ガルネリモデル、「イザイ」の製作

久しぶりの、製作記です。

いままで、ストラドモデル以外のバイオリンは、ガルネリ・カノン砲モデル、アマティモデル、ガリンベルティモデルなどに挑戦してきましたが、今回取り組むのは再びガルネリモデルで、「イザイ」というニックネームで呼ばれている、1740年製作の楽器です。
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イザイは、ベルギーのヴァイオリニストで、無伴奏バイオリンソナタなどの名曲を残した作曲家でもありますが、そのイザイが生前愛用していたガルネリ・デル・ジェズ製作のバイオリンが、今回のモデルになります。

以前製作したカノン砲は1742年の作品ですから、2年間の差があるわけですが、イザイはカノン砲に比べて、全体的に穏やかな印象を私は受けます。
ですが、やはりガルネリ・デル・ジェズ、、、ストラドの端正な表情と比べると、迫力がありますね。
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エフ孔も、左右でかなり印象が違いますので、コピーモデルを製作する場合、悩むところです。

カノン砲やアマティを製作した時もそうでしたが、私の場合、完全コピーを目指すのではなくて、その作品が持つ基本的なアウトラインと雰囲気を私の製作スタイルの中に取り込んで融合させるのが製作ポリシーですので、今回も、基本的なラインはオリジナルからトレースしますが、左右対称なデザインに修正する予定です。

まず、原寸大のポスターの、裏板のラインをトレースして、薄板モデルを製作します。
この薄板モデルがすべての基本になりますので、慎重に、時間をかけて製作します。
一見、単純作業にも見えますが、この作業で、いかにオリジナルの楽器のエッセンスを自分のものにできるかで、最終的な楽器の仕上がりが大きく違ってくる、大切な作業です。
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完成した薄板モデルを基準にして、内型のラインを引き、切り取ります。
この作業でも、意外と誤差が出やすく、鉛筆のラインだけを信じて作業していると、知らない間に微妙にラインがずれてきて、別の楽器のような印象になることがありますので、常に目でラインを確認して仕上げていきます。
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内型の完成です。
これで、コピーモデル製作の最初の難関をくぐりぬけたことになりますが、これで本当にokだったのか、まだこの時点では答えは出ていませんので、しばらくは落ち着かない時間を過ごすわけです。
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当面、製作記はこの楽器をご紹介していきます。
なかなか更新ペースは上がりませんが、今後ともよろしくお願いいたします。

by violino45 | 2010-03-21 07:08 | 製作記 | Comments(16)

Commented by kinderreim at 2010-03-21 08:54
ドキドキしながら読んでいます!
ガルネリ・・・そしてイザーイ。
コピーして仕事をすすめていくとき、なんか彼らの「精神」というものまで
流れる気がしますね。
ほんとうにドキドキします。
ko-usagi
Commented by アスパラ at 2010-03-21 09:28 x
イザイのコピーの作風を楽しみながら、見たいです。
完成したときは、何処で見られるのかおしえてください。
Commented by たか at 2010-03-21 11:43 x
菊田さんのガルネリモデル「イザイ」、すごく楽しみです!
私はどちらかというとストラドモデルより、ガルネリモデルの迫力ある表情が好きなので、今からとてもワクワクしています!
Commented by かとう at 2010-03-21 13:33 x
菊田さん,こんにちは。

今日の愛知は,黄砂がひどく、景色がぼんやりしてます。
いよいよ春ですヨ。

イザイガルネリの素敵な印象そのままに、菊田さんらしい楽器に仕上げられるのを楽しみにしていますね。
内型のお尻の辺りのシルエットに、既にその片鱗が見えるような気がしてます。。
Commented by セイジ at 2010-03-21 14:13 x
こんにちは。
また、型から過程が観られる事を楽しみにしちゃいます。

ずっと思っているのですが、菊田さんの仕上げへの追求心にいつも学ばされます。
そしてその度に、自分で出来る事よりも少し上乗せをと自分に言い聞かせている次第です。
その繰り返しで階段を上がっていけるのでしょうね。

ブログを一新しました!
お時間があれば、また見てみてください!
Commented by 菊田 at 2010-03-21 23:01 x
ko-usagiさん、こんにちは。
そうですね、この楽器は、のちにアイザック・スターンも演奏していたそうで、どれだけたくさんの人々の耳を癒していたことかと想像すると、その歴史の重みに気が遠くなりますね。
まさしく、精神というものが宿っている気がして、写真を見るだけで、その存在感に圧倒されるのだと思います。

少しでも多く、その精神を新作楽器に取り込められるよう、私も心して取り組んでいきたいと思っていますので、、お楽しみにです。
Commented by 菊田 at 2010-03-21 23:04 x
アスパラさん、こんにちは。
この楽器、また確実とは言えないのですが、今年の弦楽器フェア(11月)に展示させていただくかもしれません。
そうなったときは、またお知らせしますので、ぜひご覧くださいね。
Commented by 菊田 at 2010-03-21 23:13 x
たかさん、こんにちは。
そうですね~、ガルネリ、特に後期のデル・ジェズの表情は、何とも言えない迫力がありますね。

私も好きなのですが、、ラザーリ師匠から習ったスタイルを維持しながら、その迫力を表現するのはなかなか難しいので、少し思いきった挑戦ではありますが、私自身、どういう楽器になるのかとても楽しみで、わくわくしています。
Commented by 菊田 at 2010-03-21 23:21 x
かとうさん、こんにちは。
そうですか~、黄砂、、、洗濯物が大変ですね、、^^。
ほんと、気がつけば、春ですね。
桜の季節、、、うらやましいです。

カノン砲に続いて、ガルネリへの挑戦ですが、あまり難しくは考えずに、自分が素直に美しいと感じられる楽器に仕上げていきたいと思っています。

内型までは、イメージ通りに進んできましたが、、これから難関がいろいろ待ち構えていますので、、しばらく落ち着かない状態が続きそうです。
Commented by 菊田 at 2010-03-21 23:31 x
セイジさん、こんにちは。
はい、今回書かせていただいたようなことは、私も最初から分かっていたことではなくて、、数知れない失敗や遠回りを繰り返す中で、少しずつ身についてきたことなのだと思っています。

実際、私の工房には現在は使っていない(使えない)薄板モデルや内型が、たくさん転がっています。

経験を積めば積むほど、最初の段階(薄板モデルなど)にかける作業時間が増えていくものですが、これは、どんな仕事でも同じことなのかもしれませんね。

ブログ、拝見しました。
いよいよ、新しい作品が形になりつつありますね。
道具も、興味深いです。。
今後の展開を楽しみにしていますね。
Commented by たにつち at 2010-03-25 12:34 x
遅くなりましたが。
新たなデルジェズ型への取り組み、たいへん楽しみにしております。
デルジェズには、カノンなどのいかにもな(?)顔と違って、あれ?というおとなしく見えるタイプがありますよね。
この再現というのは、とても繊細な作業ではないでしょうか。どのように師匠が料理されるのか興味深いです。
Commented by 菊田 at 2010-03-26 04:31 x
たにつちさん、こんにちは。
そうですよね、たにつちさんの「カノン砲」に比べて、初期のデルジェズなどは、一見、ストラドと見間違うほど繊細な作風の楽器もあって、それもまた魅力的な楽器なのですが、モデルとして採用する場合、カノン砲のように特徴のある楽器の方が、製作者としては表現しやすかったりします。

イザイは、カノン砲の2年前の楽器ということで、繊細さと大胆さが入り混じった、絶妙なバランスを持った楽器だと感じますので、そのコピーモデルというのは、とても取り組み甲斐のある仕事だと思います。

少し長期な製作記になりますが、お付き合いいただければ幸いです。
Commented by crs at 2010-03-26 22:30 x
菊田さんお久しぶりです。
新たな挑戦をなさるということでまたまた制作工程、完成が楽しみです。
私は、知識がまだまだ乏しいので「イザイ」の存在を知りませんでしたが
菊田さんの技術と先人の融合を拝見することができることに感謝です!
初めて薄板を作ったとき鉛筆のラインをどのように切り出すかで悩みました。
鉛筆の太さでもレイコンマ何ミリ変わってくるので慎重な切り出しをしたのを
覚えています。
様々な知識や状況を伝えてくださっているので非常に勉強になります。
ありがとうございます。


Commented by 菊田 at 2010-03-28 06:36 x
crsさん、こんにちは。
そうですね、鉛筆のラインの、どこを見て削るかで、全体的な印象が微妙に変わってきますので、最終的には、シルエットを見ながら、感覚を研ぎ澄まして仕上げていくしかないのかもしれませんね。

この感覚は、薄板モデルだけではなくて、楽器製作の工程すべてに当てはまりますので、これからも、さらに感覚を磨いて、優美なラインを目指していってくださいませ。
Commented by gon at 2010-04-04 01:07 x
菊田さん、こんにちは。今度は新しい型のデルジェスモデルですか。どんな風に菊田ナイズされていくのかとてもたのしみです。
日本では、まだ天気は安定しませんが、桜の花もいよいよ咲き出して春を感じられる様になりました。菊田さんのいるクレモナはどうですか?身体に気をつけて製作頑張って下さい。
Commented by 菊田 at 2010-04-05 06:55 x
gonさん、こんにちは。
はい、、今度のデルジェズモデルは、、、なかなか手ごわそうです。。
どんな仕上がりになるのか、、自分でも想像がつかない部分が多いのですが、、そのぶん、楽しみでもあります。
なかなか更新できませんが、、お楽しみにです。

クレモナは、一時期暖かくなったのですが、、4月に入ったとたんに、再び寒くなってしまいました。
gonさんも、体調には気をつけてくださいね。。
日本の桜の景色、、ほんとに懐かしいです。
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