最新作、ホワイトヴァイオリンで完成。

少し更新時期がずれてしまいましたが、昨年の12月にホワイトヴァイオリンが完成しておりましたので、今回も写真にてご紹介します。

毎回、同じような写真ばかりで恐縮ですが、製作の記録として、できるだけ同じ条件で撮影するようにしております。
読者の皆様には、その変化を感じていただくのは難しいかもしれませんが、定点観測のように、微妙な違いを楽しんでいただければ嬉しいです。

年賀のウズマキの記事でも書きましたが、10年前のホワイトヴァイオリンと比べると、やはり大きな違いも感じますし、継続していくことで貴重な記録になると思いますので、今後も、地道に更新していきたいと思っております。(どこまで続けられるは、分かりませんが。。。)

というわけで、全景から。 今回も、ストラディバリの1705年モデルでの製作です。


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裏板は、少し細かいトラ杢の二枚板です。
アマティモデルに似合いそうな模様ですが、ストラドの繊細な部分が引き立つ感じで、気に入っております。

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対比の意味もあり、表板は少し広めの年輪の材料を使ってみました。
エフは、いつもどおり、アマティの雰囲気が残るモデルを使用しています。

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広めの年輪の表板は、木目に影響を受けて微妙なカーブを整えるのが難しいです。

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コーナーの部分の造形は、流派を見分けるポイントにもなりますし、製作者の個性や考え方が色濃く表れる部分です。


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力強く、しっかりとした輪郭を表現しながら、全体として柔らかい印象となるのが理想ですが、毎回、試行錯誤しながら仕上げています。

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ウズマキは、黄金期のストラディバリを目指していますが、時にはアマティ風になり、時にはガルネリ的なワイルドな雰囲気になることもあります。
いずれにしても、目指すのはイタリア、クレモナのスタイルで、歴代の名人の作品にはどれも共通の流れがありますので、先日ご紹介したポー川のように、雄大な流れの中で、微妙に変化していければと思っております。

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ウズマキの後頭部の造形は、ヴァイオリンの中でも好きな形の一つなのですが、この部分をスッキリと仕上げるのは毎回、時間もかかりますし、根気の要る作業です。


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まったく別の角度から見ても、破綻なく、バランスが取れたウズマキが理想ですが、なかなか難しいです。

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永遠に続く螺旋階段を上り続けるように、これからも少しずつ前進していきたいと思っております。


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by violino45 | 2020-01-18 08:18 | 製作記 | Comments(6)

Commented by 加藤 正憲 at 2020-01-18 09:35 x
菊田さん、FB楽しく見ています。

>>今回も、ストラディバリの1705年モデルでの製作です。

先日、千住真理子さんにお会いして、彼女の愛器の音色と姿を間近で堪能しました。
 その折、菊田さんの事をお話ししたらご存知のようでしたので、是非、菊田さんのVlも弾いて欲しいとお願いしました。
Commented by 菊田 at 2020-01-18 14:34 x
加藤さん、こんにちは。
大変ご無沙汰しております。
コメントありがとうございました。

千住さんには、2012年に私のドキュメンタリー番組で、ヴァイオリンを弾いていただいたことがありまして、しかも、千住さんの愛器との弾き比べという、非常に畏れ多い番組でしたが、とても勉強になる、貴重な経験でした。

またそのような機会があれば、さらに畏れ多くも嬉しいことですので、千住さんにお声をかけていただけてありがとうございました。

今後とも、拙ブログとFBをよろしくお願いいたします。
Commented by りんめいママ at 2020-01-19 11:11 x
うずまきって、顔みたいに、角度で全く違って見えますね。正面よし、斜め良し、後ろ良しで素敵です。
Commented by 菊田 at 2020-01-19 14:51 x
りんめいママさん、こんにちは。

コメントありがとうございます。
そうなんです、イタリア語でも、ウズマキの真ん中は「Occhio」(目玉)と呼びますし、完全に、顔扱いです^^。

縦横後ろ斜め、どこから見ても美しく、でも、違った表情を見せてくれるようなウズマキを目指しているのですが、なかなか難しいです。

ちなみに、エフの丸いところも、「目玉」なので、、ヴァイオリンには二つの顔がありますね。
Commented by Junjun at 2020-01-20 06:11 x
菊田さん、こんにちは。

新しいホワイトバイオリンのアップ有難うございます。

同じ様で、同じでない微妙な差は
私にはわかりませんが、いつも興味深く拝見させて頂いております。

製作者さんサイドからの、バイオリンのパーツの説明は大変貴重です。
実際楽器を持っていても、コーナー、エフ、
うずまき、表板、裏板の曲線等
実は あまり気にかけていなかったのですが、菊田さんのブログから、新しい
世界が広がり楽器の奥深さを感じます。

ホワイトでのパーツを見る機会は
ありませんし、また ホワイトの状態での方がわかりやすく感じます。菊田さんの解説が丁寧でお写真が大変美しいのもあると
思います。

いつも、楽しみながら拝見させて頂いております。

暖冬ではありますが、朝晩はやはり冷えています。クレモナも3度位?低いようですね。

呉々も お身体ご自愛くださいませ。

Commented by 菊田 at 2020-01-20 23:10 x
junjunさん、こんにちは。

マニアックな内容の記事に^^、いつもコメントいただきありがとうございます。
楽しんでご覧いただけているとのこと、とても嬉しいです。

製作者のスタイルもいろいろで、毎回、誰が見ても違う仕上げでないと気が済まない人もいますが、私の場合、パっと見て変わらなくても、まったく構わないのです。

むしろ、自分自身でも分からない違いの先に、理想の造形の楽器が隠れているような気がしていますので、毎回毎回、同じような写真を20年近くもアップし続けていても平気なのですが、さすがに、読者の方にはつらいブログになってきているような気もしています。。

以前は、キャラグッズを利用して、変化を付けた時期もありましたが、今年は、少し違う工夫もしていければと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

クレモナも朝晩は寒いですが、日中は、天気が良ければ気持ちの良い日が続いています。

まだ春は先ですが、少しだけ、季節の変わり目を感じる気もします。
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