ガルネリモデル 動画と写真でご紹介します。

先日、ストラディバリモデルを動画でご紹介しましたが、ガルネリモデルのヴァイオリンも先日完成しまして、輪野さんに試奏していただきましたので、ご紹介いたします。

曲目は、前回と同じく、パラディスのシチリアーノ、そしてバッハのソナタ1番の冒頭部分の、続けて2曲です
今回も、弦を張って2日目くらいの状態での録音となりました。
生まれたての楽器の声をぜひお聴きください。



お聴きいただきありがとうございました。
今回も、輪野さんには楽器の持つ音色をそのまま引き出していただけたと思います。
普段のストラディバリモデルに比べると、幅が1センチ近く細いヴァイオリンなのですが、低音のふくよかさもある楽器になったのではないかと思っております。


では、完成した楽器を写真にてご紹介させていただきます。

ガルネリ・デル・ジェズ 1731年 ex Huberman モデルです。
オリジナルの楽器の完全コピーではありませんが、サイズ他、楽器の基幹となる部分はできるだけ再現しております。

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裏板は、前回のストラドモデルと同様の、少し変化のあるトラ杢の1枚板を使いました。
名器をモデルとしての製作ではありますが、現代のクレモナで学んだスタイルと、私自身の個性が融合したヴァイオリンに仕上がっていると思います。

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このモデルの特徴が出ているのが、エフの造形です。
ストラディバリほど整っているわけではなく、かといって、後期ガルネリのような大胆さでもない、内なる暴れん坊?のようなエフの雰囲気を、できるだけ再現したいと思って製作しましたが、なかなか難しい経験となりました。。

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こちらが、オリジナルの楽器のエフとなります。

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右側のエフは、こんな感じです。
オリジナルのエフは、少し削れてしまっていて、それも含めて迫力があるのですが、私の美意識の中で、その雰囲気を再現しようとした結果、このような感じとなりました。
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こちらは、裏板のコーナー部分です。
オリジナルの楽器は、長い年月の間に欠けてしまったりして、ガルネリさんがどのような造形を目指していたのか、正確には読み取れないのですが、全体のフォルムとのバランス、トータルでのイメージを考えつつ仕上げました。
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ウズマキも、同じガルネリでもカノン砲のような大胆な造形ですと、特徴が掴みやすいのですが、この時代のガルネリさんのウズマキは、なかなか均整が取れていて、オリジナルの少し荒々しい雰囲気を出すのは難しいところです。

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オリジナルは、こんな感じです。
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反対側は、こんな感じになりました。
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正面は、ストラディバリの流麗なラインとは違って、無骨なウズマキの造形ですが、なかなか味わい深いシルエットです。
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オリジナルは、こちらです。
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斜めから見ると、こんな雰囲気です。
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この数ヶ月、毎日このガルネリモデルを見続けてきたのですが、最終的には、その魅力的な造形に惹き付けられた感じです。
もちろん、今後もストラディバリモデルを中心に製作していくことには変わりはないのですが、機会があれば、ぜひまたガルネリモデルに挑戦してみたいと思っております。
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この季節、ミケにゃんは少しずつ夏毛に変わっていき、表情も精悍な感じ?になってきます。
足の位置が、少し変な写真ですね。。
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by violino45 | 2018-05-01 06:51 | 製作記 | Comments(8)

Commented by junjun at 2018-05-01 13:47 x
菊田さん、こんにちは。

ガルネリモデルのアップ有難うございます。

輪野光星さんの素晴らしいつ演奏は、さすがです。
同じ演奏者の楽器別聴き比べが出来て
楽器の違いにより奏でる音の差ね比較が出来楽しかったです。

ガルネリモデルは、
元気な中にも、膨らみがあり、音の響きにも厚みがあり、かと言って 篭った感じもなく。。バランス良い素敵な音だと感じました

どちらかと言うと、出来たばかりというより
少し弾きこんだイメージでした。


前回のストラドは、どちかというと
元気さが際立ち、これからどんな
まろやかさが備わってくるのかな?という印象でした。ただ、華やかさは ストラドモデル
に感じました。

見た目は、二つ横にして比べてみないと
私にはわかりませんが、
とても美しい楽器であると伝わってきました。

一枚の裏板 虎杢は、品があり、少し
落ち着いた大人っぽいイメージです。

毎回、全くの素人が本当に生意気な事を書いてしまい、大変恐縮ではありますが、
こういったバイオリンに対する感想を
言うのも、楽しく嬉しく感じさせて頂いています。感謝致します。

穏やかな明るい光の中の
ミケニャン。クレモナの風を感じられる素敵な写真ですね。(o^^o)空気の感じ、
過ごしやすそう。。

ついに、五月となり
お忙しい日々と存じます。
お体ご自愛くださいませ。

Commented by 菊田 at 2018-05-02 02:04 x
Junjunさん、こんにちは。
楽器について、いつも丁寧にご感想をいただき、ありがとうございます。
とても参考になるご意見、嬉しく拝読いたしました。

実際に生の楽器の音を聴いての私自身の感想も、概ね、Junjunさんのご意見と同じでした。

実は、先日のストラディバリモデルは、ニスを塗り終わってからの乾燥の時間が比較的長く取れたのですが、今回のガルネリモデルは、帰国が迫っている関係で、ニスが理想的に乾燥するのを待つ余裕がなく(一週間程度の違いではあるのですが)、そのニスの乾燥度の違いが、華やかさの印象として少し現れているかもしれませんです。

録音してから数日経過しておりますが、現在は、少しキラキラした音色に変化しつつあります^^。

もちろん、全体的な音色の違いは、モデルの違いが大きいですし、材料の個性もありますが、その条件の中で、それぞれ最良の音質を目指して製作した結果がトータルで現れてくるのかもしれませんね。

いずれにしても、生まれたての音色は、楽器の本質的な個性を知る上で重要で、それを良い条件で記録することは意義深いことですが、実際に楽器がこれからどんな状態で音楽を奏でていくのかは別の次元の話ですし、様々な状況が変化する中で、良い音で響いていってくれるのかどうか、製作者としては心配とともに楽しみでもあります。

これからも、録音シリーズを続けていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

もう5月なのですね、、早いです。
ミケにゃんも、この季節は過ごしやすくて好きみたいです。。

Commented by 西野 at 2018-05-06 02:37 x
突然のコメント失礼致します。
いつも楽しく拝見させて頂いております。
YouTubeのバイオリン製作で表板の年輪が詰まりすぎていないものをあえて使用されていると仰られていましたがどのような特性があるのでしょうか。
弦楽器の杢目は音に影響はないが、表板の年輪は詰まっている方がいい音がする!というのが定説であるのかと思っておりましたので目からウロコがおちました。
企業秘密な部分などもあるとは承知しておりますがお答えいただけると嬉しいです。
宜しくお願い致します。
Commented by violino45 at 2018-05-08 19:12
西野さん、こんにちは。
菊田です、コメントをありがとうございました。
ブログの不具合で、通常モードでコメントすることができず、お返事が遅くなり失礼しました。
ログインしてのコメントでは名前が表示されませんが、、本人です^^。

さて、年輪と音の関係については、いろいろな要素が絡んできますので、明確には説明が難しいのですが、特に秘密はありませんです^^!

年輪の茶色い部分(いわゆる冬目)は、固くて重いので、その部分が太い木材は重い傾向があって、ヴァイオリンの材料としては使いづらい面があるのですが、それでも、全体の質が良ければ、良い音で響きます。

一方、冬目が細い材料は、軽めの傾向があり、また、見た目も軽快な感じで、一般的にヴァイオリンの材料として好まれます。
ここで、話題の、年輪がどの程度詰まっていれば良いかという話になるのですが、例えば年輪が極端に少ない(年輪が詰まっていない)木材は、とても軽いですが、強度が低く、強い音を出しづらい楽器となります。

逆に、年輪が極端に多い木材は、強度が高くて強い音を出しやすいですが、重くなりすぎると、響きが足りなくなります。

ただ、例外も多く、私の実感としては、年輪の詰まり具合と木材の音響特性、つまり音の良さとはあまり強い関係はないのではないかと思っております。

私が、年輪が詰まり過ぎていない木材を好む理由としては、年輪が通常の幅かそれ以上の幅の木材のほうが選択肢が多く、結果的に、音響的に優れた材料を仕入れやすいことがあります。
年輪が詰まった材料は、その分、樹齢が高い木材ですので、年々貴重になってきておりまして、選択肢が少ないのです。

あとは、見た目についての好みの部分も大きいですし、茶色い部分以外の柔らかい部分が多い材料のほうが、ヴァイオリンの低音域を作る上で、製作しやすいという経験則もあって、そのようにしています。

ただ、最優先しているのは、木材そのものの質であることには変わりありませんし、その木材に合った膨らみや厚みを決めることがとても重要と思っております。

明確にお答えできず、申し訳ありません。
ご参考になれば、幸いです。
Commented by 西野 at 2018-05-09 06:39 x
お答え頂きありがとうございます。
木材の音響特性を外見だけで判断するのは難しいのですね。
様々な条件で楽器の音が構成されていると思うと感慨深いです。
Commented by 菊田 at 2018-05-09 15:40 x
西野さん、こんにちは。
いえいえ、少しでもご参考にしていただければ幸いです。
音の良い木材を100%的確に選ぶことができれば、製作者としてはかなりのアドバンテージなのですが、現実にはそれは難しくて、皆、失敗を繰り返して学んでいく感じです。
その失敗の典型が、年輪による判断だったりもします^^。
その失敗の中から、製作者それぞれ、木材の外見で音響特性を判断するノウハウを身に着けていきます。
そのノウハウを言葉にすることは非常に難しいのですが、私の場合、パッと見て、キラキラしている木材を選ぶことが多いです。
根拠も理由づけも難しいのですが、、、^^。
Commented by parnassus at 2018-05-17 21:25
4種類目のガルネリモデル、たいへん興味をもって、型づくりからホワイト、と拝読しました。
ニスまで仕上がった今回の画像で、なるほど細身のモデルがよく感じられました。ワイルドではないF字がまたなんともいえない角度で切り込まれて、繊細に繊細を重ねるような原作だと思いましたが、菊田師匠流に見事にまとめられ新たな美しい造形が生まれましたね。
試奏動画からは、すでに十分鳴っていて、どんな風に成長するかも興味深い印象を持ちました。
お忙しい中での帰国、急に夏日の日本だったりしますが、どうぞご自愛くださいませ。
*たにつち*
Commented by 菊田 at 2018-05-17 22:30 x
たにつちさん、こんにちは。
ガルネリモデルへのご感想をありがとうございました。
カノン砲のような大胆な造形の、ガルネリの特徴が全面に出ているモデルも、その雰囲気をコピーするのは難しいですが、今回のフーベルマンは、ワイルドさと繊細さの絶妙なバランスの上で成り立っているような造形で、取り組み甲斐のあるヴァイオリンでした。

また機会があったら、挑戦してみたい楽器の一つとなりました。
カノン砲も、三台目を製作したいと思っているのですが、なかなか機会が訪れないのです。。。

日本は5月とは思えない、夏の気候ですね。
倒れないように、展示会頑張りたいと思っております^^。
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