クレモネーゼ 1715モデル ホワイトで完成

A.ストラディバリ 1715年 クレモネーゼ・モデルのヴァイオリンがホワイトで完成しましたので、写真にてご紹介いたします。
途中、私のメインモデルである、1705年との違いについて、少し写真にてご説明させていただきます。
(すごくマニアック&ディープな内容になっております^^)

まずは、楽器全体の写真です。 表側から。


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そして、裏側です。

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楽器のシルエットとして、ボディだけの写真をご覧ください。

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比較として、いつもの1705年のボディです。

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なかなか違いは分かりづらいと思いますが、全体の印象としては、いつもの1705年のほうが、ボディ中央部がくびれていて、プロポーションの差が大きいと思います。
センター部分の、特に下側のコーナー部分に着目すると、その違いを感じていただけるのではと思います。

ふさわしい例えかどうかは分かりませんが、クレモネーゼ1715モデルは、ストラドの黄金期の代表モデルらしく、押し出し感が強く男性的なイメージ、対して1705年モデルのほうは、少しアマティ的な繊細さが残った、女性的なイメージとも言えるかと思います。

今度は、表板での比較となります。
まずは、クレモネーゼ1715モデルです。

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そして、1705年モデルの表板です。

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全体的なシルエットの違いは、裏板で説明したとおりですが、それとともに、エフのデザインの違いが、楽器の表情、印象の違いとなっています。

エフの部分を拡大した写真です。

クレモネーゼモデル

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そして、いつもの、1705年モデルです。


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これまた、微妙な違いなのですが、クレモネーゼモデルのほうがエフの縦方向の動きが強く、直線的。 対して1705年モデルのほうは、横方向の広がり感が強く、曲線的という違いがあります。
いつもの1705年モデルのエフは、ラザーリ師匠から譲り受けたモデルで、イタリア語で「Amatizzato」つまり、アマティ的なエフと呼ばれているモデルです。
1705年の楽器のシルエットの女性的なイメージによくマッチする造形で、特に、コーナー部分のデザインとのコンビネーションが絶妙と思います。

すみません、やはり、非常にマニアックで、観念的な説明になってしまいました。
楽器の音にどの程度影響があるかは分からない部分ですが、製作家同士の会話では、もっとも盛り上がる、これだけで酒が飲める内容というのは事実です。

というか、こういう微妙な違いを突き詰めていって初めて、イタリアのヴァイオリン製作の本質に近づくことができるとも言えますし、実際のところ、私自身、このような微妙な違いを勉強するために、また、それを楽器製作に具現化するために会社を辞めてクレモナに留学したようなものですので、今回書きましたような内容は、私の製作家としての根幹にかかわるような大切な部分ではあるのです。

上記の、二つのモデルの違いは、非常に微妙な差ではありますが、見る人が見れば分かる、すごく明確な違いでもあります。
私も以前はそうでしたが、ただ設計図どおりに、モデルとして製作しただけでは、この微妙な違いは表現できないと思います。
モデルの特徴をイメージできる感性、そしてイメージを具現化できる技術力が無いと、どのモデルで製作しても同じように見えてしまいますし、それどころか、ストラディバリにも見えないという状況になってしまいます。

私自身、そのことを十分に体現できているとは思ってはおりませんし、ラザーリ師匠の楽器を見る度に、まだまだ道は遠いことを実感もするのですが、クレモナに来て18年、歩んできた道のりと、これから進むべき道のりをあらためて再確認する意味もあって、あえてマニアックな記述をさせていただきました。


一つだけ、非常に分かりやすい違いをご説明しておきます。
これは、クレモネーゼモデルを製作する場合のポイントとなるのですが、パーフリングを入れる位置(ボディ外周からの距離)が、0.5ミリだけ内側になっています。
つまり、いつもの1705モデルの場合は、外周から4ミリにするのですが、クレモネーゼ1715モデルの場合、4.5ミリになります。
エフの写真を見比べていただければ↑良く分かると思いますが、このことも、クレモネーゼのモデルが男性的な力強さを持つ要因の一つになっています。


さて、マニアックな比較はここまでにして、今回の楽器を写真でご紹介していきます。
裏板は、オリジナルのクレモネーゼとはだいぶ印象が違いますが、私の好みの、動きのあるトラ杢の1枚板です。

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コーナー部分です。

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エフの造形です。

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ウズマキは、数年前から黄金期ストラドのモデルで製作していますので、今回、特に大きな違いはないかと思います。
ウズマキの話を始めると、さらにディープな、泥沼的なマニアック話になってしまいますが、また別の機会にご紹介できればと思っております。


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最後までご覧いただき、ありがとうございました。


ベランダから見える桜は、まだ開花までは日がかかりそうですが、少しずつ、つぼみが膨らんでいるようにも見えます。
春は、もう近くまで来ているようです。

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# by violino45 | 2019-03-10 17:44 | 製作記 | Comments(4)

クレモナの風景 アンティーク市の紹介

毎月、第三日曜日はクレモナの中心地にてアンティーク市が開催されます。
一週間経ってしまいましたが、写真にてご紹介いたします。

自宅から中心地に向かう、via XX Settembre (9月20日通り)です、奥にドゥオーモと時計塔が見えます。

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通りには、AUTOMOBILE CLUB CREMONA があります。(Tの文字が消えてますが)
この事務所で、運転免許の更新、車の名義変更、自動車税の支払いなど、車に関する手続きをいろいろ行うので、自宅に近いのは便利です。

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面白いドア飾り(ノッカー?)があると、つい撮影してしまいます。

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ちょっと怖い飾りもあります。(魔除けでしょうか?)

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中心地のストラディバリ広場で、アンティーク市が開かれます。

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旧市庁舎内の広場にも出店が出ていて、いい雰囲気です。

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出ているものは、すごくヴァリエーションが豊富です。

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食器類が多いですが、、

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小物、アクセサリーも多いです。

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いわゆる、エッグも多いですが、手を出したことはありませんです。

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ガラクタ的なものも多いのですが、雰囲気のある壁の前に置かれていると、なんだか良さげなモノに見えてくるのが不思議です。

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可愛いけど、ちょっと怖い、人形達。。

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こうして、ヴァイオリンケースが置かれていると、すごく気になりますね。
私自身、アンティーク市のヴァイオリンに出会ったことで、人生が変わったこともあるので。

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やはりイタリア、自転車の展示は絵になりますね。

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ストラディバリさんは、300年後の世界を予測できていたのでしょうか?

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出店してるオジサンたちも良い雰囲気です。

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怪しげな古道具や、
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使えるかどうか分からないカメラなども、アンティーク市の定番です。

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この構図、我ながら、なかなか良い雰囲気だなと思っていたら、

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絵に描いて売っている人がいました。
やはり定番の構図のようですね^^。

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この日は珍しく天気が良くて、空も青くて穏やかな一日でした。

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ドゥオーモの入り口前の階段は、絶好の日なたぼっこの場所なのでした。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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# by violino45 | 2019-02-25 07:08 | クレモナ散策 | Comments(2)

ストラド クレモネーゼ ”1715” モデルの製作

2019年、2台目となるヴァイオリンは、ストラディバリの、いわゆる黄金期とされる1715年に製作された「クレモネーゼ」です。

おそらく、世界で最も有名なストラディヴァリのヴァイオリンではないかと思います。
過去に、様々なポスターや書籍で紹介されたきた楽器ですが、私が以前購入した、「Strumenti di Antonio Stradivari」にも原寸大で記載されています。

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実物は、もちろんクレモナのヴァイオリン博物館に展示されています。

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新作ヴァイオリンのモデルとしても人気がある楽器なのですが、私自身、クレモナに留学した2001年以来、初めて製作するモデルとなります。

理由はいろいろあるのですが、一番大きい理由は、2003年にラザーリ師匠に弟子入りして以来、師匠から譲っていただいた1705年モデルを追求したいという思いから、積極的に他のモデルを製作しなかったことと、コンクールの受賞などの経緯もあり、1705年モデルが最も得意なモデルとなったことだと思います。

一度だけ、お客様のご要望で1707年のカテドラル・モデルを製作したことがあり、結果も良かったのですが、定番のモデルのヴァリエーションとして継続して製作するには年代が近すぎることから、その後は製作しておりません。

実は、クレモネーゼ・モデルは、2010年に、高橋明さん、天野年員さんとともに、宮地楽器さんとのコラボレーションという形で共同製作楽器として製作したことがあります。(私は裏板とニスを担当しました)

その時に、高橋明さんがCADで設計図を作成されたので、今回は、その設計図を使わせていただくことにしました。
高橋さん、ありがとうございました。

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設計図を元に、私なりのアレンジを加えて製作した内型です。

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内型にブロック材を貼り付けて、横板を曲げる作業に入ります。

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Cの部分を貼り付けた状態です。

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横板を貼り終わり、やっとヴァイオリンの形になりました。
新しい内型の場合、計算通りに目的のモデルの形になるかどうか、製作してみないと分からない部分もあるので、いろいろ心配ではあるのですが、ここまでくれば、少し安心です。

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横板の形をもとに、裏板と表板を切り出していきます。

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そして、アーチ整形は、丸ノミでの荒削りの作業から始まります。
同じストラディバリのモデルでも、1705年と1715年では、微妙なカーブの違いと、上部、C部、下部のプロポーションが違うので、荒削りの作業から、アーチの見え方が微妙に異なり、いつもより慎重に削らないと失敗する危険があります。

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ミニカンナの作業でも、アーチの完成形のイメージがいつもと異なるので、いつもより時間をかけて作業をすることになります。

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スクレーパーで、一応の仕上げとなりますが、一日経過するとまた見た印象が変わってくるので、裏側を削って厚み出しをする段階になってからも、微妙に修正しながら仕上げていきます。

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とりあえずの仕上がりです。
モデルはクレモネーゼですが、当然、使用している木材は違いますので、オリジナルのコピーを目指すのではなく、この裏板の特性に見合った形を目指して仕上げていきます。

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いろいろ悩みますが、音響的には、弦を張って音を出すまでは結果を知ることができない、気長な仕事になりますので、経験上、アーチを削っている間は、どちらかというと見た目の美しさを目指して集中するほうが、結果的には良い楽器として仕上がるような気がしています。

# by violino45 | 2019-02-15 06:44 | 製作記 | Comments(4)

クレモナの風景 2月

クレモナの風景の、写真でのご紹介、2回目となります。
今回は、町の中心部ではなくて、少し裏通りを散策してみました。

枚数が無駄に多いですが、、ご容赦くださいませ^^

自宅を出てすぐの通り(Corso Vacchelli)の風景です、一方通行なので、自転車用のレーンが用意されています。

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商店が多い通りで、ちょっと洒落たショーウィンドーも多いです。

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10ユーロ、、誰が買うのでしょうか?

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落ちついた感じの路地です、サン・ミケーレ教会に続く坂道です。

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歴史を感じるバルコニーが多いです。

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自転車道を振り返ると、こんな感じです。
突き当たりの、教会の塔が印象的です。

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交差点に来ると、自転車用の信号機もあります。

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なんだか良く分からない建物の雰囲気も、イタリアらしいです。

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交差点を右に折れて歩いていくと、真冬らしい風景となります。

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赤煉瓦に、赤い車、これもイタリアらしい雰囲気です。

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また右に折れると、自宅から見て裏通りの、ボノメッリ通りとなります。

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自宅前の通りと違い、商店は無くて、住宅街となります。
突き当たりに、ドゥオーモ(大聖堂)が見えます。

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良く分からない標識ですが、おそらく、子供が遊んでいるので注意!、という意味だと思います。

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街中には、なかなかの頻度でゴミ箱が置いてあります。

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このボノメッリ通りにも、雰囲気のあるバルコニーが多いです。

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イタリア中で、もっとも目にする標識はこれではないかと、、、。
Passo Carrabile、、、「車庫の出口なので駐車禁止です」、という表示なのですが、語源的には、「馬車の通り道」という意味なのが、イタリア的です。
たしかに、馬車が通れるくらい背の高い扉が多いです。

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ドアの飾りも、年季が入っていて美しいです。

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お洒落な窓の装飾、微妙に違うデザインなのが面白いです。

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バイオリン工房の窓でしょうか、、内型が見えます。

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先ほどと同じ標識ですが、斜線で消されているということは、ここからは子供の遊び場ではないという指示でしょうか。。

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ボノメッリ通りの出口です。

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通りを抜けると、大聖堂の裏側になります。

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大聖堂前の、石畳の道、よい雰囲気です。

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足元を見ると、こんな感じです。

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SALDIは、バーゲンセールの意味です。
この季節、ブランド物なども、かなり安く買えるので狙い目ですが、、、

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帽子、、色合いに惹かれますが、、たぶん似合わないですね~。

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大聖堂裏から見た大通り、via XX Settembre (9月20日通り)です。

この通りの突き当たりが、自宅のある通り(Corso Vacchelli) の入り口です。
最初の方の写真で見えていた、教会の塔を反対側から見ています。

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カメラを持って散策すると、ちょうど1時間ほどの道のりでした。
また次回、別の場所をご紹介できればと思っております。

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# by violino45 | 2019-02-05 07:50 | クレモナ散策 | Comments(4)

ストラドモデル ホワイトで完成しました

前回、アーチ作業をご紹介してから、間が空いてしまいましたが、ホワイトで完成しました。

いつもの、A.Stradivari 1705年モデルで製作しました。

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裏板は少し繊細なトラ杢ですが、動きのある模様の1枚板です。

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コーナー部分の仕上げです。
切れ味があって、しかも柔らかい雰囲気の造形を目指しておりますが、、今回はどうでしょうか。

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エフは、ストラドの力強さに、アマティ的な柔らかさが含まれた雰囲気を目指しています。

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前回ご覧いただいたアーチ、完成形はこんな感じです。

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ウズマキは、このところの私の定番となりました、黄金期のストラディバリのモデルです。

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クリスマスの時期に、静かに削っていたウズマキでした。

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さて、ミケにゃんにお供えしていたヒヤシンスですが、、

少し咲いてきたと思ったら、

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どんどん勢いがついてきて、、

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あっというまに満開になりました。
花が重くて倒れてしまうので、、ゴムで支えています。。
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ヒヤシンスの花、ひとつひとつが繊細な花弁ですね。
そして、香りがすごいことにあらためて驚きました。
部屋中、ヒヤシンスの芳香に包まれております^^。

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# by violino45 | 2019-01-28 16:01 | 製作記 | Comments(2)