大聖堂の絵画と、次回作ヴァイオリン

クレモナの中心地に用事があると、たびたび、大聖堂(Duomo)の前を通るのですが、タイミングによっては、扉が開いていることがあり、中を見学することができます。


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私はクリスチャンではないのですが、大聖堂内の荘厳な雰囲気に包まれると、やはり神妙な心持になります。
1107年に建築が始まり、1491年に完成したと言われている大聖堂、アマティやストラディバリ、ガルネリも礼拝に訪れたと思うと、ヴァイオリン製作者として、この地で生活することの重みをあらためて感じます。


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堂内を少し進んでから振り返ると、大きな丸いステンドグラスに目がくらみながら、その下に位置するフレスコ画に目を奪われます。
ジョバンニ・アントニオ・デ・サッキス、別名ポルデノーネが1520年から1521年にかけて描いたフレスコ画で、イエス・キリストの処刑シーンをモチーフにした、ポルデノーネの代表作の一つとされています。


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詳しい画像はこちらです。
中央の人物がとても印象的な、ダイナミックな映像ですね。

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実は、自宅の壁にも、同じ絵が飾ってあります。
昨年のクリスマスに、お向かいに住んでいるイタリア人のご夫婦が、私たちにプレゼントしてくれました。
クレモナに来て20年近く、同じアパートで暮らすイタリア人はみな親切で、突然やってきた日本人の私たちに温かく接していただけたことが、不慣れな土地で頑張ってこれた一つの要因だったと、あらためて思います。


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さて、次のヴァイオリンの製作も進んでおります。
このヴァイオリンから、荒削り用の丸ノミを新調しました。
実は、この作業は腰や背中、腕の負担が大きくて、年々、厳しくなってきていたのですが、友人の製作家のAさんに相談したところ、彼が自作した丸ノミを譲っていただけることになったのでした。
持ち手が少し長くなり、また、握り具合も絶妙で、体にかかる負担がかなり軽くなり、傷みや疲れが少なくなりました。
Aさんには本当に感謝しております。

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ミニカンナでのアーチ削りは、いつもどおりです。
低い位置からの光でできる影を頼りに、最適な膨らみを目指して削っていきます。


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表板は、エフを描きながら、完成したイメージを想定しながら、整えていきます。


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スクレーパーで仕上げて、アーチの完成です。
トラ杢が浮き立って、楽器としての美しさを初めて実感できる瞬間です。


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# by violino45 | 2020-02-14 07:31 | 製作記 | Comments(2)

最新作ヴァイオリンのご紹介

気が付けば2月も第二週、今年も時間の流れに追い付いていけない状況ですが、最新作のヴァイオリンが完成しましたので、写真にてご紹介させていただきます。

前回の記事でご紹介したホワイトヴァイオリンにニスを塗り、楽器として誕生しました。
ストラディバリ、1705年モデルです。
このモデルをラザーリ師匠からいただいて15年間、メインのモデルとして追及してきましたが、外観的にも、音色的にも、まだまだ奥が深く感じています。

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少し細目のトラ杢、繊細ですが、変化もある模様の裏板です。


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アマティ風のエフも、15年間、いろいろ試行錯誤してきましたが、時には明るい表情に見え、時には少し寂し気に見えたりもする、魅力的なモデルだと感じています。
これからも、長い付き合いになると思います。


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今回は、どんな表情でしょうか?


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コーナー部分の造形も、この15年間、悩みながらも試行錯誤してきたところです。


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ウズマキは、数年前から黄金期のストラドの雰囲気を目指していますが、15年前の楽器と見比べても、それほど大きく違っているわけではないようにも思えてきます。
モデルを変えても、自分が目指すスタイルや、内面性が自然に出てきてしまうものかもしれません。


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この楽器も、無事にお客様のもとに届けられ、喜んでいただけたようです。

末永く、音楽を楽しんでいただければ、製作者としてとても嬉しいです。


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# by violino45 | 2020-02-07 15:55 | 製作記 | Comments(2)

最新作、ホワイトヴァイオリンで完成。

少し更新時期がずれてしまいましたが、昨年の12月にホワイトヴァイオリンが完成しておりましたので、今回も写真にてご紹介します。

毎回、同じような写真ばかりで恐縮ですが、製作の記録として、できるだけ同じ条件で撮影するようにしております。
読者の皆様には、その変化を感じていただくのは難しいかもしれませんが、定点観測のように、微妙な違いを楽しんでいただければ嬉しいです。

年賀のウズマキの記事でも書きましたが、10年前のホワイトヴァイオリンと比べると、やはり大きな違いも感じますし、継続していくことで貴重な記録になると思いますので、今後も、地道に更新していきたいと思っております。(どこまで続けられるは、分かりませんが。。。)

というわけで、全景から。 今回も、ストラディバリの1705年モデルでの製作です。


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裏板は、少し細かいトラ杢の二枚板です。
アマティモデルに似合いそうな模様ですが、ストラドの繊細な部分が引き立つ感じで、気に入っております。

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対比の意味もあり、表板は少し広めの年輪の材料を使ってみました。
エフは、いつもどおり、アマティの雰囲気が残るモデルを使用しています。

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広めの年輪の表板は、木目に影響を受けて微妙なカーブを整えるのが難しいです。

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コーナーの部分の造形は、流派を見分けるポイントにもなりますし、製作者の個性や考え方が色濃く表れる部分です。


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力強く、しっかりとした輪郭を表現しながら、全体として柔らかい印象となるのが理想ですが、毎回、試行錯誤しながら仕上げています。

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ウズマキは、黄金期のストラディバリを目指していますが、時にはアマティ風になり、時にはガルネリ的なワイルドな雰囲気になることもあります。
いずれにしても、目指すのはイタリア、クレモナのスタイルで、歴代の名人の作品にはどれも共通の流れがありますので、先日ご紹介したポー川のように、雄大な流れの中で、微妙に変化していければと思っております。

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ウズマキの後頭部の造形は、ヴァイオリンの中でも好きな形の一つなのですが、この部分をスッキリと仕上げるのは毎回、時間もかかりますし、根気の要る作業です。


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まったく別の角度から見ても、破綻なく、バランスが取れたウズマキが理想ですが、なかなか難しいです。

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永遠に続く螺旋階段を上り続けるように、これからも少しずつ前進していきたいと思っております。


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# by violino45 | 2020-01-18 08:18 | 製作記 | Comments(6)

真冬のポー川の風景です

ポー川は、フランス国境近くのトリノ近郊の山々が源流で、北イタリアを西から東に650キロ横断してアドリア海に抜ける、イタリア最大の川です。


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途中、広大なロンバルディア平原を、大きく蛇行しながらゆったりと流れているのですが、クレモナの南西部近くを通過していることで、古くから船を利用した物流が盛んとなり、木材やニスの材料が豊富に流通したことが、クレモナのヴァイオリン製作が発展した要因の一つと言われています。

「川の流れはバイオリンの音」という番組で、クレモナとポー川の関係が印象的に紹介されています。
動画がネット上にアップされているようですので、ぜひ検索してご覧ください。
ヴァイオリンが好きな人には、ぜひ見ていただきたい番組です。
私自身、この番組には大きく影響を受けていまして、ヴァイオリン製作を始めたきっかけにもなっていますので、ポー川に来ると、やはり特別な思いになります。


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クレモナから、via Del Sale (塩の道)を南西に進むと、クレモナ市民の憩いの場所となっている公園に着きます。

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この公園を撮影がてら、奥さんと散策しましたので、写真にてご紹介いたします。



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自由に散策できる公園になっていて、木々越しに、川面を眺めることができます。


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ベンチに座って、ゆっくりくつろぐこともできます


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ところどころで、川面を間近に見られる場所もあります。


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夏場は、ボートやカヌーなどの水上スポーツを楽しむ光景が見られます。


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船舶関係の記念碑も、いろいろ見かけます。


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背の高い木は、ポプラです。
春から初夏になると、白い綿毛が町中に飛び回ります。
アレルギーの人にとっては、憂鬱な季節となります。


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なにげない落書き、ヴァイオリンの町ならではですね。


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猫のお世話をしているボランティアさんもいて、何匹かの猫が穏やかに暮らしています。


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隣の町に行くための橋です。
広大な河原を含めると、1km近い、長い橋です。

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左が自動車と自転車用、右が列車用です。
自転車でこの橋を渡るのは、なかなか怖いです。


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橋の近くにある、記念碑?
1928年に設置された流量計?を記念してのものでしょうか、、勉強不足で分かりません。。


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川沿いの道は、ゆったり歩くのにちょうどよい雰囲気です。


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最近設置された?アスレチック器具、子供向けらしいのですが、、つい試してみたくなります。


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長文ご覧いただき、ありがとうございました。
緑の深い季節にも、また違う視点でご紹介できればと思っております。


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# by violino45 | 2020-01-06 14:46 | クレモナ散策 | Comments(4)

本年もよろしくお願いいたします。

旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。
本年もよろしくお願いいたします。

2011年から始めたウズマキの年賀↓、今年で10回目となりました。
年々、視力が弱くなってきて、精密な仕事をするのが難しくなっているのですが、逆に、自分の中にある理想のウズマキは年々ハードルが上がっていまして、そのギャップに苦しむこともあります。

でも、こうして撮影することで、あらためて実感する問題点も多いので、半ば意地のような気持ちもありますが、今後も、年賀に限らず、クローズアップでの楽器の写真をご紹介していければと思っております。

本年もよろしくお願いいたします。_d0047461_14214182.jpg


さて、こちらが↓2011年の年賀です。
意外なのですが、今年の写真のほうがウズマキが大きく写っています。
今のほうが、いろいろな意味で気合が入っているというか、入れ込んでいるのかもしれません。
10年前の自分からの、「もう少し肩の力を抜け」という、メッセージのようにも思えてきます。

こういう発見があるのも、何かを継続していくことの良さと思いますので、10年後に向けて、また地道に歩んでいければと思っております。

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令和も二年目の今年は、オリンピックイヤーということで、日本が賑やかになるのでしょうね。
私自身は、おそらく何も変わることなく、楽器製作で明け暮れていく一年になると思っておりますが、春と秋には展示会のために帰国しますので、また皆様にお会いできる時を楽しみにしております。

皆様のご健康とご多幸をお祈りしつつ、新年のご挨拶とさせていただきました。
拙ブログを、今後ともよろしくお願いいたします。

# by violino45 | 2020-01-01 00:08 | 日記 | Comments(2)