パガニーニのカノン砲
ずいぶんご無沙汰してしまいました。
遅くなりましたが、チャイコフスキーコンクールのヴァイオリン部門での、神尾真由子さんの優勝は、私もとても嬉しく拝見しました。
おめでとうございます。
実は、私も出演させていただいた、昨年末の「スマステーション・海外で活躍する日本人特集」で、神尾さんも紹介されていまして、すごく迫力のある、線の太い音を出す方だと、とても印象深く思っていました。
同じ番組に出演した仲間?として同じコンクールでの優勝を喜んでおります。
でも、神尾さんは、私のことは知らないでしょうけれど、、、。
、、、、いいんです、、、そんなことは、、、。(;_;)
それはともかく、、
とりあえず今は、コンクールで優勝してロシア政府に献上(没収?)したバイオリンを納める予定だったお客様への楽器の製作を始めたところですが、それはまたご紹介するとして、今年の夏に製作予定のカノン砲について、、、。
これは、カノン砲のポスターです。
実は、クレモナに留学する直前の2000年に、一台だけ製作したことがありまして、その楽器は、現在、たにつちさんの愛器として、日夜美しい音楽を奏でています。
超絶技巧を駆使した演奏で、伝説的なヴァイオリニストとなったニコロ・パガニーニが所有し、亡くなる時も、絶対に他人には弾かせないことを条件にジェノヴァ市に寄贈されたこの楽器の製作者は、いわゆるガルネリ・デル・ジェズ(イエスのガルネリ)と呼ばれる、ジュゼッペ・バルトロメオ・ガルネリで、ストラディバリの黄金期と同時期に活躍した製作家です。
ニコロ・アマティの繊細な楽器の影響を強く受けたストラディバリとは異なり、どちらかというとブレシア派の影響を受けたようで、特に後期の作品は豪快な印象ですが、とりわけこのカノン砲は、大胆な造形のスクロールをはじめ、全ての面でデル・ジェズの作風を代表していると思います。
私がたにつちさんのカノン砲を製作した2000年は、ちょうど、クレモナに留学しようかどうか迷っていたのですが、夏にクレモナ旅行をしていろいろなマエストロに出会い、「ああ、やっぱりクレモナに来なければ自分の目指す楽器は作れない」と、決意も新たにした時期の作品です。
クレモナで見たいろいろな楽器の印象がまだ鮮烈なうちに、一気に製作したのが良かったのか、今、あらためて見ても悪くない、勢いのある楽器に仕上がったと思っています。
(デル・ジェズの霊が乗り移ったか?と、半ば、本気で思いました、、^^)
あれから7年過ぎ、今はまさに7年前の夢だった、クレモナでの製作に没頭している毎日ですが、再びカノン砲を製作するチャンスをいただきました。
自分としては、この7年間で何が変わったのか、何を得て、何を失ったのか、さらけ出すようで、内心、怖いのですが、全ての邪念を捨てて、素直に取り組みたいと思っています。
完成したら、たにつちさんのカノン砲と比較することができたら、楽しいかな?と勝手に思っています。
実際に製作を始めるのは、もう少し後ですが、とりあえず、お知らせという感じです。
2000年に作った時の内型は、日本に置いてきたので、内型から製作しますが、モデルになる薄板は当時の物が残ってましたので、それを使います。
オリジナルのカノン砲は、左右も対象ではないですし、かなりゆがんでいますが、それをコピーするのではなく、ストラドモデルを作る時とまったく同じで、可能な限り丁寧な、滑らかな楽器に仕上げたいと思っています。
つまり、カノン砲の形を借りた、現代クレモナ流ヴァイオリン、菊田風味、といった感じでしょうか。
写真は、内型用のベニア板に、モデルからデザインを写し取っているところです。
もちろん、左右対称になります。
ちなみに、本物のカノン砲は、パガニーニの遺言もどこへやら、、、今は、至るところに貸し出されて、記念コンサートなどで演奏されていますね。
でも、楽器にとっては、その方が良いのはもちろんで、デル・ジェズも喜んでいると思います。
クレモナで、私もコンサートを聴きましたが、朗々と響くその音は、まさに、「大砲」でした。
パガニーニが、カノン砲(IL CANNONE)と名付けた気持ちも分かります。
ちなみに、名前の由来となった、本来の「カノン砲」は、こんな感じです。
by violino45 | 2007-07-05 06:06 | 製作記 | Comments(18)
昨日せばすちゃんさんのブログにお邪魔し、お写真拝見して、○眼の目を駆使してよ~く見たら・・・・もしかしてもしかして!?・・と感激していたところでした。(違っていても気にしないでくださいね^^)
たにつちさんのカノーネくんとの出会いをもう1度読んでみました。
素敵な出会いがあったのですよね・・・(涙)
私には楽器の違いはよくわかりませんが、また製作日記を楽しみにしておりますね!
あ、せばすちゃんさんの早速のコメントを拝見したらば(ありがとうございます♪)you tubeでめざましの動画が見れるヨ!とのことでしたので、早速見てまいりました!
お声をお聞きしたのって初めてだったかも・・・お声も素敵ですね!そしてあのコメント・・・たにつちさんのレポで存じ上げていたとはいえ、菊田さんのお志に改めて感動しました(涙)
あ。なんか涙もろくなってるような・・・?トシだわ・・・がくっ(~_~;)
改めて作られると、どのようなできばえになるのか、興味深いです。
デルジェズが乗り移って作られたうちのカノーネくんは、今日も暑いですが元気です。ご紹介くださりありがとうございます。
これを作られたころの心の内、初めてうかがうようで感動しました。
カノン@アラ菊田、ほんとに楽しみにしてます。(弾きたい!)
あ、チャイ授賞式は、まだでしょうか?
そうですか~、2000年の弦楽器フェアーにご来場いただいていたのですね。
ありがとうございました。
あの時は、数日前にやっとニスを塗り終わった状態で、ヒヤヒヤものでしたが、なかなか良い評価をいただくことができて、ホッとしたものです。
なにせ、デル・ジェズが背後霊ですから、、、、(^^)。
そうですね~、7年の歳月を経て、どんな作品が生まれるのか、自分自身でもとても楽しみにしています。
あ、でも、プレッシャーには弱いので、、、お手柔らかに、お願いしますデス。
その後、楽器の調子はいかがですか?
また機会があれば、ぜひ拝見させてくださいませ。
そうですか~、あのせばさん家での写真で分かっていただけたとは、ゆみさん、まだまだ若いです~^^。
私は、虫眼鏡で確認しました(;_;)。
ダックス君、ありがとうございました。
でも、よく転ぶので、壊れたら悲しいので、今は、戸棚に飾らせていただいてます。
そうなんです~、めざましてれび、、、youtubeで公開されていますね。
光栄なのですが、恥ずかしいので、黙ってました~。
実は、まだ咳が出ていたころで、我慢しながらしゃべっていて、涙目になってますね。
いずれにしても、滑舌が悪くてすみません、、、。
値段も出てしまってますが、これは予想外でビックリでした(・_・)。
でも、お店によって幅がありますので、、、念のためデス。
涙もろいのは、豊かな感受性を維持できているから、ですよね、、、
私もそうですから~(^^)。
ではでは~。
そうですね~、完成したら、ぜひご覧いただければ嬉しいです。
依頼主様もまじえて、比較検討会?をできれば楽しいですね。
7年前のあの時は、本当にデル・ジェズに導かれるように、無心に製作した記憶があります。
そもそも、なぜあの時に、カノンモデルを作る気持ちになったのか、それがまず不思議な気がします。
そして、この楽器が完成して2ヵ月後には、クレモナの製作学校の入学願書を提出しましたので、やはり、何かに導かれた時期だったのだと思います。
やっぱり、我が家の背後霊さんかな??
モスクワ行きは、まだまだ暗礁に乗り上げたままですが、いずれにしても、7月中には行ける方向で相談しております。
またご報告しますです。
デル・ジェスのカノン砲・・・楽しみです♪♪
背後霊さんガンバレ!(*^ ^*)
実は~、カノン砲なんとなく好きでして、、、某せばさんの旧ブログの楽器選びの日記を読んで某Kむーじっくなるところでカノンモデルのばよを買ったことがあります。
先生からは不評で、ちょいと失敗でしたのですが、でもいつかこの赤子が成長するやもしれぬと、こそこそと弾いています。
それはそうと、コンクールのバイオリンって没収されるのですか?
かわいい、わが子を・・・(T T)
そうですね~、カノンモデルをすでにお持ちなんですよね~!
写真で見ると、なかなかいい雰囲気ですよね。
完成したら、ぜひ、カノン祭りをしたいものですね。
そうなんです、コンクールの楽器は、3位までは事務局に納めることになっているのです。(参加規程に書いてあります、、、)
実は、この楽器を納めるはずだったお客様とは、コンクールの進行具合をリアルタイムで確認しながら、、、、
「2次審査に残りました~、良かった~」(まだ余裕)
「3次審査に通りました、、もしかすると、、でも、まさかね、、」(少し慌てる)
「ゆ、優勝してしまいました~!(^_^)、、、ゴメンナサイ(;_;)」
と、悲喜こもごもの状態だったのです。
楽器が戻ってこないのは残念ですが、でも、歴史あるコンクール事務局に永久保存ということは、とても名誉なことだと思います。
そして、そのお客様に、もう一度、あらためて楽器を作ることができるのは嬉しいことなので、いまは、カノン砲ともども、楽器を作りたくてうずうずしています。
でも、、モスクワ行きが、、、なかなか、、、、。
そうなんです、この楽器は、宮地楽器さん経由で森蔵さんにお渡しする予定なんですよね。
完成したら、ぜひ、たにつちさんを交えて「カノン祭り?」をさせてくださいませ。
でも、7年前の楽器との比較は、正直なところ、怖いですが、、、。
カノン砲は見た目も個性的ですが、マニアックな方でないと、その違いは良くわからないかも知れませんね。
そのうち、画像による比較をしてみたいと思っています。
ガルネリのモデルで作っても、ガルネリのような音になるかどうか、、その点が難しいところですが、うまく背後霊さんに導かれれば、大丈夫だと思います。
でも、ガルネリさんって、気まぐれだったみたいですから、その点が心配ですが、、、、。
実際に製作を始めるのは、もう少し先ですが、またご報告させていただきますね。
製作記事、楽しみにしております。
パガニーニの楽器、私にとっても、いつの日か、試してみたい楽器の筆頭です。
実は、カノン砲モデルで弾くことを夢見て、パガニーニのカンタービレの楽譜も注文中だったりします・・自分の無謀さはいつも良く認識はしていますデス(^^;)
カノン砲製作楽しみです
ところで、カノン砲って、左右対称じゃないんですか??
何か理由があるんでしょうか、
わざわざ左右非対称につくる…
ちょっと神秘的でいいですね
ところで、最近、横板の曲げ木に挑戦しています
大方は曲がるんですが、型にぴったりに曲げるのって難しいですね
乾いてくると少し元にもどっちゃうみたいだし…
Rのきついところがうまくいかないので、いろいろ思案してるところです
い~ぐるさんも、カノン砲を製作中ですよね。
完成したら、ぜひ、カノン祭りを開催いたしましょう。
い~ぐるさんのブログを見ると、表板の左側から型を取っていますよね。
私のモデル(たにつちさんの楽器)も実は同じです。
やっぱり、一番整っている感じがしますよね。
カノン砲で弾く、い~ぐるさんのパガニーニ演奏も楽しみにしています。
というか、今はまず、チャイコフスキーの、「メロディー」ですよね。
これも、私にとって思い出の曲なのです。
思い出話は、また今度ゆっくりと、、、。
そうですね、カノン砲の写真を見ると、左右で微妙に形が違っています。
わざと非対称に使ったのかどうかは、ご本人にしか分かりませんが、、(背後霊さんは、しゃべってはくれないので)
でも、まさしく大工協奏曲さんが今、苦労されているように、横板を曲げるのはとても大変で、横板の段階で左右非対称になってしまう事もよくあるのです。
ストラディバリさんのような几帳面な人は、横板もきっちりと左右対称に作っていたのでしょうけれど、ガルネリさんは豪快な性格だった?ようなので、多少の横板のゆがみは気にされなかったのではないかと想像しています。
普通に、左右対称に作るという事は、実はとても難しい事だったりします。
横板は、材質によって曲げやすさに大きく差がでますので、慣れないうちは、あまりトラ杢が強くない材料の方が曲げやすいです。
センター部分のカーブがきついところは、どうしても多少は割れますが、ブロックに貼り付けてしまって、ライニングで補強されますので、大丈夫です。
今回はチャイコで金メダルの栄冠に輝かれたこと、心からお喜び申し上げます。ただ今ミクシで知り合いになった、高橋さんのマイクシ欄にお名前を見つけたので、伺っております。
私も パガニーニのカノン砲、、、ってデリケートな楽器には、えらくごっつい名前だなと思っていました、、、ああ、ここに来て良かったです。
職人さんの工房を覗けるのは、嬉しいですね。他の畑の職人さんのお仕事の過程を見ていると、今まで見えてなかった部分が見えてきたりすることもあるので、とても勉強になります。これを、機会にこれからも色々と学ばせて下さい。
それから、高橋さんから感じたことなのですが、皆さん仲間の方達、仲がいいですね、とても温かい波動を感じます。ありがとうございます。
これからも、よろしくお願いします。
コメントをありがとうございました。
そうですね~、カノン砲って、すごい名前ですよね。
当時、この楽器を譲り受けたパガニーニさん、その音にビックリしたのでしょうね。
私の楽器も、遠い将来、ニックネームが付けられたりするのでしょうか。
でも、なんとなく、兵器の名前は付けて欲しくないですね~。
文面から察するに、ハンサさんも職人さんでしょうか?
そうですね、同じ道具でも、いろいろな使い方のアイデアや、発見があったり、違う分野の職人さんの工房を拝見するのは私も大好きです。
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。
そうですね、自分でも、どんな感じで仕上がるか、予測がつかない部分もあるのですが、とても楽しみです。
もうしばらくしたら、ブログにてご紹介いたしますので、お楽しみいただければ幸いです。