ニスの材料
今日は、ニスの材料をご紹介します。
先日ご紹介したドラゴンブラッドは、ニスに色をつけるための物ですが、ニスそのもの(透明)は別の材料で作ります。
私がクレモナで作っているニスはこの写真の材料で作ります。
前列中央と右側のキラキラしている物体がニスのメイン材料で、シェラックといいます。
この物体、「カイガラムシ」という虫が分泌した物質を固めたものらしいです。
バイオリン、実は虫の力を借りて、完成されていたのですねー。
左側は、ジネプロといって、樹液を固めたものです。これとシェラックがニスのボディになります。
後列の左側は、マスティックと言って、やはり樹液を固めたものですが、ニスを少し柔らかくする性質がありますので、入れすぎると大変なことになります。
真ん中は、ベンゾエといって、すごく芳香性のある硬い物質です。
おいしそうな匂いがします。
事実、お菓子作りに使われていたそうですよ。
ニスに入れると、輝きが増しますが、入れすぎると硬くなりすぎます。
右端が、エレミといいまして、これまたすごくアロマティックな香りがします。
イタリアバイオリン独特の香りは、このエレミやベンゾエの力が大きいです。
エレミは、見るからにニスを柔らかくしますが、入れすぎると乾かないニスになります。
今の楽器にはこの6種類の材料をアルコールに溶かして透明ニスにしています。
その比率は、申し上げることはできませんが、実際、試行錯誤しているところです。
日本の気候を考えると、硬く、乾きやすいニスを使いたいところなのですが、硬くしすぎると音が響かなくなるので、ちょうど良い妥協点を探るのが難しいところです。
by violino45 | 2005-08-12 16:19 | 製作記 | Comments(2)
今回の材料だけでもリッチで豪華な色のニスができそうですが、これだけでは「透明ニス」なんですね、不思議!
やわらかいそうですね、そのほうが響くものなんですか?それも不思議。
実は、数日前から、ヘフナーのヴィオラが手元にあります。家具のごときガチガチの堅牢ニスです。(笑
音に関しては、あまり柔らかすぎても木の振動を止めてしまうのですが、木の柔らかさを殺してしまうような硬いニスだと、良い響きが得られないわけです。木を保護しながら、木と同じように振動してくれる、ほどよい硬さが理想的ですが、なかなか難しいものです。
ヘフナーの楽器、歴史ある大メーカーの作品なので、硬くても木の振動を殺さないような工夫がされているような気がします。
音がよければ、やはり硬いほうが取り扱いが楽なので、良いと思うので。
値段にもよると思いますが。