ウズマキの製作工程、ダイジェスト

2019年、そして令和元年も、残り二週間ほどとなりました。

庭の桜の木も、完全に枯れ木のようになってしまいました。
でも、それは見かけだけで、夏の間に太陽から吸収したエネルギーを蓄えて、春には満開の花を咲かせる準備中の、元気いっぱいの状態なのかもしれませんね。

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さて、タイトルにも書きましたように、今回は、久しぶりに、ヴァイオリンのウズマキの製作工程をご紹介いたします。

ウズマキの形に切り出した木材の、ペグボックスの部分をまず仕上げます。
この部分が、ウズマキ全体の造形のベースになりますので、重要です。
平らなミニカンナで、慎重に削っていきます。

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ウズマキの一周目を、丸ノミなどを使って仕上げていきます。

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一周目が仕上がったところです。
最終的には修正しますが、この時点で、一周目をきれいに仕上げておくことで、二周目以降の作業の効率と仕上がりが良くなります。

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二周目は、まずノコギリで荒く切り出します。
すでに完成した部分を傷つけないように、慎重に作業します。

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二周目が終わったところです。
ほぼウズマキのイメージが出来上がりましたが、まだ目玉の部分が仕上がっていません。


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目玉の部分を仕上げると、やっとウズマキ全体の造形が仕上がります。
ですが、まだ、前面と後頭部の掘り込みが残っています。

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丸ノミで、後頭部の掘り込みを削ります。
少しでもはみ出したら、今までの作業が無駄になって、やり直しになりますので、慎重に削ります。


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スクレーパーなどで、仕上げていきます。
この部分がエレガントに仕上がると、ウズマキ全体のシルエットが美しくなりますので、時間をかけて作業します。

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これでウズマキの完成です。
ヴァイオリンの音にはあまり影響はないのですが、製作者の美的センスと個性が問われる部分ですので、古今東西、すべての製作者がこだわって製作している部分です。
楽器を前に、製作者が数人集まると、必ず議論の的となるウズマキは、製作者にとっての、永遠のテーマです。


ウズマキの製作工程、ダイジェスト_d0047461_17020843.jpg

by violino45 | 2019-12-16 18:02 | 製作記 | Comments(2)

Commented by Junjun at 2019-12-17 06:25 x
菊田さん、こんにちは。

うずまき製作のアップ有難うございます

この部分は、音にはあまり関係無いが
製作者のこだわり、、という重要な部分とのこと。菊田さんブログ、新年のご挨拶など
拝読していくことで、初めて知る事が
出来ました。

弾くものの立場として、例えば楽器を見に行ったり購入する時は、意識してみた事が無かったので、、、汗💦
改めて 自分の楽器を比べてみようと
思いました。
うずまき部分だけでなく、例えばエフだったりパーフリングだったり、コーナーの角度、湾曲など、なんとなく大まかな外見、裏板以外にも、沢山ポイントがあるという事も
知る事が出来( 今だに詳しい差は理解していませんが、、、)
なんとなく、、と言い方をすると
申し訳ないですが、、このブログを通して
以前とは楽器の見方、感じ方、思い方が
確実に変わってきています。
それは、実際に音の面を含め 奥深い世界を感じられ、また身近にも思え
演奏自体以外の愛着を感じます。
これも、菊田さんに大変感謝致します。

あと、半月で今年も終わります。クレモナでは雪が降り、寒い毎日のようですが
私の住む東京の端っこは、今年は暖冬です。

しかし、この時期は仕事の雑務を含め
バタバタし、冬休みになりやっとホッとする感じです。

お庭の桜さん、力を蓄える時期、、
決して美しい花や、、青々とした葉が付いていなくとも、見守ってくれる人がいるのを
嬉しく感じているように思えました。

また、手前の木も一緒に冬にたえている仲間もいて、良い感じです。

今年は、本当に良い年でした、と今気を抜かずあと二週間頑張ります。
菊田さんもお忙しいと存じますが
呉々もお身体ご自愛くださいますようお祈りいたします。
Commented by 菊田 at 2019-12-18 01:50 x
Junjun さん、こんにちは。

いつもご感想をありがとうございます。

内容的には、製作者でないと実感することが難しい、マニアックな内容の記事が多いのですが、少しでも楽器製作の世界に関心を持っていただき、ご自身の楽器への愛着が増すきっかけになれば、製作者としてとても嬉しいです。

私自身も、こうして、楽器製作をご紹介し続けることで、あらためて、理解を深めることができることも多いですし、実は、写真に撮ってみて初めて分かる、製作上の問題点を発見できたりもします。

そして、ご意見ご感想をいただけることで、新しい発見をすることも多いですので、重複する内容にはなってしまいますが、今後も、ブログを続けていければと思っております。

今後ともよろしくお願いいたします。

日本の師走の雰囲気、とても懐かしいです。
あまり寒くないとのことで、なによりですが、お風邪などにはお気をつけてお過ごしくださいませ。
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