ウズマキ、あれこれ。
ウズマキ、スクロール、いろいろ言い方がありますが、イタリア語では、「テスタ」とか「キョッチョラ」とかの言い方があります。
「テスタ」は、頭という意味です。
車の名前の、テスタロッサは、赤い頭という意味ですね。
エンジンの上部が、赤く塗られているのが名前の由来だそうです。
「キヨッチョラ」は、そのまま、カタツムリ、ですね。
ちなみに、@も、キヨッチョラと言います。
さて、ウズマキの胴体の部分は、のこぎりで切り出した後、ミニかんなで整えます。
このミニかんなは、アーチを削るものと違って、底が平らになっています。
この、胴体の部分も、バイオリンの造形を美しくする大切な場所ですので、慎重に仕上げます。
ウズマキの、一周目を削っている途中です。
一周目が仕上がったら、のこぎりで、2周目を切っていきます。
ここでしくじったら、、最初からやり直しですので、少し緊張します。
ノミで、形を整えていきます。
このあたりの作業は、いったん音作りから解放されて、造形に集中できますので、楽しい時間ではありますが、逆に、デザイン的なセンスを問われますので、別なプレッシャーもかかってきます。
音楽を奏でる道具である楽器を製作しているのですが、でも、こうした音に関係ない部分も、まったく同じこだわりを持って取り組んでいるのが、バイオリン製作者ではあります。
この部分だけで、コンクールの審査をするくらいですからね。
とりあえず完成したウズマキです。
ウズマキの完成と前後して、ネックの、親指が当たる部分を作ります。
ノミでざっくりと削ってから、、
小刀やヤスリで仕上げていきます。
この部分は、音には影響しませんが、指が当たる部分ですので、とてもデリケートな感覚で仕上げますし、見た目も美しくというのがやはり大切です。
後ろから見た造形は、ストラドモデルならストラドらしく見えるように仕上げますが、これが、また難しく、丸くなりすぎたり、扁平になったりと、、まだまだ師匠のように仕上げるには修行が必要だと感じています。
そして、ウズマキの背中を彫り込んでいきます。
ウズマキは、作業の後半になるほど危険な作業が増えてきます。
ここではみ出したら、、今までの作業がすべて水の泡ですので、少し余白を多めに取って削り、ヤスリなどで仕上げていくことになります。
シマにゃんが、いきなり作業台の上にジャンプしてきたのにはビックリしました。
いままで、バイオリンや私の仕事にはまったく興味が無いように見えていたのですが、何をコソコソとしているのか、気になったのでしょうね。
でも、何もおもしろい物がないと分かると、すぐに降りて行ってしまいました。
でも、3月に保護した時は、ジャンプどころか箱の中からも出られないくらいでしたので、ここまで回復したのは本当に嬉しいことです。
こちらは、先日、爪を研いでボロボロになった発泡スチロールに、紙を貼ってシマにゃん用のベッドにしたものです。
最初は不満だったようですが、丸くなって寝るにはちょうど良いようです。
でも、ソファで寝るのがやっぱり一番のようです。。
では、おやすみにゃさい。
by violino45 | 2011-07-27 06:35 | 製作記 | Comments(12)
こうして、気持ちをいれて少しずつバイオリンって完成されていくのですね。いつも素敵な写真有難うございます。
シマにゃん、やはり美人猫ちゃんですねー。
今週末まで両親が旅行に行って我が家のネネちゃんはチョット寂しそうです。私が家に帰ると何処にでもついてきます。
友達曰く一度捨てられた動物は、必ずそれを覚えているので人が居ないと不安になるそうです。ネネちゃんの飼い主からは連絡ないですけど、毎日ネネちゃんはうちの子だよーって声かけています。
シマにゃんも菊田さんの家で幸せになっていて良かったです。
スクロール難しいけど楽しいですよね!いまだに途中でなんか間違っているような気がしてしまいなかなか進みませんが・・・(笑)
途中まではオリジナルに近づけようと思うんですが削ってるうちに楽しくなってしまって完成すると全然違う物になってます(笑)
シマにゃんも元気そうで良かったです!発泡スチロール事件は後始末が大変だったと思いますが(笑)
我が家の猫もいつもいるはずの人間がいないと一生懸命探してます。みんなそろってるときは全く無視なんですけどね(笑)
では、また!
はい、バイオリンを作っていて、胴体がどれだけ良いものが出来ても、ウズマキがイマイチですと、ニスを塗っていても気持ちが盛り上がらないです。
もちろん、製作者しか分からないくらいの違いなのですけれどね。
なので、ウズマキは、ほんとうに納得がいくまで仕上げてから、ボディに接合しますので、ボディが完成してからホワイトバイオリンが完成するまではかなりの時間がかかりますです。
そうですか~、ネネちゃん、一人でお留守番は寂しいでしょうね。
ネネちゃんは、捨てられたわけではないでしょうけれど、、でも、いまさら飼い主さんが戻ってきても、「あんた、だれにゃ?」ですよね、、^^。
シマにゃんも、そっけない態度が基本なのですが、、気がつくと、近くにいるところが、カワイイですね。
そうですね、ウズマキは、一応、モデルというか、テンプレート通りに線を引いて、それに合わせて削るのが基本にはなるのですが、作っていく途中で、ほとんど関係なくなりますよね。
でも、それが製作者のスタイル、個性になっていくのだと思います。
さすがに、アマティモデルを作っていて、ガルネリみたいになってしまっては、ちょっとマズイ、、ですが。。
シマにゃんも、おかげさまで元気です。
猫って、ほんとうに同居人をよく見ていますよね。
関係ないっていう顔をして、、、。
ニスを塗っていたりすると、何となく近づいてきて、1メートルくらい離れたところに、背中を向けて座ったりするのですが、その距離感がなんとも言えないですよね。
僕がテスタ作っていたときは、木がこんなにも滑らかできれいな肌触りになるとはとても信じられませんでした。
美味しそうな洋菓子の様に見えたことを覚えています。
菊田さん製作のテスタはやはり美しいですね。
ところで突然のご質問で大変恐縮なのですが、ニスについてご教授願えればと思います。
僕が使っているニスが、昨年フェアーで購入した小さな缶に入ったアルコールニスを使っていたのですが、
改めて使おうと思ったらゼラチン状になっていました…
この様な状態は液体に復活させることは難しいのでしょうか。
宜しくお願いします。
シマにゃんのリラックスしている姿が菊田さんに信頼をおいている証拠ですね。
寝てる姿可愛過ぎますよ。
そうですね~、きれいに削れたときの木材の表面の美しさは、他に例えるものがないくらいですね。
私の考え方としてですが、、最後に表面をいくら磨いても、あまり効果はなくて、骨組み、そして肉付けをいかにきちんと意識して削るかを注意すると、自然に表面も輝いてくるのだと思っています。
抽象的な表現で、すみません。
ニスですが、アルコールニスでしたら、缶の蓋の閉まりが悪くてアルコールが蒸発しただけだと思いますので、状態にもよりますが、アルコールを追加してかき混ぜれば、元の状態に戻ると思います。
アルコールは、薬局で売っている、無水エタノールを使ってくださいね。
でも、このアルコールは高価なので、ニスを新規に買った方が安いかもしれませんが、無水エタノールはいろいろ使い道がありますので、一瓶手元にあっても良いかもしれませんです。
でも、薄めすぎには注意してくださいね。
薄めすぎた場合は、蓋を開けてしばらく放置しておくと、アルコールが蒸発して、適度な濃さになります。
この、適度な濃さ、というのが難しいのですけれどね。。
蓋のしまりが悪かったのかもしれません…トホホ
以前に無水エタノール購入していたので早速使ってみます。
お蔭様でホッとしました。
骨組み、肉付けを意識して削るという表現に、なるほどと思い知らされました。
ただ機械の様に形を削るのではなく、逆に骨組みに肉付けするという感覚。
次回からはその感覚で製作したいと思います。
いえいえ、参考になりましたら、なによりです。
私も、ジャムの瓶などにニスを入れているのですが、しばらく使っていないと、アルコールが蒸発して、どろどろになっていることが良くあります。
固体になってしまったら、液体に戻すのは難しいですが、どろどろの状態でしたら、アルコールで元に戻る可能性は高いです。
骨組み、肉付きの話は、かなり抽象的ですみません。
たとえば、ミケランジェロの彫刻などを見ると、まさしく、骨と肉が見えてくるような感じがありますが、そうなると、多少表面がデコボコ、ザラザラしていても関係なく、ピンと張り詰めた美しさが伝わってくる、、というような感覚です。
これは、もちろん、ウズマキだけのことではありませんです。
きれいな渦巻き…彫りも深いですね。私も2号機では彫りの深い渦巻きに挑戦しようかなぁ。実は、木を注文したら何故かネック用の木が1つ多く入ってました。販売元に確認したら、「こっちのミスだからプレゼントします」ということなので、今回はネックは大胆に行ってみたいと思います。
ところで、菊田さんのネックの写真を拝見しますと中心線は常に描かれていますね。私の初号機では、中心となる線を全て削ってしまい何を基準にすれば良いのかわからなくなってしまいました…次は前回の失敗を生かしきっちり基準となる線を確保したいと思います。
いえいえ、これくらいのウズマキは、彫りが深いわけではなくて、ストラドスタイルの、標準的なものだと思います。
でも、ウズマキは、彫りを深くすればするほど難しくなりますので、ぜひ挑戦してみてくださいませ。
それにしても、木が多く入っていたのは、ラッキー?ですね。
ぜひ、その幸運を活かして、良いウズマキを作ってください。
さて、中心線ですが、とても大切なものですので、最後まで消えないように、工夫をすることが大事だと思います。
最外周が完全に仕上がってから中心線を引くことが、ポイントになりますが、このあたりの工程も、ノウハウがびっしりと詰まっていますので、なかなか説明が難しいです。
機会があれば、そのあたりの説明も、記事にしてみたいと思いますが、急いでいると、写真を撮るのを忘れてしまうんですよね、、、。
素人視点なのですが、普段何となく見ていた「ネックの親指が当たる部分」というのは実はいろんな曲面がぶつかるところで、複雑な箇所なんですね。楽器の機能としても大切なところですし・・・
ウズマキと違って結構あっさり作っていらっしゃるように見えたのですが、出来上がりの写真を見て感心しました。
自分の楽器はどうかな?と見たらすでにニスが剥げていました(苦笑)
楽器に申し訳ないです(涙)
こちらこそ、ご無沙汰しておりますです。
コメントをありがとうございます。
そうなんです、この部分、そして、ボディ側にも親指の当たる部分がありますが、親指というのは、演奏中につねに楽器に触っているところですので、ある意味、ウズマキよりも大切な部分かもしれませんね。
気持ちよく演奏できるように、そして、音程の確保にも支障にならないように、性能重視で仕上げるのですが、やはりバイオリン、この部分のデザイン要素も、他の部分と同じく重要です。
360度、どこから見ても、バランス良く仕上げるのはなかなか難しいです。。
この部分のニスは、どの楽器も自然に剥げてくるものですので、、大丈夫ですヨ。
その、自然に剥げた部分の、木の色も変色してきた感じが、なんとも言えず美しいと、私は感じています。
表板などは、あまりニスが剥げてしまうと、湿気を吸って剥がれてきてしまいますので、そうは言っていられないのですが、、、。