ストラドモデルの製作 アーチ削り

1月も半ばとなりましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

クレモナも寒い日が続いておりますが、なぜか今年は天気が良い日が多く、比較的過ごしやすい冬となっております。

さて、先日、横板までご紹介しておりましたストラドモデルのヴァイオリンですが、今回は裏板のアーチの整形についてです。

横板の形に沿って切り抜いた裏板を、丸ノミを使って荒削りしていきます。

ヴァイオリン製作の中でも、最も体力を使う作業かもしれません。
真冬でも、服を脱いで、半袖になってしまいます。

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体力を使うと言っても、筋肉だけではなく、頭脳も使わなくてはいけません^^。
荒削りは、余分な木材を取り除く作業ではありますが、この時点で、仕上がったアーチのイメージを明確に持つことが重要です。

パーフリングを入れた後で、もう一度、丸ノミで荒削りをしますが、すでにアーチとしてまとまった造形を整えていけるかどうかで、この後のミニカンナの作業の効率も違ってきますし、最終の仕上がりにも影響が出てくる、重要な作業です。

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ミニカンナの作業は、かなり最終仕上げラインに近いところまで削りますが、怖がって木材を残しすぎてしまうと、造形が平坦なアーチになってしまいがちです。
この時点で造形がイマイチなアーチを、次のスクレーパーで劇的に変化させるのは難しく、時間もかかるので、ミニカンナでどこまで攻めていけるかが、アーチ削りの山場となります。

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スクレーパー作業では、表面を全体に整えることも重要ですが、アーチの造形が不十分なのに全体を整えてしまうと、そこからさらに踏み込んでいくのは難しくなります。
かといって、表面を滑らかに整えると初めて見えてくる造形もあるので、その兼ね合いが難しいところです。
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これで一応の完成ですが、箱を閉じるとまたアーチの印象も変わってきますので、最終的な仕上げは、ホワイトヴァイオリンの形になってから微調整します。

アーチ削りは、見た目の美しさと、楽器の音に対して、共に重要な作業ですので、常に、その両方を考えながらの作業になりますが、状況によっては相反する部分も出てきて、二人の自分が戦う状況にもなります。

その点、この後の、厚み出しの作業は、音の事だけを考えれば良いのですが、でも、音を追求するとともに、楽器の強度を維持しなければならないので、結局の所、どこまで行っても、楽器の完成まで、二人の自分が戦うことになります。

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さて、ミケにゃんの霊前に供える花として買ってきた、ヒヤシンスの苗です。
最初は、ほとんど葉だけだったのですが、
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だいぶ、つぼみが伸びてきました。
花が咲くのが楽しみです。
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by violino45 | 2019-01-14 08:15 | 製作記 | Comments(2)

Commented by Junjun at 2019-01-15 06:39 x
菊田さん、こんにちは。

裏板の製作過程のアップ有難うございます。

より詳しい解説をしてくださって、とても
わかりやすかったです。
特に、最終的に 音質と見た目の美しさ、強度を考えると相反する部分が出てくる、、、
製作者さんサイドの見方に興味深く拝読いたしました。

アーチを深く?というのですか、膨らみを強く出すと、裏板の厚みが、中央と端で
かなり変わってくるという事ですね?
ここは、〇〇ミリにする、、という
マニュアルがあるわけではないと。

改めて、楽器作りは、本当に奥深いと感じました。また、見た目の美しさだけでなく
楽器として、使用する事を考えて、、、

この部分では、全く畑違いの職業ですが、
私の仕事にも共通しているな、と感じました。( 見た目の美しさだけでなく、お口の中でちゃんと機能しなくてはいけないので、補綴物が作られてきて、それを調整するという
仕事が必要だからです。)

ミケニャンヒヤシンス、可愛らしいお花が咲くのは楽しみですね。寒い中、また少しずつ
春が近づいてくるのを、周りの自然が教えてくれる、、、そんな変化をちゃんと見れる
気持ちを持って、毎日を過ごしたいと感じました。

有難うございます^_^
Commented by 菊田 at 2019-01-15 17:38 x
Junjunさん、こんにちは。

コメントありがとうございます。

今までも何度もこの工程をご紹介してきまして、同じような説明になってしまっておりましたので、今回は、さらに少し詳しくお話ししてみましたが、少しマニアックというか、製作者の内面的なものになってしまった気がしていましたので、読み取っていただけて嬉しいです。

木工に限らず、どんな仕事でも、最終のイメージを明確に持って、段取りを組み立てていけるかどうかで、作業のスピードも仕上がりクオリティも違ってくると思うのですが、なかなか理想の域には到達できず、毎回、試行錯誤の連続ではあります。

でも、そうして悩みながら答えを出していくことで、製作者の個性や、魂のようなものが、自然に楽器に込められていくような気もしますので、今回の記事の内容と反する気もしますが、段取り優先にならないように気を付けてもいます。。

Junjunさんのお仕事は、まさしく、見た目も機能も、完璧を求められる世界だと思います。
私には想像もできない厳しさもあるお仕事だと思いますが、ヴァイオリン製作に共通点を感じていただけて嬉しいです。

気がつけば、2019年も24分の1が過ぎてしまいましたね^^。
思ったより早く、春が来るかもしれませんね。

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