ストラディバリモデル、そして岩井さん制作の動画の紹介

残暑お見舞い申し上げます。

クレモナは、今年は珍しく残暑が厳しいですが、それでも、30度を超える日はなくなりました。

私がクレモナに来たのは、12年前の、2001年9月3日でした。
そして、その一週間後にニューヨークで事件が起こり、まだテレビも購入していない時でしたので、友人の家で衝撃的な映像を見ることになりました。

希望に燃えてクレモナに来たのに、いきなり、暗い気持ちで留学生活が始まったことを覚えています。

さらに、その年は、9月だというのに肌寒く、テレビを買う前に、電気毛布を買ったのでした。

その頃、40歳だった私は、12年もクレモナに居ることは想像もできず、不安な気持ちと戦いながら、それでも、必死な思いで製作学校に通っていたことを思い出します。

12年経った今も、いろいろ大変なことも多く、弱気になることもありますが、2001年当時の気持ちを思い出すことで、まだまだ乗り切れる気がしています。
やはり、初心忘れるべからず、ですね。

と言いつつ、このブログは、2005年に開始した時の勢いはどこへやら、、、名ばかりの製作記になりつつありまして、申し訳ありません。

でも、私の製作家としての歴史と、大切な出会いの数々が凝縮された、私の分身のようなブログですので、今後も、途絶えることなく継続していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

前置きが長くなりましたが、現在製作中の楽器について、少しご紹介します。
いくつかの楽器を同時進行しているのですが、今回は、ストラディバリモデルの製作記です。
この楽器は、11月の弦楽器フェアにて展示させていただく予定です。

荒削り、無心で削っているように見えて、実は、もっとも脳内が活動している作業かもしれません。
荒削りが気持ちよく決まった時は、その後の作業のスピードが大きく違ってきますので。
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パーフリングの先端部ですが、カッコ良く決めようと思うと、どうも余分な力が入って上手くいきません。
こういう部分は、無心で臨んだ方が良いのかもしれません。
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そして、ミニカンナでのアーチ削りです。
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これは、毎回、戦いというか、自問自答の連続になります。
途絶えることのない連続したカーブ、、、三次元の世界なのですが、四次元に迷い込んだような気持ちにもなります。
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迷い込んだら、気持ちをリフレッシュ、ということで、タイトルにも書きましたが、友人の製作家、岩井孝夫さんが製作された動画をご紹介します。

「カエデの芽吹き」という動画です。

今回の記事でご紹介したバイオリンの裏板は、旧ユーゴスラビア諸国が位置するバルカン半島の山で育つ、通称「バルカンカエデ」と呼ばれるカエデで、見た目も美しく、音響的にも優れています。

ご紹介する動画は、この、バルカンカエデと同じ種類の樹木が、春になって芽吹く様子を連続撮影した写真をつなげたもので、貴重な映像ですし、生命の力強さを感じて、そして癒やされる動画になっています。

そして、私達製作家は、このような芽吹きを何百年も繰り返してきた樹木を削って楽器を製作しているのだということを忘れてはいけないと、あらためて思いました。

では、ごゆっくりご覧くださいませ。


by violino45 | 2013-09-06 07:30 | 製作記 | Comments(12)

Commented by としくらえみ at 2013-09-06 12:01 x
菊田さん
こんにちは。お久しぶりです。
菊田さんのクレモナは12年前に始まったのですね。
わたしのドイツ留学と重ね合わせてその頃を思い出しています。
この9月から、わたしの息子たちが通う学校の先輩がクレモナに行きますよ。趣味でチェロを弾くお嬢さんです。(A・Iさん)
菊田さんのこともおはなししておきました。どこかで出会ったらよろしくおねがいします!
Commented by junjun at 2013-09-07 07:18 x
菊田さん、こんにちは。

このUPのお陰で私も12年前を振り返ってみました。
一日の早さを実感しているので、ついこの前の事だと感じるのかと思いきや、意外に時間はしっかり流れていて、当時の私とは自分自身も周囲も変化しているのに驚きます。だからこそ、あの時の自分を忘れないで、今、そして明日を未来に繋げていく為に日々 大切にして行きたいと 思います。。。有難うございました!

新しいバイオリン、これから楽しみです!
バルカン半島のカエデさん、とても美しいですね。

ご紹介くださった動画、繊細だけど美しい生命の力が伝わってきて、とても感動しました。新しい楽器が生まれる前から、その力が繋がっているのですね。

東京も今日は昨日までと違ってかなり涼しいです。
クレモナも急に涼しく?寒く?なるのでしょうか?
呉々も、お身体大切にご自愛くださいませ。
秋の展示会を楽しみにしています!!

Commented by 菊田 at 2013-09-07 07:20 x
としくらえみさん、こんにちは。
こちらこそご無沙汰しております。

そうなのです、この9月で12年過ぎてしまいました。
長かったような、あっという間のような、不思議な感覚です。

としくらさんに工房に来ていただいたのは、2008年でしたね。
あの時からも5年も経っていますが、これはあっという間という感じです。
息子さん達も、大きく成長されているでしょうね。
再会できます日を楽しみにしています。

A・Iさんの件、了解しました。
落ちついたら、工房にもお立ち寄りいただければ幸いです。
Commented by 菊田 at 2013-09-07 08:01 x
junjunさん、こんにちは。
そうですよね、12年というと干支が一回りですし、10年という区切りとはまた違った時間の流れを感じますよね。

クレモナに来て最初の一年は、出口の見えないトンネルを歩いているように、本当に長く感じたことを今でも良く覚えています。

一年過ぎた頃にラザーリ師匠に出会い、私の人生は大きく動き始めたわけですが、それ以前の気持ちを決して忘れてはいけないと、あらためて思う今日この頃です。

カエデに限らず、四季のある場所に育つ樹木は、夏の間に成長して、秋には活動を止めて、冬は眠り続けて、春になると一斉に芽吹くのですが、その一年間が、年輪一本分として刻まれています。

楽器の外側が古い年輪、中心に向かって新しい年輪です。
黒い部分が冬、白くなったところが春、白い部分全体が夏、そして黒くなりかけが秋ですね。
こうして楽器を見ると、また違う愛着を感じられるのではないでしょうか?

クレモナは、今日はなぜかまた暑かったです、、。
でも、突然冬のように寒くなるので、要注意ですね。
毎年、この季節は風邪をひいてしまいます。
Commented by 岡村 at 2013-09-07 09:31 x
菊田さん こんにちは。昨日 スタジオジブリの宮崎監督の引退会見がやっていました。何かを創造する人、クリエーター、アーティスト、 凡人の私には尊敬するばかりです。彼は72?っと言ってましたが、菊田さんも、巨匠の道を歩んでるのでしょう。こうしてブロックを通してお話ししていただけるだけで、光栄です。
Commented by 菊田 at 2013-09-07 16:08 x
岡村さん、こんにちは。

宮崎監督は、今までの人生で大きく影響を受けた人物の1人ですので、引退の報道は、ファンの1人として本当に残念に思っています。

私も、少しでもその域に近づけるような仕事をしたいと、常日頃から思っておりますが、道はまだまだ遠く長い気がしています。

こちらこそ、いつもコメントをいただき、光栄です。
今後ともよろしくお願いいたします。
Commented by 田口 at 2013-09-12 12:35 x
菊田さん、初めまして。

製作学校について調べていたらこちらのサイトについてきた田口と申します。
私は現在の学校を卒業したらクレモナで製作を学びたいと思っております。
願書等の手続きについては既に調べたのですが、実際にクレモナで学ぶとき年間どの程度の資金(学費やアパート等の生活費)が必要でしょうか?現地にお住まいでわかるようでしたら教えて頂きたく存じます。
いきなり不躾なご質問で申し訳ございませんが宜しくお願いします。
Commented by 菊田 at 2013-09-13 05:44 x
田口さん、こんにちは。

申し訳ありません。
生活費については、どういう生活をするかで非常に違いが出てくると思いますので、一概にお答えすることは難しいです。

アパートは、月間400~600ユーロの範囲内だと思います。

学校に支払う金額は、私の在学中は、年間、数十ユーロでしたが、現在は違っているかもしれません。

これは、私からのお願いなのですが、ブログにコメントをいただけるのは嬉しいのですが、可能でしたら、アップした記事に関した内容をコメントいただければ幸いです。

留学のご成功をお祈りしております。
Commented by R at 2013-09-13 07:54 x
菊田さんおはようございます。いま日本は朝の7時50分すぎです。
ここ北九州市は朝晩冷え込むようになりました。お昼はまだ暑い日があります。
クレモナはどんなお天気ですか?
菊田さんは40歳の時にクレモナにきて12年になるのですね。私も今年の7月で40歳になりました。これから12年わたしも頑張ってやりたいことを少しずつでも良いのでやってみます。
その時までまだ菊田さんもクレモナにいることが可能ならいてください。私もその頃には自由に何処へでも行く事が出来ているとおもいます。
それとイタリア語教材も見つけました。
菊田さんのこれからの人生が素晴らしいものでありますように。( ´ ▽ ` )ノ
Commented by 菊田 at 2013-09-14 04:55 x
Rさん、こんにちは。
そうですね、干支で言うと一回りの年月が過ぎましたが、早かったような、長かったような、両方の感覚があります。

でも、いつの時でも、その日その日、その一瞬を大切に思って、無我夢中で過ごしてきたことの積み重ねが、今の自分につながっていると思いますので、これからも、変わらずに、精進していけたらと思っています。

クレモナには、いつまで居られるか分かりませんが、気がついたらまた一回りしていたと思えるような状況だったらいいなと思っています。

クレモナは、もう秋も深まって、半袖では寒いですが、天気が良いので気持ちよい季節です。
日本の秋の味覚が無いのが、寂しいところですが、、、。
Commented by 小長井 at 2013-09-16 11:13 x
こんにちわ。私は、今年5月から高校の社会人聴講生としてバイオリンを始めた53歳の男性です。やり始めたらはまってしまって今度はバイオリンを作成しようと思いました。今日も3時間で菊池さんのブログをすべて読んでしまいました。11月の弦楽器フェアーにも行くつもりです。道具と材料をそこで買うつもりです。だけど、作成の本もブルーレイも買ったし、まだ始めたばかりで分からない事だらけです。菊池さんの始めたころと同じでしょうか?ひとつ教えてください。豆カンナは、底が平らな物と丸い物がありますが何mmのカンナでいくつ最低限どちらを買ったらよいでしょうか。良いアマチュア製作者になれるようにアドバイスをお願いします。
Commented by 菊田 at 2013-09-17 22:34 x
小長井さん、こんにちは。

ブログをご覧頂き、ありがとうございます。
ミニカンナですが、製作者によって、使いやすいサイズは違ってくると思いますので、実際に使ってみて、手になじむものを探していくことが必要だと思います。

私と、相棒の高橋さんも、それぞれまったく違うものを使っています。

参考までに、私が使っているものは、12ミリがメインです。
底が丸いカンナは、7ミリのも使っています。

良い楽器ができますことを祈っております。

ちなみに、私の名前は、菊田です。

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