フラットマンドリン


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2004年にクレモナのヴァイオリン製作学校を卒業したのですが、その時の卒業論文のテーマに選んだのが、フラットマンドリンでした。
子供の頃から、カントリー/ブルーグラス音楽に親しんでいた私は、いつかはフラットマンドリンを製作してみたいと思っていたので、自分用の楽器を作る良い機会だったわけです。
イタリアといえば、ナポリマンドリンに代表される、胴体が丸いマンドリンが主流なので、私がこのフラットマンドリンを製作して、学校に持っていった時は、イタリア人の先生達は非常に喜んでくれました。
おかげで、卒業論文も大成功に終わりました。

卒論では、フラットマンドリンの歴史や、音楽的背景、バイオリンとの構造の違い、類似点などを発表しました。
もともとイタリアで誕生したマンドリンが、19世紀末にイタリア人移民と共にアメリカに渡ったのですが、当時、アメリカでバイオリン製作をしていたギブソン氏が、バイオリンの構造をマンドリン製作に応用したのが、フラットマンドリンの誕生です。
その後、ロイド・ロアーという天才技術者がさらに完成度を高め、究極のフラットマンドリンを完成させました。(ギブソンF5)
このF5は、フラットマンドリンのストラディバリウスと言われ、現在、非常な高値で売買されています。
その後、多くの製作者が改良を試みても、結局はF5のスタイルからは抜けられないという状況も、バイオリンにおけるストラディバリと良く似ています。

私が製作したこのフラットマンドリンも、そのF5をモデルにしています。
オリジナルは、非常に美しいサンバースト仕上げですが、私はその技術を持たないのと、やはりクレモナで学んだバイオリンの技術を応用したかったので、ヴァイオリンニス仕上げとなってます。

このマンドリンの写真を、私のHPの、ギャラリーのコーナーにアップしました。
写真が重いかもしれませんが、お時間がありましたら、ご覧下さいませ。
http://www.webalice.it/violino45/
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by violino45 | 2006-03-05 17:15 | 製作記 | Comments(23)

Commented by lala at 2006-03-05 20:22 x
菊田さん、こんばんは~^^
わわっ!バヨちゃんネズミにかじられたのかしら・・なんて(笑)一瞬目を疑ってしまいましたよー(^^;ダリの作品かと思っちゃいました。
フラットマンドリンって言うのですね♪初めて見ました。
菊田さんの作られる楽器は本当に美しい佇まいですね~!!
いつか実物を拝見して音を出してみたいですー(*^^*)あっもちろんバヨリンで~♪

Commented by 菊田 at 2006-03-05 22:05 x
lalaさん、ありがとうございます!
美しい佇まいと言って頂けるのは、製作者としてとても嬉しいです。
ぜひ、機会がありましたら、バイオリンもご覧下さいませ。

ダリの世界も大好きなので、嬉しいです。

このフラットマンドリンをギブソンさんが作ったときは、丁度、アールヌーボーが流行していた時で、彼も影響されたようです。
ボディの渦巻きなどは、そんな雰囲気ですよね。
Commented by い~ぐる at 2006-03-05 22:29 x
ギャラリー、見てきました。
メープルバインディング+パーフリング仕上げとは!
セルロイドバインディングよりもよっぽど高級感があって、きれいです。
さすがバイオリン製作者です。
ヘッドのメープル仕上げも参考になります。へたに黒檀プレートをつけないほうがすっきりしていていいですよね。黒檀でインレイすればきれいだし。。。
音のポイントはしっかり抑えた上で、独自性を出して素敵な楽器に仕上げていられますね。

私もがんばらなければ・・・数年後には・・・
Commented by 菊田@ポッター at 2006-03-05 23:05 x
あ、い~ぐるさんだ。
けいさんの時とはキャラクターは違うのですか?
けいさんはダースベイダーで、い~ぐるさんはヴォルデモートでしょうか?
いずれにしても、暗黒からの使者ですね。

セルロイドにしようかとも思ったのですが、接着剤でシンナー中毒になりそうだったので、、、、(らぶさん、聞いてます?)、慣れているメープルを使ったのですが、曲げるのは大変でした(特にスクロールの部分)。
でも、結果的にきれいに仕上がったのでよかったです。
ヘッドはバインディングも無くて、手抜きです。
卒業に間に合わせるために、大急ぎで作りました。

ブルーグラスプレイヤー数人に弾いてもらいましたが、ブルーグラスというよりも、フォーク向きの音だと言われました、、、、。
良く分からないのですが、音の太さが足りず、、でも繊細で良く伸びる音のようです。
バイオリンとフィドルの違いのようなものですかね。

でも、この楽器の形、かわいいですよね。
い~ぐるさんが衝動買いした気持ちはよく分かります。
ぜひ、完成させてくださいね。
Commented by yama at 2006-03-05 23:28 x
初めてみました。
とても印象的なフォルムですね。
第一印象は、星のカービーというキャラクターに似ているとおもいました
一つ質問ですが、魂柱は、立っているのですか?

もし、失礼でなければ簡単にバイオリンとの違いを教えていただくと嬉しいです。苦労した論文をカンニングするようで申し訳ないとは、思うのですが・・・。
Commented by たにつち at 2006-03-05 23:36 x
フラットM、初めて拝見しました。すばらしい仕上がりですね。
この装飾性!想像できないものに出会ったショックって、ありますよね。
それを見せつけられました。
ぜひ、ヴァイオリンも、「現代モデル」を菊田さんには作っていただきたいです。
Commented by 菊田 at 2006-03-06 14:50 x
yamaさん、こんにちは。
魂柱は立ってません。
発音原理の違いからか、魂柱があると振動を妨げて、音が伸びないようです。
実験済みです。
ギブソンのF5は、ロイド・ロアー氏が完成させて現在に至るわけですが、完成までにはいろいろな構造の変化もあったようです。
バスバーの本数とか、位置とか、向きとかです。
あと、最初はエフホールではなく、ギターのような丸い穴でした。
F5に限って言うと、バイオリンとの違いは、魂柱がないことと、バスバーが2本だという事です。
正確に言うと、バスバーはバイオリンと一緒ですが、もう一本対照的な位置に、トレブルバーがあるわけです。
あとは、弓で弾かずにピックで弾きますので、指板も平面ですし、ブリッジもバイオリンほど高い必要はないです。
このあたりは、普通のマンドリンと同じです。
Commented by 菊田 at 2006-03-06 15:07 x
たにつちさん、こんにちは。
オリジナルのギブソンのフラットマンドリンは、もっともっとずっとキレイで、装飾性も高いので、少し恥ずかしいです。
でも、喜んでいただけて嬉しいです。

バイオリンをあらためてデザインする事は、やはりなかなか難しそうです。
いままでに数え切れない人がチャレンジしていると思いますが、変り種バイオリンで弾いているソリストが見当たらない事を見ても、やはりあまり受け入れられないのかと思います。
たとえ、ストラディバリの音色であったとしても、あまりにも変わったデザインだと、試奏もする気にならないかもしれません。
このF5のデザインも、すでに、ストラド化?していて、若干の亜流はあるにせよ、アンタッチャブルなデザインとして、世に浸透しています。

遊ぶ時間があれば、猫ちゃんヘッドヴァイオリンとか、肉球ヘッドヴァイオリンとか、作ってみたいんですけどね、、、、。
Commented by pearl at 2006-03-06 18:41 x
すっごい迫力ですね。サイドの部分が「萌えーっ」ます。
(渦巻きの曲線と真っ直ぐな木目からもびびび光線を発射されて
しまいました。)

ところで、あの前髪のカーリング部分の線も1.2mmの世界で
埋め込むのでしょうか?
よくわかりませんが、「ZEN」の世界を感じます。
(自分で言っても分からない~。。。)
Commented by pearl at 2006-03-06 18:42 x
追伸:渦巻きと直線木目は下の記事についてです。
すみません・・・。
Commented by 菊田 at 2006-03-07 00:57 x
pearlさん、こんばんわ。
ご丁寧に、二つもありがとうございます。
サ、、、サイドに萌えていただきましたか!
さすが、通、でございます。
びびび光線を受け止めていただいてありがとうございます。
ちなみに、バイオリンの渦巻きの真ん中のソラマメみたいなところ、製作者同士では、「目玉」と呼んでいます。
イタリア語でもオッキオ(目玉)です。(複数形は、オッキ、です)

前髪の?カーリング?
もしかして、横山ノック師匠をイメージされてます??
それとも、花形満、、とか。
カーリングと言えば、トリノオリンピックも終わってしまいましたね、、、。
荒川選手の映像、、、こちらのTVのダイジェストでは10秒ぐらいしか流れませんでした、、、、、。

話を元に戻しますと、、。
そうです!1.2mmです! さすが、名誉相談役。
でも、この場合は、埋め込むわけではなくて、さらに外側に一枚、木が貼りつく感じで、サンドイッチされます。

ZEN、、、ですか。
なるほどです。(実はよくわかってない、、、、)
でも、気に入ったので、命名します。
フラットマンドリン「ZEN」
ありがとうございましたー。
Commented by モハー at 2006-03-07 16:53 x
遊びにきました。そして、しっかりとマンドリンの画像も拝みました。
丁寧なつくりで実に美しいです。サンバーストにしなかったのは大正解ではないでしょうか。装飾が大袈裟でないところもいいですね。こんな楽器を店頭で見かけたりしたら、危なくて仕方がないですね(笑)。非売品でよかったと胸をなでおろしたりしています。
Commented by 菊田 at 2006-03-07 17:18 x
モハーさん、ようこそいらっしゃいました。
マンドリンもご覧いただき、ありがとうございます。
誉めていただき、嬉しいです。

サンバーストは、する技術が無かったというのもありますが、初期のギブソンのマンドリンには、明らかにバイオリンのニスの手法を流用したと思われる楽器も多くあり(クレモナフィニッシュと言われていたような、、)、それはそれでとてもキレイだと思ったので、ヴァイオリン仕上げにしました。

でも、モハーさんのF12のような、きれいなサンバーストの楽器にもすごく憧れはあるのです。
やはり、グリスマンや、サムブッシュの映像を見ると、迫力ありますからね。
F12の音、聴いてみたいです。
ネット上では、なぜか再生できませんでした。
これからも、よろしくお願いいたします。
Commented by モハー at 2006-03-07 18:13 x
菊田さん、こちらこそよろしくお願いいたします。
初期のギブソンにヴァイオリンのニスの手法を使っていた可能性はありそうですよね。このマンドリンに使われているような美しい木目ならこの仕上げがよく似合うということを今回認識いたしました。

私のF-12、年季の影響もあるのでしょうけど楽器屋で見たときに異様な迫力を感じました。ビビっときた、という感じですね。音源の件ですが、下記HPから
http://www.ne.jp/asahi/musichorse/acoustics/
該当リンクを右クリックして一旦ディスク上に保存すれば大丈夫かと思います。それでもダメな場合、お手数でもご連絡くださいませ。

グリスマンのマンドリンは1999年来日時にライブで見ましたけど凄い迫力でしたねぇ。知人に聞くと物凄く軽くて鬼のように鳴るのだそうです。「一緒に弾いたけどバンジョーでも負けそうなくらい鳴ってたよ」とのことでした。恐るべし。
Commented by ひで at 2006-03-07 23:27 x
菊田さん、こんばんは。
この楽器で使った弦はの銘柄は何ですか?見たことが無い感じだったので興味津々!
(元がマンドリン弾きですので)
私が良く使っていた弦はEAの裸弦には糸巻きに巻く辺りには赤い糸みたいのが巻かれていましたが、画像では裸のままに見えました。
Commented by 菊田 at 2006-03-08 02:09 x
モハーさん、こんにちは。
音、聴く事ができました。
実は、最初、間違えて一つ上をクリックしていたのですが、ふと気がつき、下のをやってみたら、そのまま再生されました。
さすが、ギブソンですね。
一瞬、グリスマンのトーンポエムズかと思いましたよ^^。
(私、ちなみにトニーライスのコピイストです。)
乾いたクリアーな音ですが、胴鳴りも十分感じられて、、、、。
やっぱり本物は違いますねー。(欲しい、、)

鬼のようになるマンドリン、、、聴いてみたいです。
鬼のような値段でしょうけどね。
さすが、オリジナル・ロイドロアー、恐るべしですね。
ちなみに、99年の来日ライブ、私も聴きました。
最初の一音で、やられました、、、。

、、、ちょっとマニアックな内容に走ってますね、、。
Commented by 菊田 at 2006-03-08 02:26 x
ひでさん!こんにちは。
これまたマニアックなご質問、ありがとうございます^^。
弦ですが、このマンドリンを作るときに、材料とか道具とかを通信販売で購入したSTEWART MACDONALS社から買いました。
(けいさんがどっぷりはまっている所ですね。)
おそらく、フラットマンドリン用に開発された弦だと思いますので、ラウンドマンドリンの演奏者が使っていることは無いと思います。
この弦を張って、ブルーグラスプレーヤー数人に弾いてもらったのですが、音が細い感じがするのは弦のせいもあるかも知れないというコメントをいただいたのですが、その後、他の弦で試していないので、良く分かりません。
ちなみにMACDONALS社のアドレスは、
http://www.stewmac.com/
で、ACCESSORIESの中のSTRINGSで、マンドリン用の弦を見ることができます。
6ドルぐらいの弦です。
このサイトの中には、いろいろ、楽しいキットとか、道具とかありますので、なかなか楽しめますよ。
nobaraさんと、らぶさんもいかがですか?
ヴァイオリンキットもございます、、、。
Commented by けい at 2006-03-08 07:01 x
菊田さん、おはようございます。

はまっているというほど、何度も買ってはいないのですが・・・
ここのF5マンドリンキットには完璧にはまりました(^^;

マンドリンやギターなどの魂柱のない楽器では、表板の振動が音の中心になるような気がするので、きっと、板厚やブレイシングの位置とか、強度とか、かなり音に影響しますよね。(影響あるのはバイオリンだってそうですが、マンドリンでは特に表に影響が集中しそうな気がしています)

コメントに書かれている、M社のバイオリンキット、kityよりも数段面白いですよ。nobaraさん、らぶさん ^^ 

ライニングの処理も中々本格的(ちゃんとストラディのようにコーナーブロックに埋め込んでいる)だし、パーフリング溝はコーナー部分とか、ネックの裏側のところなど、独自形式が試せるように、最後の部分は削っていないし、何よりマニュアルがものすごく出来が良い。
注意するべき点が丁寧に繰り返し書かれていて、どこぞの親切マニュアルなんか足元にも及びません。
kityが完成したら、次にはこれの製作ステップを詳細に紹介していきますので、ぜひご一緒にどうぞ 笑

シュワの墓地より、愛を込めて(けい)
Commented by 菊田 at 2006-03-08 16:20 x
けいさん、こんにちは。
いやいや、マンドリンとヴァイオリンのキットを購入した時点で、十分にはまってるような気が、、、。
以前、このサイトで、フォークギターのキットを購入しようか、ずいぶん迷ったのですが、なんとかブラックホールに落ちる事は免れました。
ここに来て、新たなる暗黒よりの使者、けいさんの存在に恐れおののく日々でございます。
久しぶりにM社のサイトを見たら、いろいろ面白そうな道具やらが増えてましたので、、、。
Commented by モハー at 2006-03-08 23:07 x
をを、Tone Poems!!
大好きです。音楽の内容はもちろん、あの豪華なブックレットがいいですよね~。私もTony Rice、大好きです。因みにMartin Taylor とのものも大好きです。
Commented by 菊田 at 2006-03-09 07:13 x
モハーさん、こんにちは。
そうですね、あのブックレット、マンドリンの美しさを満喫できますね。
でも、どの楽器で弾いても、グリスマンの音、トニーライスの音になってしまうものだなあと思いながら聴いていました。
Martin Taylorのはまだ聴いていないですが、ぜひ聴いてみます。
トニーライスが好きな人にめぐりあえて、嬉しいです^^。
Commented by スガヌマ at 2016-03-15 15:38 x
F5LとA5L用の部材全てを持っていますが、2年放置してそのままになっています。早く作り始めなければと焦っています。
Commented by 菊田 at 2016-03-15 18:30 x
スガヌマさん、こんにちは。
ちょうど10年前の記事にコメントいただき、ありがとうございました。
ぜひぜひ、フラットマンドリンを完成させてくださいませ。
拝見できるのを楽しみにしております。
私も、第二号を作りたいと思ってはいるのですが、、なかなか余裕は無さそうです。
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