弦楽器フェア2010 出展と、記念プロジェクトのお知らせ

先日モンドムジカが終わったばかりですが、、、
11月には東京で弦楽器フェアが開催されます。

●期間は、11月5日(金)~11月7日(日)の3日間です。
●時間は、10時~18時までです。
●場所は、「科学技術館」 東京都千代田区北の丸公園2-1 です。

    (最寄り駅は 地下鉄、「九段下」もしくは「竹橋」です)

弦楽器フェアの、公式HPはこちらです

参加4年目となった今年も、高橋明さん、天野年員さんとともに、宮地楽器さんのブースにて楽器を展示させていただきます。

私の展示楽器は、先日のモンドムジカでも展示したバイオリン(ストラドモデル)と、
このブログで以前から製作風景をご紹介しています「イザイ・ガルネリ・バイオリン」、
そして、もう一台、ストラドモデル・バイオリンを展示させていただこうと思っています。

モンドムジカのバイオリンと、イザイ・ガルネリは、試奏もしていただけますので、この機会にぜひお試しいただければ幸いです。

また、以前から何度か展示させていただいている、2006年製のビオラ(41センチ)も試奏用楽器としてご用意させていただく予定です。

高橋さん、天野さんも、新作楽器を多数展示されますので、ぜひ、3人の音色の違いなども弾き比べてみていただければ嬉しいです。
高橋さんは、先日、ピゾーニェのコンクールのビオラ部門で優勝!されましたが、
(おめでとうございます!)、そのビオラも展示される予定です。
ピゾーニェのコンクールの報告は、高橋さんのブログでご覧いただけます。

さて、ここまでは例年通りなのですが、今年は、宮地楽器さんのブースにおいて、私たち3人の特別なイベントをご用意しています。

イベントと言っても、何かを発表するわけではなくて、、「特別な楽器」のお披露目です。

どう「特別」かと言いますと、、、3人で1台のバイオリンを作ってしまったのです。。
唐突ですみません、、、詳しくご説明しますね。

今年、天野さんが京都で工房を開かれたことは先日ご紹介しましたが、帰国に先立ち、クレモナで10年間お互いに切磋琢磨したライバル3人で何か記念に残ることができないか?と考えていたときに、弦楽器フェアで毎年お世話になっている宮地楽器の山本さんからもアドバイスをいただき、3人で1台のバイオリンを共同製作しようということになりました。

3人が同時期にクレモナで出会った偶然の奇跡と、10年間の切磋琢磨で築いた良いライバル関係を、「絆」として永遠に残すためには、やはり1台のバイオリンとして形にする以外ないのでは?と皆で話し合った上での挑戦でした。

まだまだ発展途上の3人ですから、「大それたこと」と、お叱りの声もあるかと思いますが、発展途上であればこそ、それぞれの技術や感性をぶつけ合うことで新しい発見もあり、貴重な勉強ができる機会と思って取り組みました。

いざ製作が決まってからは、モデルの選定、そして役割分担など、いろいろ悩みましたが、最終的にはモデルは1715年のストラディバリ「クレモネーゼ」となり、役割分担は、次のように決まりました。

●高橋さん:設計、図面作成、内型作成、横板・ネック製作、楽器のボディの組み立て。

●天野さん:表板製作、バスバー、指板製作、魂柱、駒、部品のセッティング、音の調整。

●菊田  :裏板製作、ニス塗り、磨き。

菊田の作業が少なく、楽をしている?ように見えますが、、、ニス塗りはやはり時間もかかりますし、楽器全体のイメージを左右してしまう責任重大な部分ですので、、、ほかの部分の負担を軽くしていただきました。

実際、ニス塗りは、3人の個性をニスで覆い隠してしまわないように注意しつつ、でも私の個性は残るような、微妙なバランスを保ちながら仕上げるのは難しかったです。

高橋さんと天野さんも、普段の楽器製作とは違う難しさが大いにあったと思いますし、そもそも製作スタイルが微妙に違う3人の「表板、裏板、スクロール」が、ひとつのバイオリンとして融合するのか不安もありましたが、それでも皆、良い楽器の完成を信じて取り組めたのは、製作仲間として10年間の親交で築いた信頼関係があったからだと思います。

写真は、プロジェクト初期の頃の、それぞれの担当部分を手に持っての記念写真です。

高橋さんが持っている図面を元に、皆が製作に取り組みました。
天野さんは、帰国が迫っていたので、すでに表板が仕上がりつつありますね。
私だけ、まだ裏板の材料のままですね。。
弦楽器フェア2010 出展と、記念プロジェクトのお知らせ_d0047461_650167.jpg

材料は、昨年のモンドムジカの時に、宮地楽器の山本さんとともに会場の材木屋さんを皆で回り、適度に乾燥していてすぐに使えそうな材料を選びました。
オリジナルのクレモネーゼは裏板が一枚板ですが、乾燥している一枚板は手に入らなかったため、2枚板での製作になりました。

この共同製作バイオリンのコンセプト広告が、現在発売中の「ストリング」誌でご覧いただけますし、宮地楽器さんのHPでも、同じイメージをご覧いただけますので、ぜひご覧ください。

今週、宮地楽器さんのブログでも、このプロジェクトの紹介記事が数回に分けてアップされる予定ですし、私も引き続き、もう少し、この楽器についてご紹介したいと思っています。

完成した楽器は、弦楽器フェアで展示されます。
ご自由に試奏もできますので、3人の個性がコッテリ詰まったバイオリンを、ぜひ弾いてみてくださいね。(濃いですよ~^^)

by violino45 | 2010-10-24 07:11 | お知らせ | Comments(6)

Commented by shige at 2010-10-25 21:39 x
菊田さん、こんにちは。お久しぶりです。

今年も弦楽器フェアーの季節になりましたね!今年も御邪魔させて頂きます。

3人合作のヴァイオリン興味有ります!師匠と弟子の合作ならなんとなく想像がつきますが全く違う3人が1台の楽器を作るとどうなるのか?
今から楽しみにしてます。

では、会場でお会いしましょう!
Commented by りんめいママ at 2010-10-26 05:02 x
すばらしい企画だと思いました。3人の関係を大事になさっているのには、感動しました。

>菊田の作業が少なく、楽をしている?ように見えますが、、、

思わず笑ってしまいました。菊田さんは、本当に真面目な方ですね。
Commented by かとう at 2010-10-26 12:30 x
菊田さん、こんにちは。

今年も、芸術の秋、弦楽器フェアの季節がやってきましたね。
3人での合作とは、宮地楽器の山本さんは、アイデアマンですね〜。
興味を持たれる方も多いでしょうね。
どんな塩梅で出来上がってくるのか、楽しみです(今頃は、天野さんの工房で最後の調整中、と行った所でしょうか?)
それぞれの個性が、ブラジルサッカーのように主張し合いながらも魅せる楽器になっているのか、はたまた、オランダタイプか、それともやっぱり日本
?(監督もイタリア人になった事ですしね)。。。
よく分からない例えでスミマセン!
どの位の濃さが出ているのか、興味津々、です@@
Commented by 菊田 at 2010-10-26 19:43 x
shigeさん、こんにちは。
こちらこそご無沙汰していますが、お元気ですか?

3人での共同製作、、、私たちもまったく予期できない状況でのスタートでしたが、興味深いバイオリンに仕上がったと思います。

ぜひ、会場でごらんくださいね。
お会いできるのを楽しみにしています。
Commented by 菊田 at 2010-10-26 19:56 x
りんめいママさん、こんにちは。

ほんとに、大それた企画ではあると思いますので、、、賛同のコメントをいただけて、嬉しいです。

はい、3人でどう分担するのかは、皆でいろいろ悩んだのですが、、それぞれの持ち味を上手く発揮できる分担になったと思います。

明君は、もともと設計技師なので、、図面はお手の物ですし、、。
天野さんは、修理工房での経験をバスバーや音の調整に活かせますし、、。
私は、、、、あれ? ニス塗りは得意じゃなかったかも、、、。(汗)

Commented by 菊田 at 2010-10-26 20:06 x
かとうさん、こんにちは。
ほんとに、山本さんのアイデアの賜物ですね。

おっしゃるとおり、楽器は今、天野さんの工房で、最終調整の最中です。
私たちも、どんな音の楽器に仕上がったのか、フェアまで聴くことができませんので、とても楽しみです。

なるほど、、サッカーに例えると、、、難しいですね~。。
少なくとも、統率の取れたチームプレイの、ドイツタイプではないことは確かですが、、、。

鍋にたとえると、かに鍋、あんこう鍋、モツ鍋を一緒に混ぜた感じでしょうか、、、誰がどの鍋かは、、、特に意図はありませんが、、、。
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