バイオリンの形に切り出した後は、丸ノミで全体を荒削りして整えます。
この段階では、まだまだ余分な肉をざくざく削り取るだけですので、あまり考えずにひたすら肉体労働です。
でも、以前も書きましたが、この荒っぽい削りの中でも、バイオリンのアーチは常に意識していて、自然な隆起を描くようにしないと、後の作業に悪影響を与えますので、荒い作業なのですが実はデリケートです。
この段階で、木材のいろいろな欠点、節や虫食い、染み、などが出てくることが多いので、ひたすら祈り続けます。
もし、虫食いの穴が出てきたら、この時点でこの材料はサヨウナラです。
表板をノミで削った瞬間、材料の特性を感じ取ることができます。
ノミに微妙に伝わる手ごたえ、音などで、質の高い材料かどうか、最終的に判断します。
もちろん、選んだ時点で、楽器用材として合格という判断はしていますので、それ以上の微妙なクオリティの話ですが。
良い表板は、削った部分が微妙に透明感があって、キラキラと光ります。
良い音が出そうな予感に、気持ちが高揚する瞬間でもあります。
# by violino45 | 2006-10-30 17:37 | 製作記 | Comments(4)