ガルネリモデルの製作

1月も終わりに近づいていますね。
いつもながら、時間の流れに乗れていない感じで、少し焦りますが、その分、春が早く近づいて来る気もします。

2018年に製作を開始する最初の楽器は、ガルネリモデルのヴァイオリンとなりました。
お客様からご要望をいただき、初めて製作するモデルとなります。
長い名前ですが、、「Bartolomeo Giuseppe Guarneri "del Gesu'" , 1731 ex Huberman」 です。

ガルネリ一族には優秀な製作家が多いですが、中でも、この Bartolomeo Giuseppe Guarneri は、ストラディヴァリと肩を並べる名人として有名です。
パガニーニが生涯愛用して、没後はジェノバの市役所に寄贈された1742年「カノン砲」はあまりにも有名ですが、その他にも、多くの名器が存在します。

楽器のラベルに、イエス・キリストを表すIHSのシンボルを描いていたため、「イエスのガルネリ」という意味のイタリア語で、「Guarneri del Gesu'」(ガルネリ デル ジェズ」と呼ばれることでも有名ですね。

今回製作する、1731 ex Huberman は、その名のとおり、名ヴァイオリニスト「ブロニスラフ・フーベルマン」が使用したことでその名が付いています。
私自身、今まで、ガルネリモデルのヴァイオリンは、先述の1742年「カノン砲」を2台製作したほか、1741年「イザイ」、そして1740年「ハイフェッツ」を製作した経験がありますので、今回は4つ目のモデルとなります。

さて、製作のご依頼をいただいて、楽器の形をコピーできる写真を探したのですが、原寸大のポスターは発売されておらず、またネット上でも鮮明な写真を手に入れることができず、困ってしまったのですが、同僚の高橋明さんに相談したところ、以前所有していた楽器カレンダーをスキャンしたデータに、この楽器のページがあって、モデルに使用できるくらいに鮮明な写真ということで、データを譲っていただけることになりました。
高橋さん、ありがとうございました。

こちらが、そのカレンダーです。(2006年の3月ですね)
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データ保護のため、拡大した写真を載せることはできませんが、楽器の雰囲気は感じていただけると思います。
後期となる1742年「カノン砲」の時代のようなワイルドな感じとは違って、少し細身で、繊細な雰囲気の楽器です。
例によって、ガルネリ独特の非対称性もあって、新作楽器としてコピーするのはなかなか難しそうですが、私の製作スタイルを維持しながら、できるだけオリジナル楽器のイメージを取り入れながら製作していきたいと思っております。

まずは、写真のアウトラインを薄板にコピーして、切り取り、楽器の半身のモデルを作ります。
アルミ板で作る人が多いですが、私はアルミ板のヒンヤリした感触が苦手なので、家具に使う樹脂板(フォーマイカ板)を使います。
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次に、内型用のベニヤ板(15ミリ厚)に、半身モデルを左右対称にデザインします。
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モデルのデザイン線から、横板の厚み(1.2mm)と、表板&裏板がはみ出す分(約2.5mm)を足して内側にラインを引き、ブロックを貼り付ける部分もデザインして、切り抜くと、内型ができあがります。(実際には、精密に直角を出す必要がありますので、ここまで簡単ではありませんが、、)
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内型に、ブロック材を貼り付けて、コーナー部分を整形して、横板を曲げて貼り付けます。
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横板は、トラ杢が深いほど曲げづらいものですが、今回は、なかなか大変な横板でした。
慎重に作業していたのですが、少し急いで曲げようとしたら、ピシッという破滅の音がして、、
このようなことになってしまいました。
この数年間、ここまで分かりやすく割ってしまったことがなかったので、しばらく凹みました^^。
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気を取り直して、予備の横板を曲げて、無事に作業が終わりました。
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これで、ヴァイオリンの形のベースが完成しましたので、表板と裏板にアウトラインを写し取って切り取り、整形していきます。
また後日、ご紹介できればと思っております。

今日のミケにゃんは、少し精悍な顔つきです。
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と思ったら、いつもどおり、丸くなって寝てしまいました。
久しぶりに、見事な丸です。
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by violino45 | 2018-01-27 06:31 | 製作記 | Comments(2)

Commented by junjun at 2018-01-27 16:07 x
菊田さん、こんにちは。

新しいガルネリモデルの製作のアップ
有難うございます。

実は、私は菊田さんはじめ、製作者さんブログからの知識がほとんどで、
ガルネリさんに対して、色々知らない事を
お話くださったのを感謝致します。

バイオリンを作る時の見本?になる型を
どうやって手に入れたか、等の お話が
とても興味深いものでした。

また、横板が割れてしまい、驚いたとの話にも深ーく 共感できました。

私も仕事の上で 、あるクライアントから
ご意見、注意を頂き、(本当に口にして頂いたのは大変 有り難いことでしたが、)
注意がおろそかに、また 少し慣れからのことを指摘され、反省していました。

大丈夫だと思っていた事が、、、
のお気持ち 凄くわかりました。しかし
折角の貴重なご意見に、さらに仕事に頑張っていこう、と改めて思っていたところでした

素敵なフォルム これからどうなるのか 大変楽しみです。

そんな中、やはり さすがの ミケニャン。
相変わらずのマイペース、可愛いし癒されますね。

日本は、大大寒波!まさかの マイナス温度に
ほぼ一週間前の雪解けも まだしてない状況です。こんな寒いのは、記憶にないくらい。

クレモナも、まだまだ寒い日々と存じます。

呉々もご自愛くださいませ。
Commented by 菊田 at 2018-01-27 23:56 x
junjunさん、こんにちは。
ガルネリモデルについて、ご参考になりましたら幸いです。
ガルネリに限らず、新しいモデルで製作する時には、上手く仕上げることができるのか、少なからず不安もあるのですが、、でも、新しいことに挑戦できるのは、製作者として、とても喜ばしいことなので、頑張って製作しているところです。

でも、まずは良い写真が手に入らないと、実現は難しいですので、今回は少々ハードルが高かったのですが、高橋さんのおかげで、解決策を得ることができて、感謝しているところです。

横板が割れるという失敗は、ヴァイオリン製作で起こりうるミスの中でも比較的多いもので、また、何度でもやり直しできるという点で、junjunさんのお仕事とは比較にならないくらい軽微なものではありますが、小さな失敗を軽く見ていると、いつかは大きな失敗を招いてしまうものですので、今回、自戒の念もあって、写真をアップしてみました。

いずれにしても、クライアントに限らず、周りからのご意見は、とても貴重なものですし、真摯に耳を傾けられるかどうかで、その後の進歩が違ってきますよね。

いつも貴重なコメントをいただき、感謝しております。

日本がここまで氷点下になるのは珍しいですね。
体の芯から温めて^^、お気をつけてお過ごしくださいませ。
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