58 & ホワイトヴァイオリンのご紹介

7月12日、今年も無事に誕生日を迎えることができました。
この一年も、お世話になった皆様に感謝しつつ、過ごしていこうと思っております。

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50代は、あっという間に過ぎていくような感覚もありましたが、最後の数年間は、数字の進みがゆっくりなような気もします。
それだけ、体力的にも、仕事の面でも、生きていくことの重みが増していることなのかもしれません。
でも、矛盾するようですが、一年が過ぎるのが年々早く感じられるのも事実です。
いずれにしても、大過なく過ごしていられるのは、やはりとても幸運なことだと思います。

さて、今回の写真は、ギターを持ってみました。
以前も何かの記事で書いたと思いますが、私自身の音楽との出会い、そして深くのめり込むきっかけになったのはギターでした。
5月の池袋の展示会の記事で、その出会いに導いていただいた小学校の先生をご紹介しましたが、その出会い以降、ある時期はストイックにテクニックを修得し、ある時期は仲間を集めてバンド活動に熱中したこともありました。

10代の中頃は、畏れ多くも、このままギタリストになるような人生を想像してしまうほど、時間を割いて練習していた時期もありました。
ただ、そのような大それた夢が実現するほど甘い世界ではなく、ある時期からは、仲間と時々セッションすることがなによりも楽しい、アマチュアギタリストの道を歩くことになりました。

10代から20代にかけては、やはりかなり練習しましたので、それなりに指も動き、難しい曲も弾けたのですが、放送局の仕事が忙しくなり、ギターを弾く時間がほとんどなくなってしまうと、あっという間に腕は衰えて、30代は、時々つま弾く程度になってしまいました。

その頃にヴァイオリン製作と出会い、イタリア留学を目指して、仕事をしながら独学で製作の勉強を始めたので、さらにギターを弾く時間は減りましたが、その頃に出会った製作家の大久保さんもギター奏者だったことから、ヴァイオリン談義とともにギター談義も楽しく、どちらかというと演奏するよりもギターの話で盛り上がり、その流れに触発されて、私が子供の頃から憧れていたギタリスト、ドック・ワトソン氏が使っていたギターを何本か購入することになりました。

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今回の写真のギターも、大久保さんと一緒に、大雪の降る中、宇都宮の楽器屋さんまで買いに行った楽器でした。(ギャラガー/ドック・ワトソンモデル)

40歳になり、ギタリストになることと同じくらい大それた決断をしてクレモナに渡ったのですが、ギターを手元に置いておかないと、一生ギターを弾かない人生になってしまう気がして、このギターだけをクレモナに持ってきたのでした。

とはいえ、クレモナでの修行時代、そしてプロになってからも、生活の全てを楽器製作に注ぎ込んでいるような状況が続いておりますので、ギターの腕は年々落ちていくばかりで、楽器がかわいそうだなと心底思う日々が続いています。

また、せっかく10代の頃に真剣に練習した痕跡が、まったく残っていない状況も残念ですので、実はこの数年、少し集中して練習して、記録に残すようなことを企んではいるのですが、少し弾けるようになった頃には帰国の時期が迫ってきて、ギターを弾くどころではなくなってしまう状況が続いていました。

でも、気がつけばあと2年で還暦ですし、ここで本気にならなければ、そういうチャンスは永遠に失われるのではないかという危惧を感じ始めたので、今年こそはと、少し練習を始めたところです。
と、説明がとても長くなってしまい恐縮でしたが、今回の写真がギターなのは、そういう理由です。

練習しても、記録に残せるほどの演奏にはならないかもしれませんが、でも、気が向いたら、こっそりアップするかもしれません。。


さて、長くなってしましましたが、先日、製作途中をご紹介していたヴァイオリンがホワイトで仕上がっておりますので、写真でご紹介いたします。

いつもどおり、ストラディバリ、1705年モデルです。


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今回は、2枚板の楽器です。
少し変化のあるトラ杢で、ニスを塗った時にどのような雰囲気になるのか、楽しみです。


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アマティ風のエフもいつもどおりですが、前回製作したクレモネーゼの影響が少しだけ出ているかもしれません。



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裏板のコーナー部分の造形です。

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ウズマキは、この2年間取り組んできた、黄金期のストラディバリのモデルですが、正直、どの程度、目標に近づいているのか、よく分からなくなってきました。
いずれにしても、毎回、最高のものを目指して集中して取り組むしかないのですが。

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後頭部も、毎回悩むところです。


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いろいろな角度から見ても、破綻のないような造形を目指していますが、それがなかなか難しいです。


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長文御覧いただき、ありがとうございました。
また来年の7月を目指して、健康に気を付けながら精進していきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。


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by violino45 | 2019-07-12 06:18 | 製作記 | Comments(6)

Commented by Junjun at 2019-07-12 06:59 x
菊田さん、お誕生日おめでとうございます

今回のギターのお話、中学生の時からの想いなと、拝読させて頂きました。

50代、。。前は当たり前だと思っていたこと
日々平穏なくらし、自身や家族、周りの方々の健康、など 実はそれは本当は
凄い幸せな事なんだと 感じます。いつも
大切な事を気付かせてくださいまして感謝いたします。

また、菊田さんのギターへの想いも しっかり伝わってきました。
18年前に、思い切った決断をされた事を含め、、大変勝手ではありますが 同じ頃同じ思いを持ち 、、
私にとって、まさに バイオリンが そうであるのですが(私の場合は練習をしていなかったので同じとはいえませんが、、、)仕事が少し落ち着いてきた今,
頑張ってうまくなりたいと思う昨今です。

新しいホワイトバイオリン、
お誕生日の日のアップになった素敵な楽器ですね。品のある裏板も 細かい部分も
これから動き出しそうな躍動感が感じられました。

クレモナと日本を行き来する、また
製作でお忙しい中と存じますが
呉々もお身体ご自愛くださいませ。

そして、この一年が菊田さんにとって
素晴らしいものになりますよう
心よりお祈りしてます。
Commented by りんめいママ at 2019-07-12 10:08 x
アコースティック楽器は、管理が大変ですね。弾かないと調子もわからないですしね。いつか、菊田さんのギターを聞きたいです。
お誕生日おめでとうございます。
Commented by 葉月 at 2019-07-12 19:46 x
お誕生日おめでとうこざいます。

弦楽器のもともとは、弾く楽器だったのだと記憶しています。ギターは、バイオリンなどの擦弦楽器とはまた別の華やかさや、また哀愁がでる、音の世界がありますよね。ストイックに練習されていた頃のお姿を想像しました。
様々なご縁で、今の道に進まれてなお、真摯なお気持ちに心打たれます。
未だになにをやっているのか混沌としている私にとり、菊田さんはつねに道標となって、何度も心新たにしているところです。
これからも、お元気で。
今年の秋は無理そうですが、ぜひまたお目にかかりたいと思っています。
Commented by 菊田 at 2019-07-13 01:13 x
Junjunさん、こんにちは。

そうですね、昭和の時代に生きていた頃は、まさか、三つの時代を生きることになるとは想像もしていませんでしたが、まもなく60になるという時期に、新しい元号に変わる瞬間を体験できたのはとても幸運な人生だと思います。

平均寿命は延びながらも、生きづらくなっていく現代ではありますが、とりあえずは、明日が来ることを前提で過ごせることは、やはり幸せな環境であると思いますし、取り巻くすべての人や動物、ものに感謝していきたいと思います。

ギターとヴァイオリン、どんな楽器も、奏法や音楽表現は違っても、演奏することで得られる喜びは、時には苦しみも伴いますが、やはりすばらしいものだと思います。

私にとってのギターは、Junjunさんにとってのヴァイオリンのような存在にはまだ至っていませんが、でも、この年齢からでも、あらためて突き詰めることで、また新しい発見があるような気がしています。

先日ご紹介した書籍のように、あらためて、基礎からやり直したいと思っているところです。

早いもので、一年も半分過ぎて、11月に向けての時間も数えやすくなってきました。
ちょっと焦り気分ですが、でも、また日本に行けることを楽しみにしています。

また皆様にお会いできる日を楽しみにしています。
Commented by 菊田 at 2019-07-13 01:19 x
りんめいママさん、こんにちは。

木材は、湿気の影響を受けやすいですが、湿気の影響を受けやすいからこそ、楽器が年月と共に成長していくということもありますので、ぜひ、生きている存在として、これからも育てていただければ嬉しいです。

ギターは、なかなかお披露目するレベルまではいかないと思いますが、でも、うまく記録に残せたら、隠れて公開するかもしれませんので、お楽しみにです^^。
Commented by 菊田 at 2019-07-13 01:32 x
葉月さん、こんにちは。
そうですね、ヴァイオリンとはまた違う魅力が、撥弦楽器にはあると思います。
何にそこまで取り憑かれて練習していたのか、いまだに不思議ではありますが、最近になって思うのは、仮に、一つの音であったとしても、音楽的に鳴らされた1音には、人を感動させる力があるような気がします。
もちろん、ヴァイオリンも同じですが。

私が憧れたドック氏のギターには、まさにそのような力があって、最初の1音を聴いただけで、十分に幸せになれたものでしたが、当時は、その意味が自分自身でも分かってなくて、ひたすら、音符を追いかけてパラパラと弾いていただけでした。

今、それが分かったとしても、自分で同じ音が出せるわけではありませんが、でも、時々、近い音が出た時は、至福の瞬間を過ごしたりします。

なんだかよく分からないお返事ですみません。
また、日本でお会いできる時を、今から楽しみにしています。
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