以前ホワイトでご紹介したヴァイオリン、完成しましたので、写真にてご紹介いたします。
今回も、A.ストラディバリ、1705年のモデルで製作しました。

裏板は1枚板、伸びやかなトラ杢のカエデ材を選びました。
少し模様に変化があるのも、私好みです。
エフ字孔は、ストラディバリモデルですが、少しアマティのスタイルも入った、柔らかい印象のモデルです。
師匠のニコラ・ラッザリさんから受け継ぎました。
裏板の、コーナー部分の仕上げです。
ストラドモデルらしい、キリっとしたコーナーですが、柔らかさも感じる造形に仕上げています。
スクロールは、ストラディバリの黄金期らしい、端正な中に、アグレッシブな動きも感じる造形を目指しています。
正面から見た雰囲気も、ストラドモデルらしい、動きのあるラインです。
斜めから見てもバランスが良いように仕上げます。
ここからは、別の角度からご覧ください。
照明が変わると、また雰囲気が変わります。
裏板のトラ杢が、引き立って見えます。
横板は、裏板と同じ木材を使いましたので、模様がつながって見えます。
コーナー部分です。
パーフリングの先端が内側を向いているのが、ストラドモデルの特徴です。
表板は、造形の美しさとともに、音色に深く影響する部分です。
弦の振動が駒を経由して表板に伝わり、楽器全体が響きますが、エフ字孔の役割も大きいです。
表板に穴が開くことで、適度に強度が下がり、自由に振動しやすくなるとともに、ボディ内部と外部を空気でつなぐことで、低音が響きやすくなります。
そして、ボディ内部に魂柱を立てる際にも、このエフ字孔が重要な役目を持ちます。
そして、美しいデザインは、わずかの変更も許されない完成度で、古今東西、ヴァイオリン製作者の喜びであるとともに、悩ましい存在でもあります。

スクロールも、照明を変えると、雰囲気が変わって見えます。

ヴァイオリンのパーツの中でも、特に3次元的な造形なので、いろいろな角度から見てもバランスが崩れないように仕上げます。
背面からの見た目も重要です。
長文ごらんいただき、ありがとうございました。
このヴァイオリンは、先日のクレモナモンドムジカにて、ALI(イタリア弦楽器製作家協会)のブースで展示しました。
来場者の方からは、見た目も音も、良い評価をいただきました。
このヴァイオリンは、神田の宮地楽器本店、Music Oneにて展示されております。
ご覧いただけましたら嬉しいです。
クレモナは、すでに冬のような気候になってきました。
猫たちは、くっついて温まってます。
ちび丸は、時々、私を休憩させるように、膝に上ってきます。