内型の取り外し
横板に裏板を接着した後、骨格となっていた内型を取り外します。
まず、ハンマーでブロックを軽く叩いて、接着をはがします。
ヘラで根気良くはがしても良いのですが、内型が痛んで寿命が短くなるので、私はこの方法ではずします。
でも、強く叩きすぎると、ブロックを割ってしまいますので、、、要注意です。
次に、ハンマーでブロックを上から叩き、徐々に内型を引き出していきます。
6箇所のブロックをまんべんなく、少しずつ叩いていきますが、ブロックの接着が残っていると内型は出てきませんので、その場合は、ヘラではがす事もあります。
少し内型が出てきました。
ここまで来ると、あとは均等に出てくるように気をつけながら、少しずつ作業します。
内型が傾いたまま、無理やり取り出すと、横板が割れてしまいます。
あとすこし、、、、毎回、意味もなく気持ちが高ぶる瞬間です。
慎重に、、。
無事に外れました~。
初めてバイオリンを作った時、この瞬間は、感動しました。
妙に、、「楽器」を作っているという事実を再確認する瞬間です。
やはり、平面だった裏板に、横板が貼り付いて、急に立体になるので、楽器らしくなったな~と嬉しくなるのかもしれませんね。
あれ、君、どこにいたの?
by violino45 | 2007-08-26 07:36 | 製作記 | Comments(14)
うわっ、金槌で叩いてはがすんですか??
なんだか、せっかく作った楽器が壊れそうに思いますが、大丈夫なんですね
かなり驚きです
私のブロック、かなりベトベトに貼り付けた気がしますが、外せるかな~って以前から思ってます。
はずれなかったら、どうしようなんて
驚いていただいて光栄デス。
、、、ていうか、、、説明が足りなくて、不用意に真似をして壊してしまう方がいたら申し訳ないですね。
少し補足をしないと、ですね。
ブロックは、ごく少量のニカワで貼り付けてありますので、ちょっとショックを与えればすぐにはずれます。
写真だと、ハンマーで殴っているようにも見えますが、実際は、軽く叩いているだけです。
まれに、少し叩いたぐらいでは剥がれない、「ド根性ブロック」もいますが、その時は、無理をせずにパレットナイフではがします。
ブロックの接着は難しくて、ニカワが少なすぎると、横板を貼り付けている時にはがれてパニックになりますし、多すぎると、後で苦労します。
大工協奏曲さんのブロックがどの程度の「ド根性」で貼りついているのかは分かりませんが、慣れない内は、無理をせずパレットナイフで剥がすことをお勧めいたしますです。
内型をはずしたときに、ブロックの、裏板と接着する部分がすでに整形されていますが、これはどのタイミングでやるのですか?
横板を組んだ時点でやるのだと考えて、自分でもトライしてみましたが、ノコが入りにくく整形しにくいように思えます。菊田さんのように丁寧には行かないですね!
ご質問をありがとうございます。
ブロックの整形は、ライニングを貼り付けた後でします。
のこぎりを使う方もいらっしゃいますが、私は、丸ノミと平のみ、そして紙やすりで仕上げます。
この時点で仕上げておくと、後で、裏板を傷つけずに済みますよね。
次回の作品の時、この作業をご紹介したいと思っています。
そうですか、それにしても一つ一つの工程が実に丁寧ですね。ブログのすべてを拝見しましたが、見えないところに気を配る姿勢は、何事に対してもまじめに取り組む菊田さんのお人柄がそのまま表れているのだなと感じました。
本当に見習いたいと思います。
ところでこの場をお借りして大工協奏曲さんへアドバイス。
ブロックが外れないときは少しずつアルコールをニカワのついたところに差し込みながら(僕は注射器を使います)ヘラ(パレットナイフ)で外して行きます。くれぐれも必要な接着面(剥ぎなど)にかからぬようお気をつけください。
はたさん アドバイスありがとうございます
ニカワは熱でしか溶けないと思っていたんですが、アルコールでも溶けるんですか
今度試してみます
いえいえ、こちらこそ、はたさんのようなベテランの方にブログをご覧頂いて、恐縮するとともに、光栄です。
見えないところに気を配るのは、ついつい楽な方に流れてしまう自分自身に喝を入れる意味もあるのですが、実際に、内部をきれいに仕上げた方が、全体の仕上がりも良くなるのは不思議な現象です。
大工協奏曲さんへのアドバイスもありがとうございます。
なるほど、、、注射器、、、良い事を聞きました。
ブログ上でこういう交流があって、しかも有効な情報が得られるのは、管理人冥利に尽きますね。
今後とも、よろしくお願いいたします。
そうですね、ニカワを溶かすには、水でもいいですし、アルコールも有効です。
熱を加えればさらに早くはがれますので、蒸気を使う方法もありますね。
いずれにしても、ポイントは、急がない事、でしょうか。
またお気軽にご質問をいただければ幸いです。
>実際に、内部をきれいに仕上げた方が、全体の仕上がりも良くなるのは不思議な現象です。
こういうことに気付けるのが菊田さんの感性のすばらしいところだと思います。僕は言われてみてはじめて「そういや、そんな気もするな。。。」
ですね。
僕も年数ばかり「ベテラン」になってしまいましたが、ふと振り返ると、どれだけ真摯に楽器やそれを作る自分にむかっていたのか、疑問です。
本当に年数だけこなしたのでは自分の悪い癖が出てしまうのだなあと思います。
いえいえ、はたさんは、とても真摯に楽器を製作されていて、それを分かりやすい形でお客様に伝えていて、すばらしいと思っています。
日本で工房を開くなら、はたさんのようなお店にしたいと、目標にもしておりますです。
クレモナに留学するときに出した挨拶状にいただいたお返事の内容を、今も心に留めて修行しておりますです。(はたさんはお忘れかもしれませんが、、、)
なんて書きましたっけ?。。完璧に忘れている。。
アホなこと書いてなければいいのですが。。。どうぞ忘れてくださいね。
お調子者なもので。。。
いえいえ、こちらこそ、今頃、気になるようなことを書いてすみません。
私が、「一人前の製作者に早くなれるようにがんばります。」みたいなことを書いたのですが、それに対して、「それにはいろいろな要素が絡んできて、自分のイメージには沿わない事もあるので難しい」というようなことを書いていただいたのです。
その後、いろいろな局面に遭遇するたびに、この言葉を思い出すことが多いです。
まだまだ、一人前には程遠いですが、変わらない気持ちで歩いていきたいと思っています。
あの時は僕自身色々紆余曲折(まあ、今でもいろいろありますが)していたので、そのことがでてきたのでしょうね。僕の手紙が菊田さんの足を引っ張ってなかったみたいでいまごろホッとしてます。
言葉に気をつけなくっちゃ!
いえいえ、あの時いただいたお言葉のおかげで、自分の将来像を冷静に考えるきっかけとなりましたので、本当に感謝しています。
これからも、私自身、いろいろ紆余曲折もあるのだと想像していますが、少しずつ、自分のイメージする製作者像を目指して歩いていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。