製作中のストラド1705年モデルと、書籍のご紹介。

池袋の展示会のご報告から、久しぶりの更新になってしまいました。

今回の日本滞在はなかなかハードだったのと、5月は気候の変動が激しくて体調の維持が難しく、後半は少々体調を崩してしまいました。

そのままの状況でクレモナに帰国して、時差ボケの中、なかなか疲れも取れず、仕事も大幅に遅れてしまいつつありますが、春から製作を始めていたヴァイオリンがある程度形になりましたので、ダイジェストになってしまいますが、ご紹介させていただきます。

いつものとおり、横板の曲げ、そして内型への貼り付けから始まります。

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今回の裏板は、2枚板です。
完成した横板の形を写し取り、切り抜いていきます。

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丸ノミによる荒削りから、アーチ作りが始まります。
今までも何度もご説明してきましたが、この時点で完成アーチのイメージを明確に持って、その形にできるだけ近づけながら、バランスに注意して削っていくことが大切です。

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ミニカンナでのアーチ整形で、ヴァイオリンの膨らみはほぼ完成します。

木材の性質に合わせて膨らみ具合を微妙に変えていくことで、理想の音色を目指していきますが、なかなか答えが見つからない作業です。

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いろいろな大きさのカンナを使い分けていきます。

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スクレーパーでの仕上げは、表面を滑らかにする意味合いが大きいですが、でも、この段階でアーチ全体のバランスを調整することも多いです。
表面が滑らかになって初めて見えてくる、微妙な膨らみ具合の違いもあります。

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厚み出しの工程を経て(写真がなくてすみません)、ボディを閉じる作業になります。
厚み出し作業の詰めは十分か、、、バスバーはこれで大丈夫か、、、箱を閉じてしまったら修正できない工程も多いので、毎回、ボディを閉じる前には自問自答の繰り返しとなります。

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さて、タイトルにも書きましたが、書籍を一冊ご紹介いたします。

演奏家で、指導者としても幅広くご活躍されています、森元志乃さんの著書「ヴァイオリン基礎テクニック、リターンズ!」です。
もともとは、サラサーテ誌にレッスン記事として連載されていたものを、一冊の本にまとめられた内容となっています。
サラサーテ誌でおなじみの、せきれい社からの出版で、1600円+税で発売されています。

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表紙の写真をご覧になって、このブログの読者の方でしたらお気づきになられたと思いますが、私が製作したホワイトヴァイオリンを載せていただきました。
このヴァイオリンは、2018年の9月にクレモナで開催された、トリエンナーレコンクールに出品したヴァイオリンです。
オリジナルの写真は、こちらになります。

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なぜ私のホワイトヴァイオリンを表紙に使っていただいたかですが。
著者の森元志乃さんは、「ヴァイオリン各駅停車」の執筆で有名な方ですが、今回の著書のタイトルにもあるように、基礎的な技術に重きを置いた指導をされています。

また、私のブログは以前からご覧になっていたそうで、ホワイトヴァイオリンが仕上がるまでの工程が基礎的な技術の積み上げであることに共感いただいていたとのことで、今回、この本を出版されるにあたって、演奏の基礎テクニックの再確認という内容にホワイトヴァイオリンのイメージがピッタリとのことで、写真を載せていただきました。


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表紙をめくると、完成したヴァイオリンの写真があります。

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そして、背表紙には、完成したヴァイオリンの裏板の写真も載っています。

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内容は、もちろんタイトル通り、基礎テクニックをじっくりと再確認できる記事が満載です。
演奏技術だけでなく、音楽理論にも踏み込んだ内容で、私の印象では、ある程度レッスンを続けてこられた方が、さらなるレベルアップを目指す際に、もう一度基礎固めをしたいと思った時に、非常に心強く導いてくれる内容ではないかと思います。

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基礎テクニックの修得、そして積み重ねていくことの大切さは、私自身、楽器製作をする中で最も重要視している部分ですので、そのような書籍の表紙に写真を使っていただき、とても光栄なことと思っております。
宮地楽器さんでも購入できますので、ぜひ一度、お手にとって御覧くださいませ。

最後に、いつものホワイトヴァイオリンの場所で、記念撮影です。
ダブルで背景が見える、不思議な写真となりました。。

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by violino45 | 2019-06-14 04:42 | 製作記 | Comments(2)

Commented by Junjun at 2019-06-14 06:26 x
菊田さん こんにちは

新しいバイオリン制作、バイオリン基礎テクニックの本のご紹介有難うございます

今回の二枚板の制作、
何度拝見しても、バイオリンが出来上がっていく工程は、なかなか見れないものなので
とても興味深く、とても美しく感じます。
ミニカンナやスクレーパーが浮き上がって見えて、人の手がなく自分達の意志で動いているような、不思議な世界があるみたいに見えました。^ ^

バイオリン基礎テクニックの本
早速、購入致しました。菊田さんの楽器が
写真で使われているとは、凄いですね!
雑誌掲載おめでとうございます。

私ごとですが、バイオリンを楽しむだけでなく、もっと上手になりたいという気持ちが
強くなり、今までほとんど 勉強していなかった楽典についてや、基礎のテクニックに
興味が湧いていたところなので、ナイスタイミングで本を購入した感じです!
( まだ手元にありません、、^ ^)

五月は大変お忙しい中、体調崩されたとのことですが、今はいかがでしょうか。

東京は、梅雨に入り 天候が不安定です。

呉々も お身体ご自愛くださいませ。

Commented by 菊田 at 2019-06-15 01:05 x
junjunさん、こんにちは。

そうですね~、夜中に、ミニカンナが自分の意志で動いてアーチを完成してくれたら、こんな嬉しい魔法はないのですが^^、、、まだまだその境地には遠いようです。

でも、写真がそんなふうに見えたのでしたら、嬉しいです。
使い込んだ道具には魂が宿ると言いますが、そういうものが、知らず知らずの間に写真に写っているのかもですね。

書籍の御注文もありがとうございます^^。
そうなんですね、通販でも購入できるのは意識にありませんでした、、(昭和時代中期生まれ)。

私自身も、今まで、基礎は大切と思いつつも、楽器作りに突っ走ってきた気がしていまして、この数年は、意図的に基礎の部分を見直すようにしています。
その結果、やはり、製作のペースは落ちるのですが、より自然に製作に向き合える時間が多くなり、この先、長く仕事を続ける上で、楽器の質や完成度を維持していきやすくなるという実感が得られています。

健康の維持も、大切な基礎の一つなので、気を付けていきたいですね。
いつもお気遣いをありがとうございます。

日本は梅雨真っ只中なのですね、クレモナは梅雨がないので、暑くて乾燥した日々が続いています。
体調の維持は大変ですが、、全体的に生命力が溢れていて、好きな季節です。
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