最新作ヴァイオリン、音のテスト。

前回の記事でご紹介しましたヴァイオリン、最終調整の時に動画を撮影しておりました。

いつもながら拙い演奏ですが、私が普段、どのような感じで音の調整をしているのか、一部分ではありますが、ご覧いただければ嬉しいです。




ご視聴いただき、ありがとうございました。

完成したばかりのヴァイオリンに求められるものは、やはり、十分な音量が出て、元気に鳴ることが一番大切なのですが、音楽を演奏するための「楽器」という観点では、他にも重要な性能が求められます。

その1つが、各弦の音量バランスと、音色の統一性です。
製作コンクールでは、この項目だけで多くの点数を占めるほど、重要視されています。

動画では、最初に、弦を変えながら、同じフレーズを弾いて、そのバランスを確認しています。
2弦に渡るフレーズなので、移弦する時に、音色の変化に違和感がないかも確認します。

次に、これも2弦に渡るテストですが、ハイポジションを使ったオクターブ音階と、移弦をしながらの音階で、その音色を比較します。
移弦の時に大きな違和感があると、音楽的なつながりが表現し辛い楽器になりますので、その点をチェックしますが、かといって、ポジションによっての音の変化が無いと、表現力の幅が狭い楽器となりますので、そのバランスは難しいところです。

最後に、ラ・フォーリアの旋律を、1弦ずつ変えながら弾いています。
弦によって印象が異なるのは当然ですが、それでも、一つの楽器で演奏している統一感があることが重要です。

私が求める理想の音色としては、
どの弦の、どの音域で弾いても、一つのヴァイオリンの音としての統一感がありつつ、さらに、それぞれの音域が、豊かな個性を持って響くという感じです。

これは、大きな矛盾を抱えた2面性の両立でもありますので、なかなか難しいことではありますが、完成したヴァイオリンの調整の際には、いつも意識しています。

もちろん、音に関する条件は、木材の選定から、アーチの削り、厚み出し、ニス、その他多くの要素が絡むのですが、最終調整に時間をかけることで、より良い音色の楽器に仕上げることができるのも事実です。

これらの音質チェックは、ほんの一例で、実際には、いろいろなパターンを組み合わせながら試奏を繰り返し、音を仕上げていきます。

ご覧いただき、ありがとうございました。


さて、突然ですが、菊田家の家族が増えました。
しかも、いきなり、2頭も(笑)

ビッキー(生後4か月、男の子)

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そして、くろ丸(生後6か月、男の子)です。

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この2頭の生い立ちや、菊田家に来ることになった経緯は、いつものことながら、書き始めると非常に長くなりますので、また別の機会を見つけてご紹介したいと思っております。

おかげさまで、ちび丸とビビ丸とも、仲良く過ごしています。

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ご覧いただき、ありがとうございました。
11月の声も聞こえてきて、いよいよ秋も深まってきましたが、皆様、お体にはお気をつけてお過ごしください。


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by violino45 | 2021-10-23 16:28 | 製作記 | Comments(2)

Commented by Junjun at 2021-10-23 21:02 x
菊田さん、こんにちは

最新作ヴァイオリン、音のテスト
のアップ有難うございます

先日、新しいヴァイオリンとしてアップされた楽器、どのように音が響くのか気になっていましたので、、お忙しい中と存じますが
有難うございました。

プロのヴァイオリニストさん、が楽器を弾かれる画像は、凄い魅力的です。
しかし、私のような、、拙い素人として演奏をしている立場としては、今回のような楽器演奏はとても、興味深いです。( 失礼では、ありません、、)

楽器に対しの向かい合う気持ち
ストレートに響いてきました。

その上で、調和のとれた素敵で、奥深い響きだと
感じました。ラ、フォリア  が適している
のだとの話も、、、、懐かしい楽曲が頭をよぎり

新たな発見となりました。

楽器に向かいあうという事は、どんな環境、状況であれ いつも同じ視線でいられるのだと、

楽器は、まるで 自分を写す鏡みたいだと、
感じました。

突然ですが、、、、

ビッキーさん、くろまるさん

こんにちは!

またまた

楽しみが増えました。
^ ^

ご紹介を楽しみにしております。

十月も、残り1週間
ますます寒さも深まり、イタリアではサマータイムも終了となる時期ですね。

呉々も、お身体に気をつけてお過ごしくださいますように、お祈りしております。^_^
Commented by 菊田 at 2021-10-24 05:03 x
Junjunさん、こんにちは。

動画へのご感想をありがとうございます。

そうなのです、完成した楽器をプロの演奏家さんに弾いていただくことは、とても意義深いですし、今後も機会があれば実現したいと思っておりますが、プロの演奏家さんは、どんな楽器でもご自身の音として弾ききってしまわれるので、楽器そのものの音色の記録という意味では、自分の拙い演奏での動画は、また違った意義もあるような気がしています。

楽器はまるで自分を写す鏡、、私もほんとうにそう思います。
製作する楽器は、見た目も音も、自分の分身のような気がしますが、それが、自分の寿命が尽きた後も、何十年、何百年も生き残る可能性があるとすると、それは、喜ばしいことでもあり、怖いことでもあると思います。

演奏者さんにとっても、ヴァイオリンの音は、日々のコンディションや精神状態などによって変わり、それはやはり写し鏡のように感じられるのではないかと想像しています。

製作者としても、自身の試奏風景を客観的に撮影して、動画として公開することは、なかなか勇気の要ることですが、このことで、さらに楽器の音作りに正面から向き合える気がしていますので、これからも続けていければと思っています。

気が付けば、4頭の猫たちとの生活になり、日々、賑やかに暮らしております。
家族が増えた経緯など、また折を見てご紹介させていただこうと思っております。

例年ですと、弦楽器フェアのために帰国する時期ですが、今年も中止になり、残念です。
来年こそは、展示会にて皆さまに再会できますことを楽しみにしております。

今年は、10月の最終日が日曜日で、その日から冬時間となり、日没が一時間早くなるので、一気に暗い冬に突入する感じです。

日本もそろそろ冷え込む日も多くなってきますね、ご自愛くださいませ。

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