さを持つ要因の一つになっています。


さて、マニアックな比較はここまでにして、今回の楽器を写真でご紹介していきます。
裏板は、オリジナルのクレモネーゼとはだいぶ印象が違いますが、私の好みの、動きのあるトラ杢の1枚板です。

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コーナー部分です。

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エフの造形です。

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ウズマキは、数年前から黄金期ストラドのモデルで製作していますので、今回、特に大きな違いはないかと思います。
ウズマキの話を始めると、さらにディープな、泥沼的なマニアック話になってしまいますが、また別の機会にご紹介できればと思っております。


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最後までご覧いただき、ありがとうございました。


ベランダから見える桜は、まだ開花までは日がかかりそうですが、少しずつ、つぼみが膨らんでいるようにも見えます。
春は、もう近くまで来ているようです。

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by violino45 | 2019-03-10 17:44 | 製作記 | Comments(4)

ストラド クレモネーゼ ”1715” モデルの製作

2019年、2台目となるヴァイオリンは、ストラディバリの、いわゆる黄金期とされる1715年に製作された「クレモネーゼ」です。

おそらく、世界で最も有名なストラディヴァリのヴァイオリンではないかと思います。
過去に、様々なポスターや書籍で紹介されたきた楽器ですが、私が以前購入した、「Strumenti di Antonio Stradivari」にも原寸大で記載されています。

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実物は、もちろんクレモナのヴァイオリン博物館に展示されています。

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新作ヴァイオリンのモデルとしても人気がある楽器なのですが、私自身、クレモナに留学した2001年以来、初めて製作するモデルとなります。

理由はいろいろあるのですが、一番大きい理由は、2003年にラザーリ師匠に弟子入りして以来、師匠から譲っていただいた1705年モデルを追求したいという思いから、積極的に他のモデルを製作しなかったことと、コンクールの受賞などの経緯もあり、1705年モデルが最も得意なモデルとなったことだと思います。

一度だけ、お客様のご要望で1707年のカテドラル・モデルを製作したことがあり、結果も良かったのですが、定番のモデルのヴァリエーションとして継続して製作するには年代が近すぎることから、その後は製作しておりません。

実は、クレモネーゼ・モデルは、2010年に、高橋明さん、天野年員さんとともに、宮地楽器さんとのコラボレーションという形で共同製作楽器として製作したことがあります。(私は裏板とニスを担当しました)

その時に、高橋明さんがCADで設計図を作成されたので、今回は、その設計図を使わせていただくことにしました。
高橋さん、ありがとうございました。

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設計図を元に、私なりのアレンジを加えて製作した内型です。

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内型にブロック材を貼り付けて、横板を曲げる作業に入ります。

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Cの部分を貼り付けた状態です。

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横板を貼り終わり、やっとヴァイオリンの形になりました。
新しい内型の場合、計算通りに目的のモデルの形になるかどうか、製作してみないと分からない部分もあるので、いろいろ心配ではあるのですが、ここまでくれば、少し安心です。

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横板の形をもとに、裏板と表板を切り出していきます。

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そして、アーチ整形は、丸ノミでの荒削りの作業から始まります。
同じストラディバリのモデルでも、1705年と1715年では、微妙なカーブの違いと、上部、C部、下部のプロポーションが違うので、荒削りの作業から、アーチの見え方が微妙に異なり、いつもより慎重に削らないと失敗する危険があります。

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ミニカンナの作業でも、アーチの完成形のイメージがいつもと異なるので、いつもより時間をかけて作業をすることになります。

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スクレーパーで、一応の仕上げとなりますが、一日経過するとまた見た印象が変わってくるので、裏側を削って厚み出しをする段階になってからも、微妙に修正しながら仕上げていきます。

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とりあえずの仕上がりです。
モデルはクレモネーゼですが、当然、使用している木材は違いますので、オリジナルのコピーを目指すのではなく、この裏板の特性に見合った形を目指して仕上げていきます。

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いろいろ悩みますが、音響的には、弦を張って音を出すまでは結果を知ることができない、気長な仕事になりますので、経験上、アーチを削っている間は、どちらかというと見た目の美しさを目指して集中するほうが、結果的には良い楽器として仕上がるような気がしています。

by violino45 | 2019-02-15 06:44 | 製作記 | Comments(4)

ストラドモデル ホワイトで完成しました

前回、アーチ作業をご紹介してから、間が空いてしまいましたが、ホワイトで完成しました。

いつもの、A.Stradivari 1705年モデルで製作しました。

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裏板は少し繊細なトラ杢ですが、動きのある模様の1枚板です。

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コーナー部分の仕上げです。
切れ味があって、しかも柔らかい雰囲気の造形を目指しておりますが、、今回はどうでしょうか。

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エフは、ストラドの力強さに、アマティ的な柔らかさが含まれた雰囲気を目指しています。

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前回ご覧いただいたアーチ、完成形はこんな感じです。

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ウズマキは、このところの私の定番となりました、黄金期のストラディバリのモデルです。

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クリスマスの時期に、静かに削っていたウズマキでした。

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さて、ミケにゃんにお供えしていたヒヤシンスですが、、

少し咲いてきたと思ったら、

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どんどん勢いがついてきて、、

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あっというまに満開になりました。
花が重くて倒れてしまうので、、ゴムで支えています。。
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ヒヤシンスの花、ひとつひとつが繊細な花弁ですね。
そして、香りがすごいことにあらためて驚きました。
部屋中、ヒヤシンスの芳香に包まれております^^。

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by violino45 | 2019-01-28 16:01 | 製作記 | Comments(2)

ストラドモデルの製作 アーチ削り

1月も半ばとなりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

クレモナも寒い日が続いておりますが、なぜか今年は天気が良い日が多く、比較的過ごしやすい冬となっております。

さて、先日、横板までご紹介しておりましたストラドモデルのヴァイオリンですが、今回は裏板のアーチの整形についてです。

横板の形に沿って切り抜いた裏板を、丸ノミを使って荒削りしていきます。

ヴァイオリン製作の中でも、最も体力を使う作業かもしれません。
真冬でも、服を脱いで、半袖になってしまいます。

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体力を使うと言っても、筋肉だけではなく、頭脳も使わなくてはいけません^^。
荒削りは、余分な木材を取り除く作業ではありますが、この時点で、仕上がったアーチのイメージを明確に持つことが重要です。

パーフリングを入れた後で、もう一度、丸ノミで荒削りをしますが、すでにアーチとしてまとまった造形を整えていけるかどうかで、この後のミニカンナの作業の効率も違ってきますし、最終の仕上がりにも影響が出てくる、重要な作業です。

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ミニカンナの作業は、かなり最終仕上げラインに近いところまで削りますが、怖がって木材を残しすぎてしまうと、造形が平坦なアーチになってしまいがちです。
この時点で造形がイマイチなアーチを、次のスクレーパーで劇的に変化させるのは難しく、時間もかかるので、ミニカンナでどこまで攻めていけるかが、アーチ削りの山場となります。

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スクレーパー作業では、表面を全体に整えることも重要ですが、アーチの造形が不十分なのに全体を整えてしまうと、そこからさらに踏み込んでいくのは難しくなります。
かといって、表面を滑らかに整えると初めて見えてくる造形もあるので、その兼ね合いが難しいところです。
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これで一応の完成ですが、箱を閉じるとまたアーチの印象も変わってきますので、最終的な仕上げは、ホワイトヴァイオリンの形になってから微調整します。

アーチ削りは、見た目の美しさと、楽器の音に対して、共に重要な作業ですので、常に、その両方を考えながらの作業になりますが、状況によっては相反する部分も出てきて、二人の自分が戦う状況にもなります。

その点、この後の、厚み出しの作業は、音の事だけを考えれば良いのですが、でも、音を追求するとともに、楽器の強度を維持しなければならないので、結局の所、どこまで行っても、楽器の完成まで、二人の自分が戦うことになります。

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さて、ミケにゃんの霊前に供える花として買ってきた、ヒヤシンスの苗です。
最初は、ほとんど葉だけだったのですが、
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だいぶ、つぼみが伸びてきました。
花が咲くのが楽しみです。
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by violino45 | 2019-01-14 08:15 | 製作記 | Comments(2)

メリークリスマス!

皆様、穏やかなクリスマスをお過ごしのことと思います。

私自身は、特にいつもと変わらず、生活しております^^。

新作ヴァイオリンは、思うところもあり、ウズマキから製作しています。
丸ノミを使った静かな作業は、クリスマスにぴったりです。。

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庭の桜の木は、幹だけになりました。
一見、物寂しげな風景ですが、来年3月に花を咲かせるために、エネルギーを溜め込んで、やる気満々で冬を過ごしているのだと想像すると、とても力強い景色に見えてきますね。
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最後に、15秒ほどのミニ動画でクリスマスのご挨拶とさせてください。
ほぼ完成したウズマキと、私のアパートでいつもお世話になっているシニョーラ・マッダレーナさんにいただいた可愛い電飾です。



ご覧頂きありがとうございました。
皆様、暖かくして、良いクリスマスをお過ごしください。

by violino45 | 2018-12-25 18:49 | 製作記 | Comments(3)

新作ヴァイオリンのスタート

ミケにゃんが永眠してから二週間が過ぎました。

悲しみそのものは癒えませんが、火葬も無事に終わり、気持ち的には一区切りとなりました。

ブログのコメントやSNS等で、皆様からたくさんの温かいお言葉をいただき、ありがとうございました。
ミケにゃんも喜んでいると思います。
あらためて感謝申し上げます。

さて、沈んでばかりでは前に進めませんし、これ以上ミケにゃんにも心配をかけられませんので、拙ブログも製作記を再開したいと思います。
ちょうど、12月に入り、新しいヴァイオリンの製作を始めましたので、ご紹介いたします。

今回も、ストラディバリ1705年モデルでの製作となります。
内型に、横板を貼り付けるところから始まります。

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いわゆる、Cの部分をまず貼り付けます。
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この内型は、ラザーリ師匠の下で修行中の2005年にコピーさせていただいたものです。
その後、このモデルをメインで製作すると決めてから、あと2つ、同じ内型を製作しまして、計3つの内型を順番に使って製作しておりましたが、この第一号の内型がやはり使用頻度が高かったです。

楽器を製作するたびに、ブロック材を貼り付けて、コーナー部分の形に削るのですが、その時に、どうしても少しずつ、内型そのものも摩耗してしまうので、長い年月の間に、内型が変形してしまうことになります。
内型を作り直しても良いのですが、13年間の愛着もありますし、何十台もの楽器を生み出した内型は、やはり貴重なものですので、まだ変形は許容範囲内ですが、今回、少し修理をすることにしました。
変化したカーブはごく僅かですが、少し大きめに切り取って、木片を貼り付け、本来のカーブを再現するように削り出しました。
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これでしばらくは、この内型本来の形でヴァイオリン製作ができそうです。
数年後には、別の場所を修理することになると思いますが。
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上下部分の横板も貼り付けて、ヴァイオリンの形の完成です。
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さて、クレモナも12月に入り、朝は氷点下になる日も出てきて、本格的な冬が始まりました。
ベランダから見える風景も、紅葉というか、落葉の季節であることを実感します。
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枯れ葉が散っていくのを見るのは少し寂しいものですが、一年間、太陽から栄養を吸収して、冬の間に休んで、春には一気に花を開いて果実を実らせるための大切なプロセスであることを思うと、枯れ葉の桜も、生命力が溢れたものに感じます。
3月に、また満開の桜を見られることを楽しみにしています。
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by violino45 | 2018-12-14 05:59 | 製作記 | Comments(2)

ストラディバリモデル 動画と写真でご紹介

8月にホワイトでご紹介しておりましたヴァイオリンが、ようやく完成しましたので、ご紹介させていただきます。

今回も、輪野さんに試奏をお願いしました。
曲は、バッハのパルティータ2番、冒頭部分を弾いていただきました。



いつもながら、ニス塗りが終わって、磨いて、部品を組み込んで、弦を張って、軽く調整しただけの状態のヴァイオリンの音色ではありますが、まさしく生まれたての声を記録に残せているのは、製作者として嬉しいことだと思っております。
輪野さん、今回も素敵な演奏をありがとうございました。


では、ヴァイオリンを写真にてご紹介いたします。

いつもどおり、A.ストラディバリ、1705年のモデルを使用して製作しました。
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裏板は、若干変化のあるトラ杢の一枚板を使用しました。
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ストラディバリは、アマティ工房で修行しましたので、若い頃は、ニコロ・アマティの影響を強く受けた作品が多いですが、独立して、試行錯誤しながら製作していく中で、ストラディバリ独自のスタイルに少しずつ変化していきました。
エフの造形も、その一つで、アマティの弟子の時代から、黄金期に至るまで、大きく変化しているのですが、師匠のラザーリ氏から譲り受けたエフは、独自のスタイルを確立しながらも、まだアマティの影響が残る時代のデザインとなっています。
黄金期の、張り詰めた力強さが目立つエフと比較して、全体的に丸く、優しいイメージのエフになっています。
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Cの部分や、コーナー部分の造形も、黄金期の押し出しの強いイメージよりも、1705年のモデルは、全体に繊細な雰囲気を感じさせます。
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ウズマキは、ラザーリ師匠の元で修行していた時は、ガリンベルティ的な、モダンなスタイルで製作していましたが、この数年は、よりクラシカルなストラディバリのスタイルを目指して製作しています。
ですが、立体的なウズマキの造形なので、なかなか求めるイメージを実現するのは難しく、試行錯誤が続いています。
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このヴァイオリンは、すでに手元を離れておりまして、残念ながら、弦楽器フェアでお披露目することはできません。

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弦楽器フェアにて展示する楽器は、後日、ご紹介させていただきます。
最期までご覧いただき、ありがとうございました。
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by violino45 | 2018-10-19 07:38 | 製作記 | Comments(2)

トリエンナーレ・コンクールの参加報告

3年が過ぎるのは早いもので、クレモナでの弦楽器製作コンクール、「トリエンナーレ 2018」が開催され、私も参加いたしました。

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ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの4部門での審査となりました。
各部門の上位入賞者は、コンクール事務局のHPにてご覧いただければ幸いです。
https://www.museodelviolino.org/en/concorso-triennale-2018/


今回は、ヴァイオリン部門について、私自身が参加した所感などを簡単にご報告させていただきます。

このコンクールの正式名称は、
「Concorso Triennale Internazionale di Liuteria Antonio Stradivari」となります。
直訳すると、「アントニオ・ストラディバリ、 3年に一度の国際弦楽器製作コンクール」という感じでしょうか。

ヴァイオリンの聖地クレモナで開催される、しかも「ストラディバリ」の名を冠したコンクールということで、規模、そして注目度の面でも、やはり世界最大のコンクールですし、参加台数の多さがそれを物語っています。
今回は、ヴァイオリンだけで180台程度の参加台数だったと伺っています。

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この180台の中から、メダリストとして選ばれるのは3台だけ、という過酷さを覚悟の上で、世界各国から楽器が集まってきます。

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ヴァイオリン部門でゴールドメダルを受賞した楽器はこちらです。
フランス人のNICOLAS BONETさんで、ミラノの製作学校の卒業生です。
雰囲気のある、良い楽器でした。
おめでとうございます。
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そして、シルバーメダルを受賞したのは、日本の三苫由木子(みとまゆきこ)さんです。
三苫さんは、2006年のヴィエニアフスキー・コンクールでもファイナリスト、そして最優秀ニス賞を受賞された実力派の女性製作家で、クレモナにも定期的に勉強に来られている研究熱心な方です。
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こちらが三苫さんのヴァイオリンです。
今回の作品は、楽器の外観の美しさとともに、特に、音の良さを評価されての受賞だったそうです。
おめでとうございます。

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さて、私自身のヴァイオリンですが、、
順位的には22位となり、上位入賞とはなりませんでしたが、順位そのものには十分満足というか、予想以上に高い評価をいただいたと実感しています。

と言いますのも、180台の参加楽器のうち、50台以上は誰でも一度は名前を聞いたことがある一流の製作家の作品で、それだけでも畏れ多いですが、さらに、最近のコンクールで常に上位入賞している製作家が私の前後に並んでいる光景を見ると、あらためて、過酷なコンクールだったという実感が正直なところです。

こちらが、私のヴァイオリンです。
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コンクールには、もちろん、キャリアアップという大きな目標があって、皆、より良い成績を目指して参加するのですが、メダルを獲得できるのは3人だけですので、残りの177人は皆、残念な思いをするわけです。
なので、順位そのもの以外にコンクールに参加する意義を明確にしておかないと、参加するために費やした労力が無駄になってしまいます。

私の場合、このブログでも過去に書いてきたことですが、普段通りお客様に納品するつもりで完成した作品が、コンクールでどのような評価を受けるのかを分析して、その後の作品に活かすということが、コンクール参加の意義だと考えています。

具体的には、楽器が完成した時点で、外観、音について自己採点しますが、結果が出たら、項目別に細かく得点を分析して、今の自分に足りないものを冷静に判断することで、より普遍的な意味での良い楽器を目指していくアプローチになります。

今回の採点結果を見ると、自分ではあまり自信の無かった項目で高得点だったり、その逆もあったりで、なかなか興味深い結果となりました。

今までもブログで書いていますが、製作家にとって、お客様に楽器をお渡しする時が最大の勝負で、一番緊張する瞬間でもあります。
その時に残念な思いをしないためにも、コンクールの順位に一喜一憂するのではなく、本質的な部分を冷静に分析していければと思っています。


審査が終わった楽器が展示されているのを見ると、いつも、愛おしい気持ちになります。
今回も、よく頑張ってくれました。。
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同僚の高橋明さんの楽器です、ヴァイオリン部門で12位という成績を納められました。

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もう一息でファイナリストだったと思うと、やはり残念ではありますが、クレモナに来て17年以上、良きライバルとして切磋琢磨してきた二人の楽器が、そこそこの成績で評価された事実は、安堵とともに、やはり嬉しい気持ちではあります。
お疲れ様でした。

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さて、同じタイミングで楽器を提出した根本和音君も、初参加ながら、十分に良い評価を得られたようで、なによりでした。
チェロ部門では、根本君の工房の同僚である、同年代の韓国人のGAWANG JUNG さんがゴールドメダルを受賞されました。
クレモナでも、着実に若い世代の製作家が成長していますし、良きライバルを得た彼らの今後の活躍を楽しみに思っています。
まだまだ私達も負けられませんけれどね^^。

高橋明さん、根本和音さんとともに、楽器を提出した時の写真です。
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さて、今回コンクールに参加しましたヴァイオリンは、11月の2日~4日に開催されます、「弦楽器フェア2018」にて展示させていただきます。
ぜひ、この機会にご覧いただければ嬉しいです。

以下、写真にて、ご紹介させていただきます。
いつもどおりの、ストラディバリ、1705年モデルです。
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比較的ワイルドなトラ杢の1枚板です。

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コーナー部分の造形と仕上げは、モデルの特長、製作者の技術、オリジナリティが色濃く出る部分で、言うまでもなくコンクールでの採点でも重要になる部分です。

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表板側のコーナー部分とともに、エフの造形、精密度、美しさなども、コンクールでの得点に大きく関わる部分です。

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そして、ウズマキに関しては、音にはまったく関係のない箇所ではありますが、製作者の技量はもちろん、経験、流派、楽器に対する考え方などが色濃く反映される部分です。

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11月に弦楽器フェアでお披露目させていただきます。
会場にてお待ちしております。
長文をご覧いただき、ありがとうございました。

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by violino45 | 2018-10-02 15:48 | 製作記 | Comments(4)

ストラディバリモデル 製作進行中。

残暑お見舞い申し上げます。
日本はまだまだ暑い日が続いていると伺っております。
引き続き、ご自愛くださいませ。
クレモナも、一時の暑さは去りましたが、夏らしい日が続いております。

先日、ホワイトヴァイオリンをご紹介しましたが、現在ニス塗り中となっております。
今日は、別のストラディバリモデルのヴァイオリンをご紹介いたします。

今回は、トラ杢が少し細身で繊細な感じの2枚板を使用しております。
第一段階の荒削りで、いかにバランス良く、無駄な部分を取り除くことができるかで、後の作業の効率も変わってきますし、最終的なアーチの仕上がりにも影響が出てくるので、慎重かつ大胆に削っていきます。
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ミニカンナの作業では、木材の性質を見極めながら、もっとも音響的に優れていて、さらに見た目も美しいアーチにできるように、少しずつ仕上げていきます。
ミニカンナの刃が当たる音も、木材の性質を知るヒントになります。
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そして、スクレーパーでの作業では、さらに全体のバランスを整えながら、細部の微妙なカーブを調整していきます。
電灯の光でできる影と、手触りに神経を集中させて、ヴァイオリンのアーチを仕上げていきます。
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表板も、同じ段取りで仕上げていきますが、途中でエフをデザインして、エフ込みでのアーチのバランスを見ながらの作業となります。
このあたりまでくると、仕上がりのヴァイオリンの姿が想像できてくるので、作業の楽しさも増してくる感じです。
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ミケにゃんも夏バテ気味ですが、元気に過ごしております。
少しの段差を利用して、自分の腕を枕にすることが多いです。
首が疲れなくて良いのでしょうね。。
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by violino45 | 2018-08-21 05:48 | 製作記 | Comments(2)