最新作ヴァイオリンのご紹介

かなり前にホワイトヴァイオリンでご紹介していた楽器が、ようやく完成しましたので、写真にてご紹介いたします。

アントニオ・ストラディバリ、1705年モデルです。

d0047461_14004279.jpg

今回はお客様のご要望もあり、少し濃い目の色合いのニスとなりました。

d0047461_14005231.jpg


裏板の、コーナーの部分です。
コーナー全体の造形と、パーフリングの先端の向きが、ストラドモデルの特徴を示していますが、オリジナルストラドというよりも、やはり、ラザーリ師匠のスタイルを受け継いで製作しております。
もちろん、根底には、昨年他界されたモラッシー先生のスタイルが流れております。
最近は、私のオリジナリティも少しずつ自然に出てきていまして、ストラディバリ、モラッシー先生、ラザーリ師匠、私という4つの要素が、微妙にバランスを変えながら混ざり合って、一つの楽器として生まれてきている感じです。

d0047461_14010499.jpg

d0047461_14011303.jpg


エフは、やはり、ラザーリ師匠から受け継いだ、アマティ的な雰囲気の造形がもっとも色濃く出ています。

d0047461_14012808.jpg

d0047461_14013783.jpg


ウズマキは、数年前までは、モラッシー先生のさらに師匠である、ガリンベルティのモデルで製作しておりましたが、この数年は、黄金期のストラドを意識しての製作となっています。

d0047461_14022476.jpg

d0047461_14021482.jpg

d0047461_14020428.jpg


モデルはストラディバリですが、製作スタイル、仕上げはラザーリ師匠のテイストを常に目指しています。

d0047461_14023506.jpg

d0047461_14024540.jpg


クレモナで楽器製作を修業して19年目となり、いろいろな大先輩のスタイルに影響を受けていますが、あらためて見返すと、ストラディバリを根底としつつも、やはり、直接の先生であるラザーリ師匠のスタイルを目指すことが私の本流で、その中で自然にオリジナリティが生まれてきたことが分かりますし、これからも、その方向性で修業していくことに変わりないと、あらためて思い至った気がしています。

今回の楽器は、すでにお客様の元にお届けいたしまして、幸いなことに、外観も音も気に入っていただけたようで、安堵しているところです。
これから、どのような楽器に成長していくのか、生みの親として見守っていきたいと思っています。

d0047461_14015456.jpg

d0047461_14014607.jpg


# by violino45 | 2019-09-15 14:45 | 製作記 | Comments(2)

弦楽器フェアに向けて、もう一台のヴァイオリン。

先日、弦楽器フェアに出品予定のヴァイオリンをホワイトでご紹介しましたが、もう一台、製作中のヴァイオリンがありますので、ご紹介いたします。
このヴァイオリンも、弦楽器フェアに出品させていただく予定です。

今回も、裏板は二枚板での製作です。
私は、変化のあるトラ杢のカエデを裏板に使うことが多いのですが、今回のトラ杢は特に変化が大きく、ワイルドな印象のカエデ材です。
ミニカンナで、アーチを削っていきます。


d0047461_06002425.jpg


二枚板は、センターラインが明確に見えますし、トラ杢も左右で対称なので、アーチの造形はバランスを取りやすいです。
また、二枚板は、音響的にも左右のバランスは取りやすいですが、一枚板と二枚板、どちらが音響的に有利ということはなく、良い木材を使い、その特性を最大限に活かせるかどうかが、楽器の音響にとって重要です。


d0047461_06005054.jpg



スクレーパーで、アーチを仕上げます。
ワイルドなトラ杢が、見えてきました。

d0047461_06005735.jpg


ニスを塗ったらどんな感じに仕上がるのか、なかなか予想がつかないトラ杢ではあります。

d0047461_06010623.jpg


厚み出しの工程を経て、

d0047461_06011533.jpg


ボディを閉じる段階までくると、音響に関わる根幹の作業は終わります。
もちろん、最終的に弦を張るまで、音に影響のある作業は続きますが、ボディの完成度がやはり最も重要ですので、膠付けする前に何度も確認することになります。


d0047461_06012382.jpg

いつもながらダイジェストなご紹介で失礼しました。
次回はホワイトヴァイオリンでのご紹介になる予定です。

クレモナは一気に気温が下がり、長袖の生活となりました。
日本はまだ残暑でしょうか? 皆さまご自愛くださいませ。


# by violino45 | 2019-09-11 06:29 | 製作記 | Comments(2)

ホワイトヴァイオリンと、ハイビスカス

残暑お見舞い申し上げます。
クレモナも今年はアフリカ熱波の影響もあり、夏らしい、とても暑い日が続いております。

暑さのせいだけではないのですが、いろいろあって、仕事のペースが大幅に落ちてしまい、心穏やかではないのですが、でも、急いでしまって楽器のクオリティを下げることだけはしたくないので、じっくり仕上げていきたいと思っております。

今回は、初夏から夏にかけて製作していたヴァイオリンがホワイトで仕上がりましたので、ご紹介させていただきます。
このヴァイオリンは、たぶん、11月の弦楽器フェアにてお披露目させていただく予定です。

いつものように、A.ストラディヴァリ、1705年モデルで製作しました。


d0047461_05215346.jpg


裏板は、アーチ作業の時にもご紹介しましたが、端正なトラ杢の二枚板です。
以前、モラッシー先生の工房で気に入って購入したものですが、程よく乾燥してきたので、今回使ってみました。

d0047461_05220251.jpg

d0047461_05221820.jpg

d0047461_05221066.jpg


裏板のパーフリングのコーナー部分です。
ストラドモデルの場合、コーナーの中央を向くのではなく、少し内側に向けて傾けるのですが、その造形は、技術力とセンスを問われる部分です。
うーん、、もう少し内側に向けても良かったですね、、、

d0047461_05222766.jpg

d0047461_05223578.jpg


エフは、単独で存在するのではなく、アーチの膨らみや、コーナーの造形との融和性が大切です。

d0047461_05224565.jpg

d0047461_05225304.jpg


ウズマキは、今回も黄金期のストラドを目指しておりますが、先日、本物のストラディヴァリを手に取って拝見する機会があり、それ以降、またまた思い悩む状況になっております。

d0047461_05230723.jpg

d0047461_05231638.jpg

d0047461_05233829.jpg


後頭部の流れるような造形は、いろいろな流派によって目指す方向性が違うので、答えは一つではないのですが、毎回、少しずつ変えて試しているところです。


d0047461_05232428.jpg



ここで、久しぶりのアンモナイト師匠の登場です。
2008年ごろ?にミラノのアンティーク市で購入して、当ブログでも時々登場しておりました。
師匠、今回のウズマキはどうでしょうか?
「まだまだ、だね」
はい、修業して出直します。。

d0047461_05233183.jpg


さて、気を取り直して、タイトルにあったハイビスカスですが。
友人の製作家の坂本忍さんにお土産でいただいたハイビスカスの苗木を、春から育てておりました。

グラスに水を入れて放置しておくと、少しずつ芽が出てきました。

d0047461_05240285.jpg


根が数本出てきたところで、鉢に植え替えると、元気よく成長を始めて

d0047461_05241176.jpg


暑くなるとともに、立派な観葉植物に。

d0047461_05250969.jpg


そして、気が付くと、小さなツボミが一つ。

d0047461_05242150.jpg

ここからが長くて、二週間くらいしたら急に大きくなって。

d0047461_05242911.jpg

翌日には見事に開花しました。

d0047461_05250037.jpg

d0047461_05245203.jpg

でも、ハイビスカスの花って、一日しか持たないのですね、、、翌朝にはしおれてました、、なんと儚い。。

ですが、あの木の切れ端から芽が出て、根が張って、ここまで成長して花が咲くまでを見ることができて、感激でした。
でも、それ以降、ツボミがまったく出てこないのです、、今年の夏は一つだけの花だったのでしょうか?
一つ咲いただけででも奇跡だったのかもしれません。


# by violino45 | 2019-08-30 06:05 | 製作記 | Comments(4)

リサイタルのお知らせと、次回作ヴァイオリンのご紹介

今回は、私のヴァイオリンを演奏いただいているヴァイオリニスト、杉本果凛さんのリサイタルをご紹介させていただきます。

【杉本果凛 ヴァイオリンリサイタル】
2019年 10月6日(日)14時開演(13時半開場)
紀尾井町サロンホール
東京都千代田区紀尾井町3-29 紀尾井町アークビル1F

当日券は1000円ですが、以下のメールアドレスに、私のブログかFacebookを見た旨をご連絡いただければ、招待券を郵送いただけるそうです。
その際は、お名前、住所、チケットの枚数の明記をお願いいたします。
karin.ticket@gmail.com (杉本伸子宛)

杉本果凛さんは、2013年に、フルサイズのヴァイオリンに持ち替えるタイミングで楽器をお届けしたお嬢さんです。
まだプロの演奏家としての活動はされていないのですが、今後の活躍を期待しています。

私自身は帰国のタイミングが合わず、残念ながら聴けないのですが、ご都合が合いましたら、ぜひご来場いただければ嬉しいです。
このチラシに写っている楽器が、私のヴァイオリンです。
製作してから6年間弾き込んでいただいて、音も馴染んできているように思います。

d0047461_05590551.jpg


さて、先日ホワイトでご紹介したヴァイオリンは、現在ニス塗り中ですが、次回作のヴァイオリンを現在製作中ですので、少しご紹介いたします。
今回の裏板は二枚板で、比較的明確なトラ杢のカエデ材を使いました。

まずは丸ノミでの荒削りですが、夏場の作業としてはなかなかハードなものとなります。
暑さの中では、集中力の維持が難しいですが、この段階でバランスを整えておかないと、後の作業が大変になりますので、気合を入れて削ります。

d0047461_05592606.jpg

そして、ミニカンナでのアーチ削り作業です。
二枚板は、左右対称に見えるので、左右のバランスは取りやすいのですが、ハギ合わせのラインに目が惑わされて、均等な膨らみを作るのが難しい面もあります。

d0047461_05593628.jpg

部分によって、サイズの違うミニカンナを使い分けて、アーチを少しずつ整えていきます。

d0047461_05594462.jpg

スクレーパーで、アーチを仕上げます。
面白いもので、表面が滑らかになると初めて見えてくるアーチの不具合もあるので、この段階で再びミニカンナで削りなおすこともあります。


d0047461_05595253.jpg

逆カーブと順カーブを、いかに統合して一つの造形として成立させるか、美的観点と音色作りの観点、両方を追求しながら追い込んでいきます。

d0047461_06000032.jpg

日本も暑い日々が続いているようですね、熱中症には気を付けて、ご自愛くださいませ。

# by violino45 | 2019-08-04 06:54 | 製作記 | Comments(2)

58 & ホワイトヴァイオリンのご紹介

7月12日、今年も無事に誕生日を迎えることができました。
この一年も、お世話になった皆様に感謝しつつ、過ごしていこうと思っております。

d0047461_04532202.jpg

50代は、あっという間に過ぎていくような感覚もありましたが、最後の数年間は、数字の進みがゆっくりなような気もします。
それだけ、体力的にも、仕事の面でも、生きていくことの重みが増していることなのかもしれません。
でも、矛盾するようですが、一年が過ぎるのが年々早く感じられるのも事実です。
いずれにしても、大過なく過ごしていられるのは、やはりとても幸運なことだと思います。

さて、今回の写真は、ギターを持ってみました。
以前も何かの記事で書いたと思いますが、私自身の音楽との出会い、そして深くのめり込むきっかけになったのはギターでした。
5月の池袋の展示会の記事で、その出会いに導いていただいた小学校の先生をご紹介しましたが、その出会い以降、ある時期はストイックにテクニックを修得し、ある時期は仲間を集めてバンド活動に熱中したこともありました。

10代の中頃は、畏れ多くも、このままギタリストになるような人生を想像してしまうほど、時間を割いて練習していた時期もありました。
ただ、そのような大それた夢が実現するほど甘い世界ではなく、ある時期からは、仲間と時々セッションすることがなによりも楽しい、アマチュアギタリストの道を歩くことになりました。

10代から20代にかけては、やはりかなり練習しましたので、それなりに指も動き、難しい曲も弾けたのですが、放送局の仕事が忙しくなり、ギターを弾く時間がほとんどなくなってしまうと、あっという間に腕は衰えて、30代は、時々つま弾く程度になってしまいました。

その頃にヴァイオリン製作と出会い、イタリア留学を目指して、仕事をしながら独学で製作の勉強を始めたので、さらにギターを弾く時間は減りましたが、その頃に出会った製作家の大久保さんもギター奏者だったことから、ヴァイオリン談義とともにギター談義も楽しく、どちらかというと演奏するよりもギターの話で盛り上がり、その流れに触発されて、私が子供の頃から憧れていたギタリスト、ドック・ワトソン氏が使っていたギターを何本か購入することになりました。

d0047461_06170862.jpg


今回の写真のギターも、大久保さんと一緒に、大雪の降る中、宇都宮の楽器屋さんまで買いに行った楽器でした。(ギャラガー/ドック・ワトソンモデル)

40歳になり、ギタリストになることと同じくらい大それた決断をしてクレモナに渡ったのですが、ギターを手元に置いておかないと、一生ギターを弾かない人生になってしまう気がして、このギターだけをクレモナに持ってきたのでした。

とはいえ、クレモナでの修行時代、そしてプロになってからも、生活の全てを楽器製作に注ぎ込んでいるような状況が続いておりますので、ギターの腕は年々落ちていくばかりで、楽器がかわいそうだなと心底思う日々が続いています。

また、せっかく10代の頃に真剣に練習した痕跡が、まったく残っていない状況も残念ですので、実はこの数年、少し集中して練習して、記録に残すようなことを企んではいるのですが、少し弾けるようになった頃には帰国の時期が迫ってきて、ギターを弾くどころではなくなってしまう状況が続いていました。

でも、気がつけばあと2年で還暦ですし、ここで本気にならなければ、そういうチャンスは永遠に失われるのではないかという危惧を感じ始めたので、今年こそはと、少し練習を始めたところです。
と、説明がとても長くなってしまい恐縮でしたが、今回の写真がギターなのは、そういう理由です。

練習しても、記録に残せるほどの演奏にはならないかもしれませんが、でも、気が向いたら、こっそりアップするかもしれません。。


さて、長くなってしましましたが、先日、製作途中をご紹介していたヴァイオリンがホワイトで仕上がっておりますので、写真でご紹介いたします。

いつもどおり、ストラディバリ、1705年モデルです。


d0047461_04534561.jpg

今回は、2枚板の楽器です。
少し変化のあるトラ杢で、ニスを塗った時にどのような雰囲気になるのか、楽しみです。


d0047461_04535405.jpg

d0047461_04544907.jpg


d0047461_04543929.jpg


アマティ風のエフもいつもどおりですが、前回製作したクレモネーゼの影響が少しだけ出ているかもしれません。



d0047461_04562397.jpg


d0047461_04555353.jpg


d0047461_04554320.jpg


裏板のコーナー部分の造形です。

d0047461_04542921.jpg


d0047461_04541887.jpg

d0047461_04561216.jpg


ウズマキは、この2年間取り組んできた、黄金期のストラディバリのモデルですが、正直、どの程度、目標に近づいているのか、よく分からなくなってきました。
いずれにしても、毎回、最高のものを目指して集中して取り組むしかないのですが。

d0047461_04564492.jpg

d0047461_04563310.jpg

d0047461_04565466.jpg


後頭部も、毎回悩むところです。


d0047461_04560480.jpg

いろいろな角度から見ても、破綻のないような造形を目指していますが、それがなかなか難しいです。


d0047461_04545877.jpg


d0047461_04552145.jpg

長文御覧いただき、ありがとうございました。
また来年の7月を目指して、健康に気を付けながら精進していきたいと思っております。
今後ともよろしくお願いいたします。


d0047461_04553214.jpg



# by violino45 | 2019-07-12 06:18 | 製作記 | Comments(8)