クレモナ 4月5日

<2020年、4月5日(日)のクレモナの状況です>

連日の日本の報道を見て、心を痛めております。
週末だけでなく、平日も、可能な限り、最大限の自己防衛をしていただきたいと、心から願っております。


イタリアも、毎日4000人以上が感染、700人以上が死亡する危機的状況は変わりませんが、少しずつ都市封鎖の効果が現れ、特にロンバルディア州では感染のピークが過ぎたという情報を、各方面で耳にするようになりました。

本当にそうであれば、とても喜ばしいことです。

あらためて、イタリアでもっとも感染が拡大したロンバルディア州について、3月後半からのデータを観察してみました。

1日あたりの、ロンバルディア州の感染者数の抜粋です。

3/16 1377人
3/18 1493
3/21 3251 (最大値)
3/24 1942
3/26 2543
3/28 2117
3/30 1154
3/31 1047
4/1 1565
4/2 1292
4/3 1455
4/4 1598人(昨日)

一日当たりの感染者数は、3月21日のピークに向けて急激に上昇して、その後は、緩やかに減少しています。
ですが、この数日は、再び少しずつ上昇しています。

一見すると、ピークは過ぎているものの、その後、大きく減少はせず、むしろ、平均的には横ばいのように見えますが、この数字は、検査数と密接に関係しています。
医療現場は限界を超えていますが、検査をできる体制は整ってきたので、この二週間ほどで一日あたりの検査数は確実に増えています。
検査数が増えても感染者数が増えていないということが考慮されて、ピークを過ぎて収束に向かいつつあると分析されているのだと思います。
(もちろん、他の要素もいろいろありますが、ここでは割愛します)

実際、ロンバルディア州民はこの3週間、法律で完全に自宅隔離されているわけですので、いつかはピークを過ぎて収束していかないと理屈に合わないことになりますし、今がその時期だと想定できます。

ですが、現実的には、この数日間で、イタリア全体では毎日4000人以上の感染が見つかっていて、そのうち1500人ほどはロンバルディア州での数字です。
また、ロンバルディア州だけでも、毎日300人以上が亡くなっています。

つまり、ピークが過ぎたのは喜ばしいことですが、感染者の累計は、現在も直線的に増え続けています。

研究者の間では、今後、このカーブが緩やかになっていくことが明確に予測されているのかもしれません。
ですが、住民の感情としては、一日あたりの感染数が大きく減少して初めて収束を実感できるのだと思いますし、実際に安心して暮らせるようになるには、一日あたりの感染数がゼロになってのことですので、収束の兆候が見えてきた今だからこそ、気を緩めずに、さらに厳密な都市封鎖を実行していかなければならないと思います。

ロンバルディア州では、今日から、「マスクの着用」が法律で義務付けられました。
また、3月21日に出された州知事令は4月13日まで有効で、公共の場で誰かと立ち話しただけでも罰金の可能性がありますし、3月23日の首相令と併せて、経済活動の停止とともに、ほぼ完全な都市封鎖は引き続き実行されます。

いずれにしても、イタリアは、すでに後戻りできない状況ですし、これ以上ないほどの都市封鎖状態ですので、あとは、収束するまでどうやって生き残るか、ウィルスから逃げ切るかが、日々の闘いである状況が続くと思います。(感染した場合の致死率は、現在12.33%です)
そして、長引いた場合は、経済的な損失に耐えうる体力があるかどうか、これも生き残れるかどうかの瀬戸際になります。

どちらにしても、イタリア住民は、それをすべて受け入れて、大人しく家にいるしかないのが現実です。

以上が、今のイタリアの状況です。

こういう状況を日本は防いで欲しいと思い、今まで、このブログでは、イタリアの経緯をご紹介してきました。
特に、初期から感染爆発に至るまでの経緯は、いろいろ参考になると思い、繰り返しご紹介してきましたが、日本も、そろそろ重要な局面を迎えつつある状況だと思います。

感染爆発になる前に都市封鎖を徹底すれば、欧米ほどの事態にはならないことは日本政府も理解しつつ、思い切った政策を実行できないのだと思いますが、イタリアの状況を見てきた立場からすると、自ら傷口を広げているように見えて、歯がゆい思いです。

また、外出を厳密に禁じられているイタリア住民の視点で見ると、日本の状況はまだ自由で、うらやましくも見えますが、ニュースやSNSで無防備に外出している映像を見ると、危うい光景に戦慄が走るというのが正直な気持ちです。
私の気持ちが過敏になり過ぎているのかもしれませんが、もう少し「ウィルスを怖がって欲しい」と、率直に思います。
イタリアでは、アパート内の住民同士でさえ、できるだけ会わないように、ゴミ捨ての回数も最低限にしてますし、仲の良い住民にもし会っても、会話もせずに、挨拶だけですれ違うだけの日々が続いています。
この悲しい気持ちだけは、日本の皆様に味わってほしくないと、心から思っています。

私自身、身の安全を守り切れるかどうか、不安に思う日々ではありますが、大切な祖国の状況は、やはり同じくらい気がかりです。

引き続き、お気をつけてお過ごしくださいませ。

庭の桜は、まだまだ力強く咲いています。
人間の気持ちが分かるのでしょうか、、今年はとりわけ満開の期間が長いような気がします。
咲き終わるころには、本当に収束の方向に向かっていて欲しいと思います。

クレモナ 4月5日_d0047461_15370629.jpg










by violino45 | 2020-04-05 16:38 | 日記 | Comments(4)

Commented by りんめいママ at 2020-04-05 18:09 x
刻一刻と日本も非常事態宣言が近づいているように感じます。心配していた院内感染も現実となり、よりいっそうの注意をしなければならないと考えています。発熱してもます落ち着いて自宅待機、呼吸器症状がでたら保健所へ。これが医療崩壊を防ぐと言うのが私見です。
Commented by Junjun at 2020-04-05 19:19 x
菊田さん、こんにちは。

ご存知の通り、日本では3月の連休のつけ?で本日は東京都は感染者の数が最高値となりました。

菊田さんの、おっしゃいますよう
イタリアの都市封鎖はこれ以上のない状態
とのこと、
こうして、現在の状況をアップしてくださいまして、日本で見習っていく
覚悟ができ、本当に感謝しています。

ブログアップ、今のイタリアは
世界中から注目されている中

真のご意見を発信されて
いる気持ちを、改めて何回も
拝読させて頂きます。

今、二回目のクレモナツアーの演奏会を
動画でみています。

二回しか?二回も?訪れたクレモナ
が、私にとって 大切で特別な場所です

菊田さんはじめ、皆さまの
ご健康。お祈りしております。
Commented by 菊田 at 2020-04-05 20:30 x
りんめいママさん、こんにちは。
宣言は出されても、日本の場合は外出を法律で禁止できないそうで、さらなる拡大が心配です。
いずれにしても、症状が出ていなくても自分は感染している可能性もあるので、人にうつさない行動が大事ですね。
そして、万が一、症状が出たら、おっしゃるとおり、冷静を保って落ち着いた行動をとることが大切だと思います。
ご自身も、ご家族も、引き続きお気をつけてお過ごしくださいね。
Commented by 菊田 at 2020-04-05 23:27 x
Junjunさん、こんにちは。

東京の皆様は、ご心配な日々をお過ごしのことと思います。
連休のつけもあるのかもしれませんが、平日に普通に働かざるを得ない状況を放置してしまった政府の責任も大きいのではないかと思います。

ですが、それでも、今の日本の状況は、イタリアの感染爆発の前と同程度ですし、都民の意識レベルはとても高いので、なんとかこのまま封じ込めていただきたいと願っております。

二度のクレモナツアーは、私にとっても大切な思い出となっています。

この危機を皆で乗り越えて、3度目の来年を格別な思いで迎えたいですね。
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