菊田ヴァイオリン ~ blog ♪~:製作記
2024-02-20T07:18:50+09:00
violino45
菊田 浩
Excite Blog
新作ヴァイオリン 試奏動画と写真でご紹介
http://violino45.exblog.jp/29890677/
2024-02-20T05:48:00+09:00
2024-02-20T07:18:50+09:00
2024-02-20T03:37:49+09:00
violino45
製作記
前回の動画と収録日が同じなので、曲目は同じなのですが、曲順を変えてみました。
一曲目の、ナイジェル・ヘス作曲 「ラヴェンダーの咲く庭で」は良い曲ですし、私のヴァイオリンの特色が良く出た録音になったと思いますので、ぜひご視聴いただけたら嬉しいです。
演奏は3曲ですが、その後に、ヴァイオリンを写真で紹介した動画を紹介しました。
1・ナイジェル・ヘス作曲 「ラヴェンダーの咲く庭で」
2・クライスラー作曲 「前奏曲とアレグロ」、から冒頭部分
3・フリアン・プラサ作曲 「ダンサリン」
4・ヴァイオリン紹介動画「ラヴェンダーの咲く庭で」
動画はこちらです
https://youtu.be/mm2E1F8KDsQ
ご視聴ありがとうございました。
伊藤さんは2018年からクレモナに在住、ソプラノ歌手として、オペラ、バロックなどの演奏会でのソロ活動の他、ヴァイオリニストとしてもイタリア各地で幅広く活躍されています。
詳しいプロフィールは、こちらのオンラインサロンのサイトからご覧いただけます。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/374495
オンライン受注でのヴァイオリンの音入れ、アレンジなどの仕事もされているそうです。こちらのサイトでご覧いただけます。https://coconala.com/services/929202?ref=profile_top_rating
各種リンクは、こちらから。https://linktr.ee/rei.soprano.violin
では、写真でヴァイオリンをご紹介いたします。
今回も、ストラディバリの1705年モデルで製作しました。
裏板は一枚板、位置によってトラ杢の傾きが変わっている、珍しいタイプのカエデを使いました。
こういう、変化のあるトラ杢は私の好みで、見つけたら、なるべく購入するようにしています。
エフ字孔も、いつもどおり黄金期のストラドに少しアマティのスタイルが混ざったモデルを使用しています。
ウズマキも黄金期のストラドのスタイルですが、今回はいつもより少し楕円を意識して、動きのある造形を目指しました。
別角度から、光の当て方を変えると、雰囲気も変わって見えます。
エフ字孔は、アーチの途中に位置するため、立体的な造形の中で、どの角度から見ても安定した美しさが求められます。
コーナー部分のパーフリングは、精密さとともに、バランスの取れた造形が必要となります。
新年の投稿ではホワイトでご紹介したウズマキ、ニス塗りをするとこんな感じとなります。
後ろから見ても、破綻せず、バランスの取れた造形となるように仕上げます。
数十年後、数百年後まで、このラベルが残っていたら嬉しいのですが、、。
早いもので、2月ももうすぐ終わり、猫たちも春の訪れを待っている表情です。
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「横板」の作業風景を動画でご紹介しました。
http://violino45.exblog.jp/29833218/
2024-01-28T15:15:00+09:00
2024-01-28T15:15:49+09:00
2024-01-27T16:09:15+09:00
violino45
製作記
ヴァイオリンの中でも、縁の下の力持ち的な存在で、なかなか目立たない「横板」ですが、非常に重要な部分です。
横板がしっかりしていないと楽器が鳴りませんし、長い年月の間に楽器全体がゆがんでしまいます。
今回は、そんな横板にフォーカスを当てて、動画でご紹介します。
3分ほどの映像になります、ご覧いただけたら嬉しいです。
https://youtu.be/7-ikHI_9Vz8
ご視聴ありがとうございました。
では、動画のキャプチャー画像を見ながら、少し補足説明させていただきます。
横板は、裏板から切り出すか、市販されているものを使います。
どちらも、少し厚い状態ですので、まずはカンナで削って薄くしていきます。
仕上がり厚さに近づいたら、スクレーパーで少しずつ削り、仕上げていきます。
私の場合、仕上がりまで約0.1ミリの厚みに近づいたら、スクレーパーで作業します。
厚みゲージで測定しながら削っていきます。
ヴァイオリンの場合、1.2ミリ~1.3ミリの厚さにすることが多いです。
厚過ぎると、曲げづらいですし、楽器が重くなりますが、逆に薄過ぎると、構造的に弱くなりますので、兼ね合いが難しいところです。
内型に貼り付けたコーナーブロックを、ヴァイオリンの形に削ります。
この時点で、ヴァイオリンのシルエットが決まってしまいますので、精度が要求される作業です。
横板を、水に濡らします。
木材に水分を含ませることで、柔らかくなり、曲げやすくなります。
水に濡らすと、トラ杢が浮き出て、綺麗に見えます。
横板曲げ用の鉄ごて(ベンディングアイロン)は、200度Cくらいに熱しておきます。
動画でご覧いただきましたが、水滴を落とすと、瞬時に弾かれて球が転がるような温度です。
熱過ぎると、横板が焦げてしまいますが、熱さが足りないと、なかなか横板が曲がらず、割れてしまう原因となります。
濡らした横板を、少しずつ押し当てて、曲げていきます。
力を入れすぎると、トラ杢に沿って割れてしまいますので、慎重に作業します。
コーナー近くの、カーブが強い部分は、ブリキ板を使って押し当て、割れを防ぎながら曲げていきます。
一気に曲げてしまうと割れやすいですが、力を加えないとなかなか曲がりません。
また、トラ杢の深さによっても割れやすさが違うので、木材をよく観察することも重要です。
曲げ終わった、センターバウツ部分の横板です。
ここまで来ると、割れの心配もなくなり、一安心です。
削ったコーナーブロックにピッタリ合うまで、横板を精密に曲げます。
横板の曲げが甘いと、シルエットが崩れたヴァイオリンになりますので、地味ですが、重要な作業です。
キレイに曲げ終わったら、コーナーブロックにニカワで接着し、クランプで固定します。
この部分が、この先に続く、ヴァイオリン製作工程すべての土台となります。
上下バウツの横板も、同様に曲げていきます。
可能な限り、内型のカーブにピッタリ合うように曲げることが重要です。
曲げが終わり、接着前の上下バウツの横板です。
この時点で内型とピッタリ合ってなくても、強引に内型に押さえつけて接着することも可能ですが、不要なテンションが横板に残った楽器は、音にも影響が出ますし、将来的に、ゆがみが出る原因となりますので、精密に曲げることは大切です。
上下のコーナー部分は、左右の横板が隙間なく密着するように合わせます。
内型と横板に隙間が無いように、また、垂直を保つようにコントロールしながら、コーナーブロックに接着します。
動画をご覧いただくと分かりますが、この作業の時は、手が3本欲しくなります(笑)
横板が完成しました。
このアウトラインを裏板と表板にトレースして、ヴァイオリンの形が誕生していきます。
普段は、表板や裏板、ネックなどが表舞台で目立っていますが、「横板」無しではヴァイオリンは存在できない、大切なパーツですので、時々は、目を向けてあげてくださいませ。
寒い季節、猫たちはそれぞれ温かい場所を探して落ち着きますが、
ビッキーは他の猫の所にすぐに侵入します(笑)
でも、最後は仲良く一緒に寝てしまいます。
気がつくと、今度はクロ丸が侵入してました。
ちび丸だけは、寒い季節でも一人で澄ましてます。
私自身は、工房に引き籠ってばかりでは体力が低下していくばかりなので、今年は、少し寒い季節から少しずつ自転車でトレーニングしていくことにしました。
無理はできませんが、年間を通して体を動かしていければと思っております。
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最新作ヴァイオリン、伊藤黎さんによる試奏動画でご紹介。
http://violino45.exblog.jp/29733777/
2023-11-01T16:57:00+09:00
2023-11-01T16:57:11+09:00
2023-10-31T06:48:16+09:00
violino45
製作記
伊藤さんは2018年からクレモナに在住、ソプラノ歌手として、オペラ、バロックなどの演奏会でのソロ活動の他、ヴァイオリニストとしてもイタリア各地で幅広く活躍されています。
詳しいプロフィールは、こちらのオンラインサロンのサイトからご覧いただけます。
https://community.camp-fire.jp/projects/view/374495
各種リンクは、こちらから。
https://linktr.ee/rei.soprano.violin
今回、完成したばかりの新作ヴァイオリンの試奏をお願いし、動画で撮影させていただきました。
内容は以下の3曲ですが、最後に、ヴァイオリンの写真をスライドショーでご紹介しています。
クライスラー作曲 「前奏曲とアレグロ」、から冒頭部分
ナイジェル・ヘス作曲 「ラヴェンダーの咲く庭で」
フリアン・プラサ作曲 「ダンサリン」
動画はこちらになります。
https://www.youtube.com/watch?v=LYDe6HfJWm0
ご視聴ありがとうございました。
ご自身のヴァイオリンから新作楽器に持ち替えて演奏することは、ネックの太さ、音程のポイントや弦高、発音、運弓に至るまで、異なることが多く、なかなか大変なことと思いますが、楽器の持つ響きを最大限に引き出す演奏をしていただけて、伊藤さんには感謝しています。
伊藤さんは今春、ママになったばかりで、子育てをしつつ声楽家とヴァイオリニストの活動を続けられるとのことで、なかなかお忙しいご様子ですが、ぜひまた試奏をお願いできればと思っております。
オンラインでのヴァイオリンの音入れ、アレンジなどの仕事もされているそうです。
こちらのサイトでご覧いただけます。
https://coconala.com/services/929202?ref=profile_top_rating
では、写真でもヴァイオリンをご紹介させていただきます。
今回も、ストラディバリ1705年モデルで製作しました。
裏板は、端正な中にも、少し変化のあるトラ杢の2枚板を使いました。
コーナー部分の仕上げです。
エフ孔は、ストラディバリスタイルの中に、少しアマティの雰囲気を感じる、柔らかい印象のデザインです。
ウズマキは、ストラディバリの黄金期の作品をイメージして製作しています。
繊細さと力強さのバランスの取れたモデルで、気に入っています。
後ろからの雰囲気も少し。
雰囲気を変えての写真も少し。
ニスを塗ると、トラ杢の雰囲気も変わって見えます。
横板は、裏板と同じ木材が理想ですが、無理な場合は、できるだけ模様の似ている材料を選びます。
パーフリングの先端部分は、技術力とセンスが問われるところです。
エフ字孔の周りの造形も、ニスを塗ると光の加減で表情が違ってきます。
このラベルを使い始めて20年が過ぎました。
あと何枚、貼れるのでしょうか、、。
ウズマキの表情も、光の具合によって変わってきます。
お客様の元で、末永く音楽を奏でて欲しいと願って送り出しました。
クレモナはかなり寒くなり、暖房が欲しい季節となりました。
ビビ丸、クロ丸、ビッキーは、気がつくと固まって寝ています。
ちび丸だけは一人、冷静な目で見てます(笑)
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新作ヴァイオリン、ホワイトでご紹介
http://violino45.exblog.jp/29691752/
2023-09-12T16:27:00+09:00
2023-09-12T16:27:39+09:00
2023-09-12T12:56:43+09:00
violino45
製作記
今回もストラディバリ1705年モデルです、ラッザリ師匠から受け継いで、20年近く製作し続けているモデルです。
裏板は、中幅のトラ杢で、少し変化のある模様のカエデです。
端正な美しさのある木材を選びました。
裏板のアーチ、楽器の美しさとともに、音色にも微妙に影響しますので、木材の特性を見極めながら慎重に仕上げます。
コーナー部分の仕上げは、いつも神経を使います。
精密さは大事ですが、それにこだわり過ぎると、手作りの温かみが感じられない仕上げになりますので。
それはエフ字孔も同じで、切れ味の鋭さばかりを追い求めると、冷たい印象の楽器になります。
精密さと、柔らかさのバランスが難しいところです。
エフ字孔があることで、楽器の表情に陰影が生まれます。
ウズマキは、自然から生まれてきたような造形が理想ですが、それはなかなか難しいです。
無心に削っているつもりでも、何かの意識が頭によぎるからです。
できるだけ、平穏な気持ちで作業できるように心がけたいです。
その昔、アンモナイトが生まれてきた時のような、ナチュラルな気持ちで仕上げられたら理想かもしれません。
ネックのヒール部分は、親指が当たるので、機能性が優先されますが、、でも、この丸い部分は、製作家がこだわる造形でもあります。
長文、ご覧いただきありがとうございました。
クレモナは、来週末に「クレモナムジカ」(旧モンドムジカ)が開催され、落ち着かない季節となりました。
私も、ALI(イタリア弦楽器製作者協会)の正会員として、ブースに出展いたします。
こちらが、参加メンバーです。
師匠のニコラ・ラッザリ氏はじめ、著名なイタリア人マエストロの中に、自分や、仲間の日本人の名前(探してみてください)があるのはとても光栄で嬉しいことです。
昨年のクレモナムジカをご紹介した動画は、こちらです。
https://www.youtube.com/watch?v=UAMe9-PKw9Q
さて、クレモナはだいぶ涼しくなりました。
と言っても、日中は30度くらいになるのですが、朝晩は長袖が欲しくなります。
猫たちも、季節の変化には敏感で、寄り添っている事が多くなりました。
いつも孤高のちび丸ですが、珍しく仲間に入ってます。
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次回作ヴァイオリン、製作中です。
http://violino45.exblog.jp/29659690/
2023-08-06T17:42:00+09:00
2023-08-06T17:42:15+09:00
2023-08-06T17:11:08+09:00
violino45
製作記
モデルはストラディバリ1705年、内型に横板を貼り付ける作業から始まります。
すき間なく、張りのある曲線で横板が仕上がることが、ヴァイオリン製作の基本となります。
裏板の荒削りです。
文字通りの、荒っぽい作業ではありますが、この段階で、どこまで仕上がりのアーチに近づけられるかで、後の作業の効率も変わってきますので、腕力だけでなく、センスも問われる工程です。
とはいえ、夏場はやはり大変な作業で、体力勝負となります(笑)
ミニカンナ作業になると、じっくり落ち着いて、理想的なアーチを追及していきます。
この段階で、アーチの8割くらいは決まりますが、スクレーパーで修正できる余白を残しておくことも大切です。
20年以上使い込んだミニカンナ、まだまだ現役、というか、一生お世話になる道具だと思います。
そしてスクレーパー作業です。
ミニカンナで追い込めなかったアーチを修正しつつ、表面を滑らかに整えていきます。
表板はエフ孔が密接に関係してきますので、慎重にアーチを仕上げます。
表板のスクレーパー仕上げを、ショート動画でご紹介しました。
https://youtube.com/shorts/p1-VNtU2IOE
以前作成した、フルバージョンの動画も、ぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=rrElD_azdy0
ウズマキも、平行して仕上げています。
ウズマキの製作工程も、以前、動画でご紹介しました。
https://www.youtube.com/watch?v=FXxqa05il8Q
ボディを閉じる前の、最終確認です。
ラベルを貼り、焼き印を押します。
これで本当に閉じて大丈夫なのか?、毎回、疑心暗鬼になりますが、全てのチェックポイントを確認して、ボディの完成となります。
以上、ダイジェストでご紹介しました。
飛ばし飛ばしで失礼いたしました。
楽器の仕上げ用の毛布を作業台に敷くと、猫たちが上ってきます。
堂々とした風格で、「どいてください」とは言いづらい雰囲気です。
クロ丸も、のんびりしてます。
ビッキーとビビ丸は、いつもどおり、仲良く伸びてます。
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新作ヴァイオリン、ニス塗り前後での音色比較。
http://violino45.exblog.jp/29652525/
2023-07-28T14:56:00+09:00
2023-07-28T14:56:23+09:00
2023-07-28T06:02:13+09:00
violino45
製作記
ただ、録音の条件を厳密に同じにすることは難しいですし、私自身の演奏も不安定なので、純粋にニス塗り前後の違いが音に現れているとは言えませんが、それでも、ホワイト状態での音の特徴、ニス塗り後の音の変化については、録音からも感じていただけるのではないかと思っております。
動画は、こちらになります。
https://youtu.be/ZVVEp4fAjTI
ご視聴ありがとうございました。
音色の印象ですが、大まかに言うと、ホワイトは、木材の表面の乾いたカリカリした質感が音に現れていて、また、弦と弓の擦れるキシキシという雑音が増幅されている感じで、落ち着かない印象でしたが、ニス塗り後は、そのような弱点が程良く吸収されて、より落ち着いた、音楽表現に適した音色になっていると思います。
ただ、ニス塗り直後の乾燥が十分でないヴァイオリンは、ニスの効果が過剰に現れますので、これから乾燥が進むにつれて変化していきますが、ホワイトの時のような落ち着きのない音になることはなく、適度にニスの効果を維持してくれるものと思います。
では、完成しました「フォルマP」のヴァイオリンを、写真にてご紹介いたします。
おそらく、世の中で目にする本物のストラディバリの多くは、Pのモデルで製作されていますので、そのシルエットは、やはり見慣れたストラディバリモデルの楽器そのものという印象です。
比較のために、いつもの、1705年モデルのヴァイオリンは、こちらとなります。
裏板は、少し広めのトラ杢の、少し変化のある模様のものを選びました。
エフ孔は、いつも使用しているアマティ風のものではなく、黄金期のストラディバリのモデルを使いました。
同じく、比較のために、いつも使っているアマティ風のエフはこちらです。
ウズマキは、いつもどおり、黄金期のストラドを目指して仕上げております。
斜めからのショットです。
では、少し別の角度からの写真もご紹介します。
ニスを塗ると、よりトラ杢の深みが引き立ってきます。
コーナー部分のパーフリングは、ストラディバリの特長を尊重して、少し内側に向いた仕上げとなります。
エフ孔の周りの造形を立体的に見ると、やはり、ヴァイオリンのデザインは、エフ孔の存在なしでは成り立たないと、あらためて感じます。
駒に押す焼き印は、実は苦手な作業です(笑)
ウズマキいろいろ、見る角度によって印象が変わりますが、常にバランスが取れた造形を維持するのは、なかなか難しいです。
御覧いただき、ありがとうございました。
クレモナも猛暑が続いておりましたが、先週から一旦落ち着き、過ごしやすくなりました。
この間に、少しでも仕事を進めたいと思っております(笑)
猫たちも、相変わらずのんびり過ごしております。
クロ丸とビビ丸、仲良くひっくり返ってます。
ビッキーは、窓辺で幽霊スタイル。
ちび丸も、床に寝転んで幽霊してます。
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新作ヴァイオリン お客様による試奏の動画
http://violino45.exblog.jp/29622480/
2023-07-05T05:40:00+09:00
2023-07-05T05:40:10+09:00
2023-07-04T16:51:22+09:00
violino45
製作記
お客様は、井脇浩之さん、アマチュアとして演奏活動をされていますが、イザイやパガニーニの難曲も弾く腕前をお持ちです。
今回、ぜひ音を記録に残せればと思い、試奏の様子を録画したいとお願いしたところ、快くご了承いただきました。
曲目は、
前半が「マスネ:タイスの瞑想曲」
後半が「パガニーニ:カプリース第24番」です。
パガニーニのカプリースと言えば、アマチュアにはかなりハードルが高い難曲として有名で、井脇さんもまだまだ練習中とのことでしたが、無理をお願いして一発撮りで収録させていただきました。
動画の途中では、ホワイトヴァイオリン、そして完成したヴァイオリンの写真もご紹介しておりますので、演奏とともに映像もお楽しみいただければ嬉しいです。
動画は、こちらとなります。
https://youtu.be/Mm-xfXrEF5c
ご視聴ありがとうございました。
完成した楽器をお客様に初めて弾いていただく瞬間は、製作者は非常に緊張しますし、お客様も楽器に集中したい場面ではあるのですが、普段、こうした機会はめったにないので、無理をお願いして収録させていただきました。
幸いにも、楽器はとても気に入っていただけましたし、貴重な瞬間を映像と音に残すことができて、製作者として幸福な時間となりました。
末永く、お客様の元で良い音を響かせて欲しいと願いを込めつつ、ヴァイオリンを送り出しました。
さて、動画内でもご紹介しましたが、写真で楽器を少しご紹介いたします。
いつもどおり、ストラディバリ、1705年モデルで製作しました。
顎当てとテールピースは、お客様のご要望で、通常とは違うタイプを使用しました。
裏板は、二枚板、少し変化のあるトラ杢のカエデを使用しました。
エフ孔は、少しアマティの雰囲気を残したストラディバリタイプ。
エフにかかる感じで、ハーゼ(蝶杢)が入っていて、少し迫力というか、凄みを感じます。
同じ部分の、裏板の仕上げです。
ウズマキは、黄金期のストラディバリモデル。
このモデルを使い始めて6年ぐらい経過して、少し手慣れてきた気がしています。
別アングルからの画像をいくつか。
ニスの第一目的は、木材の保護なのですが、上手く塗れたニスは、木材の美しさを引き立ててくれますね。
パーフリングのコーナー部分は、視力の低下とともに作業が難しくなってきますが、まだクローズアップに耐える仕上がりでしょうか?(笑)
顎当ては、バーバータイプを使用しました。
通常のガルネリ型よりも、テールピースにかかる部分が多いので、楽器の中央寄りで構える奏者さんの場合、より安定するようです。
エフ孔を横から見た造形も、外観上のポイントとなります。
エフ孔から見える名前とクレモナの文字、思えば、このラベルを使い始めてから今年で20年となります。
アマチュア製作者の時代から憧れていたクレモナで、楽器製作を続けられている幸運に感謝です。
ウズマキも、理想のカーブを追い求めつつ、悩みの多い日々ですが、ひとつでも数多く作品として残せるように精進していきたいです。
背面の仕上げも重要で、同業者のチェックの目が厳しいポイントでもあります(笑)
どの角度から見ても、造形が崩れないことが理想ですが、なかなか難しいです。
ついつい、見栄えの良い角度を選んで写真を撮ってしまいます(爆)
長文ご覧いただき、ありがとうございました。
仕事中に振り返ると、ちび丸が椅子の上からこちらを眺めていることが多いです。
ちゃんと仕事をしているか、見守られているような、監視されているような、、微妙な表情です。
クロ丸も加わって二匹になると、もう仕事どころではなくなってきます(笑)、目線が痛い。
ビッキーは、夏場は固い床が冷たくてお気に入りのようです。
ビビ丸は、窓辺で風にあたってます。
ちょっと凛々しい表情ですね。
暑い季節が続きますが、皆様、ご自愛くださいませ。
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新作ヴァイオリン、ホワイトの状態で音出ししてみました。
http://violino45.exblog.jp/29547073/
2023-04-14T13:59:00+09:00
2023-04-14T13:59:09+09:00
2023-04-14T05:33:58+09:00
violino45
製作記
通常は、ホワイトの状態では音出しをしないのですが、今回は、新しいモデルであることと、モデル以外にもいろいろチャレンジしていることから、ニスを塗る前に部品を組付けて音出しをしてみました。
せっかくなので、完成したヴァイオリンと弾き比べ、比較動画を撮影してみました。
比較したヴァイオリンは、2021年のトリエンナーレコンクールに出品した楽器で、コンクール出品時に念入りに音調整しています。
一方、今回のホワイトヴァイオリンは、仮に組み上げただけで、音色を練り上げたわけではないので、公平な比較とは言えないのですが、ニスを塗る前のヴァイオリンがどのような音で響くのか、雰囲気を感じていただけたら嬉しいです。
短いフレーズを交互に弾いている動画となります、ご覧いただければ幸いです。
https://www.youtube.com/watch?v=82aFy-YqccA
ご視聴ありがとうございました。
録音では、大きな違いを感じられなかったかもしれませんが、実際に演奏して耳元で聴いていると、その違いは明確に伝わってきます。
一言で言うと、ホワイトヴァイオリンは「良く鳴るが、抑制の効いていない、落ち着きのない音」という感じです。
つまり、乾いた木材の表面の、カサカサした手触りが、そのまま音に現れている感じでしょうか。
明るく開放的とも言えますが、、、必要以上に刺激的な高音が耳につきます。
やはり、ニスを塗って、適度に高音が抑えられた響きのほうが、潤いがあって、ヴァイオリンの音としては好ましいように感じます。
ニスが音色に与える影響については、古今東西、いろいろな事が言われていて、半ば、神秘的な存在として語られることも多いです。
でも、実際のところは、ホワイト時に不必要に響き過ぎて耳障りな音色を、ニスが上手く抑えてくれているという面が強い気がします。
もちろん、質の悪いニスを塗ると、逆効果になってしまいますので、ニスが音響的に重要だということは間違いではないのですが、出来の良くない楽器が、秘密のニスを塗ることで劇的に音が良くなることは無いというのは事実と思います。
では、写真にて、ホワイトヴァイオリンをご紹介いたします。
A.ストラディバリが黄金期に使用した、「フォルマP」のオリジナル型で製作しました。
少し広めのトラ杢の、2枚板を使用しました。
パーフリングの、コーナー部分の仕上げです。
今回、ひとつのチャレンジとして、裏板と表板のアーチを、いつもよりほんの少し低め(0.5ミリほど)に仕上げました。
見た目ではほとんど分からない変化ですが、音色には影響のある違いとなっています。
エフ孔は、いつものアマティ風のスタイルではなく、黄金期のストラディバリのモデルを使いました。
エフ孔の形、位置、アーチを含めた造形は、見た目の美しさとともに、音色にも深く影響します。
ウズマキは、いつもどおり、黄金期のストラディバリの雰囲気を目指して仕上げています。
ウズマキの背面は、目立たない部分ですが、トータルの造形として重要で、時間をかけて仕上げます。
ニス塗りが終わって完成したら、また比較しながらご紹介したいと思っております。
さて、満開だった桜も散り、日差しも強くなってきて、ビビ丸はご機嫌でお昼寝です。
クロ丸も、くつろいでます。
ちび丸は、まだ少し寒そうで、膝に温まりに来ています。
やんちゃ者のビッキー、窓を開けると、一気に天井近くまで登っていきます。
落ちないか心配になります、、。
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次回作ヴァイオリンは、新モデル「フォルマ P」
http://violino45.exblog.jp/29476997/
2023-01-22T15:35:00+09:00
2023-01-22T15:52:20+09:00
2023-01-21T07:20:18+09:00
violino45
製作記
1705年モデル、2007年チャイコフスキーコンクール受賞楽器
私自身、このモデルを大変気に入っておりまして、実績のあるこのモデルを継続して使用することで、安定したクオリティの楽器を製作できていると思います。
一方で、確実に良い結果を出そうとするあまり、新しいモデルの使用に対して消極的になっていたのも事実でした。
このあたり、製作家にとって悩ましいところです。
お客様にお届けするヴァイオリンを最高のものに仕上げるために、実績のあるモデルを使うのは良いことですが、製作家自身の成長のためには、新しいモデルにチャレンジして学び続けることも大切だからです。
そういう気持ちを察してか、長年の知人でもあるお客様の提案で、次回作は新しいモデルでの製作に挑戦させていただけることになりました。
いざ新しいモデルでの製作となると、悩みましたが、お客様とも相談して、ここは基本に立ち返って、ストラディバリが使用していた内型(フォルマ)をそのまま拝借して使ってみようということになりました。
そこで登場するのがこの本です。
ストラディバリが実際に使用していた内型を、原寸大で撮影した写真集です。
ストラディバリのフォルマと言っても、初期から黄金期に渡って数が多く、それぞれに魅力があるのですが、今回選んだのは、黄金期である1700年代に多く使われたと言われている、「P」という名の内型です。
内型の上に、Antonio Stradivari Pという文字が書かれています。
Pは、Prima(プリマ)の頭文字と言われています。
Primaはイタリア語で「最初の」という意味とともに「第一の」という意味も含んでいて、当時のストラディバリが好んで使っていたことが想像されます。
ストラディバリのお気に入りだったことは、写真のように、内型を修理しながら製作していたことにも表れていて、実際、その後の研究によると、黄金期の名器とされるヴァイオリンの多くが、この「フォルマ P」で製作されたとされています。
ちなみに、有名な1715年クレモネーゼは、「P」ではなく、少し大きめのモデル「G」(Grande)で製作されたようです。
今回、「フォルマ P」を使うにあたり、オリジナルのアウトラインを忠実に再現することを決めました。
つまり、この内型は左右が非対称なところがあるのですが、それはそのまま活かすということ、また、ブロック材の大きさや位置なども、オリジナル通りに製作することを条件としました。
ですが、ブロック材や横板を貼り付ける方式は、現代的に鉄の万力を使うことにしましたので、内型の見た目は、少し雰囲気が違うことになりました。
完成した内型が、こちらです。
この段階では、最終的にどのようなヴァイオリンになるのか、想像するのは難しいですね。
今後、このモデルで製作する楽器は、「フォルマ P」と呼ぶことにします。
実際の製作に入ります。
内型にブロック材を貼り付け、ヴァイオリンの形に削ってから横板を曲げて貼り付けます。
ブロック材の削り方によって、コーナー部分の造形が違ってきて、ヴァイオリン全体の雰囲気も変わってきます。
同じ「フォルマ P」を使った楽器でも、違う印象の楽器になるのはこうした理由によります。
横板の装着が終わり、ヴァイオリンらしい形になってきました。
やはり黄金期らしい、端正かつ力強い、美しいシルエットです。
こちらが↓、同時に製作中の1705年モデルの、シルエットです。
その違いは微妙ではあるのですが、感じていただければ幸いです。
内型に「Prima」と書かれていますが、これは、私が作った1705モデル内型の1号器という意味です。
完成した横板のアウトラインを、裏板に描いていきます。
今回は、少しトラ杢の幅が広めの2枚板を使用しました。
続きは、また次回ご紹介させていただきます。
クレモナは、寒い日が続いていて、氷点下になることも多くなりました。
ベランダからの景色も、霧でよく見えない日が多いです。
仕事をしていると、暖を求めてか、ちび丸はよく膝に上ってきます。
しばらく仕事の手が止まるのですが、良い休憩タイムとなっています。
でも、数分経つと、今度は暑くなってか、どこかに行ってしまうので、仕事の再開です(笑)
ビビ丸はいつも人気者で、他の猫たちがくっついてきます。
一歳年上のお兄さん猫、近くにいると落ち着くのでしょうか。
クロ丸も、ビビ丸にくっついて寝ていることが多いです。
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最新作ヴァイオリン 動画と写真でご紹介します。
http://violino45.exblog.jp/29399001/
2022-10-25T14:41:00+09:00
2023-01-13T04:57:59+09:00
2022-10-25T04:42:05+09:00
violino45
製作記
先日、ホワイトヴァイオリンをご紹介したばかりですが、ひとつ前に製作していた別の楽器が完成しました。
今回も、スライドショー形式で動画を作成しました。
記録映像のような4分ほどの動画ですが、ご覧いただけたら嬉しいです。
https://youtu.be/JgkDgNy_ZoQ
ご視聴ありがとうございました。
写真でもご紹介させていただきます。
今回も、ストラディバリ 1705年モデルで製作しました。
お客様の御要望により、少しだけ、ニスの色合いを薄目に仕上げました。
裏板は、お客様の御要望にお応えして、端正な美しさのトラ杢を持つ一枚板を使用しました。
もちろん、音響的に優れた木材を厳選して使っています。
裏板の、コーナー部分の仕上げです。
全体的な曲線と、突起部分の調和、そしてパーフリングがバランス良く収まっていることが大切です。
表板は、エフ孔が加わるので、造形のバランスはさらに複雑になります。
ストラディバリのウズマキは、真円のようでもあり、楕円のようでもあり、その両方の要素が上手く混在することで、優美さと躍動感が出るように思います。
ウズマキを正面から見た印象は、製作者によっていろいろな解釈が存在して、個性が出やすいところです。
私は、流れるような逆カーブ(末広がりな)を目指して製作しています。
では、別のアングルからの写真もご覧ください。
エフ孔は、正面から見ての美しさとともに、アーチに沿っての立体造形を破綻なく仕上げるのが難しいです。
ニスを塗ると、さらに曲面が強調されるので、弱点が浮かび上がってくるようで怖いです。
光の当て方ひとつで、平和的なエフ孔になります(笑)
裏板も、ニスを塗ると、ホワイトでは見えてこなかったアーチの揺らぎが現れてきて、喜びでもありますし、反省するポイントでもあります。
とは言え、ニスを塗ることで美しいトラ杢が現れてくるのは、製作者として嬉しい瞬間ではあります。
横板も同じ木材から切り出したので、統一感があります。
ウズマキも、ホワイトのスッキリした雰囲気も良いですが、ニスを塗ると、飴細工のような柔らかさが出てより味わい深くなる気がします。
どの角度から見てもバランスよく、美しい造形が理想ですが、仕上がってみると、いくつか気になる点が出てくるので、理想のヴァイオリンを作るための道のりは、まだまだ長そうです。
長文ご覧いただき、ありがとうございました。
音色については、また別の機会にご紹介できればと思っております。
青紫蘇の鉢植え、すべて枯れてしまいましたが、ビッキーには良い遊び場のようです。
でも、外は寒いので、小さいホットカーペットで暖を取ってます。
クロ丸は、普通の毛布やマットのほうが快適のようです。
ビビ丸、自力ではソファーに登れませんが、時々、乗せてあげると気に入ってくつろいでます。
ちび丸は、それぞれの猫たちの様子を、高いところから見守っているようです。
もうすぐ11月ですね、よき秋の日々をお過ごしくださいませ。
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新作ヴァイオリン、ホワイトでご紹介
http://violino45.exblog.jp/29368300/
2022-10-13T18:55:00+09:00
2022-10-13T18:57:01+09:00
2022-10-13T18:31:37+09:00
violino45
製作記
夏の間に製作記でご紹介していたヴァイオリン、ニス塗り前の状態(ホワイト)で仕上がりましたので、ご紹介します。
ワンパターンではありますが、今回もスライドショー動画を作成しましたので、ご覧いただければ幸いです。
https://youtu.be/fpNe0jhb4fs
ご視聴ありがとうございました。
では、写真でもご紹介いたします。
今回も、A.ストラディバリ、1705年モデルで製作しました。
裏板は二枚板、木目の美しさとともに、音響的に優れた木材を厳選して使っています。
横板は、裏板と同じ木材ではありませんが、できるだけ模様がマッチするものを選びます。
コーナー部分は、モデルの特徴とともに、製作者の個性が現れる部分です。
精密に仕上げます。
楽器のふくらみ(アーチ)によって、音も微妙に変化します。
今回はどんな音のヴァイオリンが誕生するでしょうか。
エフ孔の音響的な効果は、いろいろな説がありますが、空気が通る穴という機能とともに、表板が自由に振動する助けになっている役割が大きいと思います。
楽器のアウトラインから流れるアーチの曲線の中に、溶け込むように存在するエフ孔を目指して製作しています。
そして、エフ孔から見えるラベルの文字は、数十年後、数百年後に眺める人にどのような印象を与えるのか、怖さとともに楽しみも感じています。
60歳代となり、手よりも先に視力の衰えを感じるようになってきて、いつまで自分が納得のできるウズマキを製作できるのか分かりませんが、一つ一つ、丁寧に製作するしかありませんので、焦らずに、取り組んでいきたいと思っています。
クレモナも急に涼しくなり、猫たちも体調の維持が大変そうです。
秋の虫がベランダに飛んでくるので、気になるようです。
涼しくなると、やはり大理石よりもマットの上が快適のようです。
ちび丸は、工房の床の上が定位置です。
ビッキーは、ベランダがお気に入りですが、寒くなると出られないので不満気ですね。
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暑中お見舞い申し上げます & 製作記も少々。
http://violino45.exblog.jp/29280034/
2022-07-25T18:09:00+09:00
2022-07-25T18:09:31+09:00
2022-07-25T18:05:59+09:00
violino45
製作記
ヨーロッパの記録的猛暑は日本にも伝えられていると思いますが、クレモナも連日、体温を越える気温が続いておりまして、迂闊に外出すると身の危険を感じる毎日です。
ですが、早朝には少し気温も下がり、過ごしやすくなるので、体調の維持のために、自転車で出かけるのが日課となっています。
普段は、前回のブログで書きましたように、自転車用のサーキットを走ることが多いのですが、時々、田舎道をサイクリングすると気分が変わって良いです。
自宅から15分も走ると、牧草地帯をのんびり走れるコースがあるのは、田舎暮らしの恵まれたところと思います。
さて、しばらく製作記を更新できておりませんでしたが、少しずつ作業も進めております。
いつものように、内型に横板を貼り付けるところから始めます。
こちらは真っすぐな横板です。
水をつけて、ベンディングアイロンで曲げると、こんな感じになって、貼り付け準備完了です。
ニカワでブロックに貼り付けます。
横板が内型に貼り付いてしまうと大変なので、内型の側面にロウを塗って、接着されないようにします。
隙間なく接着できたら、次の工程に進みます。
猫たちも、この猛暑には参っているようで、家のいたるところに落ちています。
やはり、大理石やタイルの床の上が、ひんやりして気持ち良いようです。
ちび丸だけは、硬いところは好きではないようで、カーペットや座布団の上にいることが多いです。
ダレてますね。
この猛暑も、今日までで一段落で、明日から少し気温が下がるそうで、過ごしやすくなることを期待しています。
日本も暑い日が続くと思いますが、皆様ご自愛くださいませ。
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新作ヴァイオリン 動画と写真でご紹介します。
http://violino45.exblog.jp/29184796/
2022-05-12T12:49:00+09:00
2022-05-12T15:28:56+09:00
2022-05-12T12:02:35+09:00
violino45
製作記
スライドショー的なイメージ映像となります。
3分ほどの動画ですが、ご覧いただければ嬉しいです。
https://youtu.be/OwOBP5c3qIE
ご視聴いただき、ありがとうございました。
では、写真でも解説させてただきます。
ストラディバリ、1705年モデルでの製作となりました。
2005年にラッザリ師匠から譲り受けてから17年間、私のメインモデルとなっております。
裏板は、少し杢が細かめの2枚板のカエデ。
お客様のご要望にお応えしての選択となりました。
エフ孔の造形は、表板の膨らみと密接に関わっていますので、3次元的に曲線をコントロールする必要があります。
また、ヴァイオリンのアウトライン、特にコーナー部分の造形と調和することも大切な要素です。
裏板にはエフ孔はありませんが、アーチを削る時には、もしエフ孔が存在したらと思い描きながら作業することが多いですし、迷った時は、実際にエフ孔を描くこともあります。
ストラディバリの黄金期のスクロールは、師匠のアマティの繊細さを維持しつつ、より力強く、大胆な造形を持つ、絶妙なバランスのウズマキです。
20年間のクレモナでの修業で、少しずつ近づけているような気もしますが、生涯のテーマとして取り組んでいきたいです。
正面からの造形は、ストラディバリスタイルというよりも、ラッザリ師匠のスタイルを追求しています。
これもまだまだ長い道のりという気はしていますが。
では、少し別アングルからの写真です。
横板は、同じ木材からの切り出しではありませんが、できるだけ裏板と似たイメージになるような材料を選びます。
上手くいくと、トラ杢が連続したような印象になります。
ニスは、いわゆるオレンジブラウンカラーの、アルコールニスを使っています。
配合などは、製作学校で習ったようなスタンダートなものですが、毎回、改良を加えています。
ニスそのものよりも、その塗り方、重ね方、磨き方については、ラッザリ師匠から直接習うことができた経験が大きいです。
その内容は、言葉でも写真でも動画でも伝えることは難しいですが、いつか、頼もしい弟子に引き継げる日が来ることを願っています。
先ほどご説明した、3次元的なエフ孔の造形は、この角度からの写真で良く分かりますね。
エフ孔は、もちろん駒とも密接な関係ですし、デザイン的にも、音響的にも、ヴァイオリンの大切な要素の一つとなっています。
エフ孔から見える製作者の名前が、数十年後、そして数百年後に、どのようなイメージで覗かれるのか、それは誰にも分かりませんが、良い印象を感じていただけるような製作者を目指して、これからも精進していきたいと思っています。
ウズマキの後頭部は、あまり目立ちませんが、楽器の個性を見分けるポイントとなりますし、美観的にも重要な箇所なので、時間をかけて製作し、仕上げています。
ウズマキは、エフ孔と違って、その微妙な違いはほとんど音には影響しない部分ですが、製作者は、エフ孔と同じくらい、もしくはそれ以上にそのスタイルや仕上げにこだわって製作しています。
その理由を問われても、明確には答えられないのですが、、
盛り付けがよくない料理は、味も悪く感じるように、視覚が他の感覚に与える影響はやはり大きいので、美しく仕上げることで楽器全体の存在価値を上げるという意味は大きいかと思います。
ですが、それ以上に、数百年の弦楽器の歴史の中で、スクロールのスタイルが持つ意味は重要で、どのようなスタイルで仕上げるかによって、その製作家が歴史のどの部分に立っているかが判断され、楽器への評価も変わってきますので、音に関係ない部分であっても、時間をかけて仕上げていくのだと思います。
長文、ご覧いただき、ありがとうございました。
さらに追加情報ですが、この8年ほど、宮地楽器小金井店さんには、2011年製のヴァイオリンを見本品として展示させていただいておりましたが、この5月からは、2021年に製作したヴァイオリンを置かせていただくことになりました。
先日の、大阪での展示会でもお披露目したヴァイオリンで、昨年のトリエンナーレコンクールにも参加した楽器です。
自由に御試奏できますので、ぜひ、ご来店いただければ幸いです。
このヴァイオリンにつきましては、また日を改めて、ご紹介させていただきます。
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ヴァイオリンのセットアップ、動画と写真でご紹介。
http://violino45.exblog.jp/29148833/
2022-04-09T16:10:00+09:00
2022-04-10T00:06:23+09:00
2022-04-09T06:30:50+09:00
violino45
製作記
5分ほどの動画です、ご覧いただければ嬉しいです。
https://youtu.be/morrnsfzKb8
ご視聴ありがとうございました。
では、以下、写真で補足説明させていただきます。
ペグを、専用の道具(ペグシェーパー)を使って、所定の太さとテーパーに削ります。
鉛筆削りの原理と同じですが、仕上がりの太さやテーパーの角度は厳密で、精度が要求されます。
4本のペグを、同じ太さに仕上げます。
次に、ペグボックス側の穴を、専用の道具(ペグリーマー)で仕上げます。
微妙な作業なので、力を入れずに、指先だけで回します。
少しずつ削りながら、ペグの突き出し量を慎重に決めていきます。
この作業中は、なにか他の事を考えるのは厳禁です(笑)
うっかり穴が大きくなり過ぎたら、取り返しがつかないからです。
魂柱は、表板と同じ材質(スプルース)で、ヴァイオリンの場合は6ミリが標準の太さです。
ナイフで少しずつ削り、ヴァイオリン内部の、表板と裏板に密着するように仕上げます。
セッティングには、「魂柱立て」という道具を使い、先端を魂柱に刺し込んで保持します。
エフ字孔から入れて、所定の位置に立て、魂柱立てを引き抜きます。
セットされた魂柱です。
駒のE線側の足から3ミリ程度離れた所が標準的な位置ですが、音を出しながら微妙に位置を調整します。
魂柱は、上下ともに隙間なくピッタリ合って、しかも垂直に立っていることが重要です。
次に、駒の足をナイフで削り、表板のカーブに合わせていきます。
駒が所定の位置に垂直に立った時に、隙間が無いように仕上げます。
市販の駒は半完成品なので、ナイフで余分な部分を削り、理想の音と強度を持つ駒を目指して仕上げていきます。
弦が通る溝を、ヤスリで刻みます。
駒のカーブ、そして溝の間隔によって、4本の弦の配置が決まり、演奏のし易さに大きく影響しますので、重要な作業です。
上部ナットも、弦の溝を刻みます。
駒と同様に、弦の位置と高さが決まる重要な工程で、特に、第一ポジションでの演奏のし易さに大きく影響します。
エンドピンをセットし、
テールピースに弦をひっかけて、ペグに巻いていきます。
弦の巻き方はいろいろな方法がありますが、私は、弦を通す穴の外側に数回巻いてから、クロスさせて戻す巻き方です。
このことで、弦が滑って緩むことを防止できます。
そして、巻き終わりをペグボックスの壁に当てることで、湿度変化などでペグが急に緩む現象を軽減することができます。
残りの弦も張り、駒を立てたら音出しの準備が完了です。
音出しは、いきなり弓で弾くのではなく、まずは開放弦を何度もはじいて、音のバランス、レスポンスを確認するとともに、振動が原因でノイズが発生しないかどうかもチェックします。
問題なければ、いよいよ試奏です。
3ヶ月近くかけて製作してきたヴァイオリンですので、音出しの瞬間はとても緊張しますし、不安もあります。
実は、どんな音色で響くかよりも、とにかく無事に音が出て欲しいという、祈るような心境というのが正直なところです。
そして、無事に、十分な音量で元気に鳴ることが確認できた瞬間、不安は消えていきます。
もちろん、最初にセットした状態では、バランスや音色も不十分ですので、時間をかけて魂柱や駒を調整していくのですが、元気に鳴ることが分かった上での調整作業は、気持ちも安定して、前向きに取り組んでいける、楽しい作業となります。
(と言いつつ、最終調整ではまた悩むのですが、、)
ご覧いただき、ありがとうございました。
このヴァイオリンの写真や、調整後の音色などは、またあらためてご紹介させていただければと思っております。
さて、前回ご紹介した桜は、すでにピークを過ぎておりますが、先日、天気が良い日にベランダで少し花見をしました。
廃材の板に、コタツの足を取り付けたちゃぶ台をベランダに置き、
日本のお客様からのお土産の、栗羊羹と新茶をいただきました。
慌ただしい日常の中、桜を見ながら、少し心が落ち着いたひと時でした。
猫たちも、おやつで花見です。
4月後半には桜の木も緑一色になり、5月にはまたサクランボが実ることと思います。
また来年、この景色を見られるのを楽しみにしています。
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今年も桜が咲きました。製作も進んでます。
http://violino45.exblog.jp/29139405/
2022-03-31T15:48:00+09:00
2022-03-31T15:48:21+09:00
2022-03-31T15:09:31+09:00
violino45
製作記
二週間前は枯れ木だったのですが、
この一週間ほどで、見事に咲きました。
上へ上へと元気に伸びる枝ぶりです。
緑との対比も綺麗です。
ビビ丸も、春の陽気に誘われて、ベランダを散歩しています。
新作ヴァイオリンも、少しずつ製作を進めています。
スクレーパー作業です。
この作業も、部屋を暗くして、テーブルライトの影を頼りに削っていきます。
表板も同時に作業します。
見比べることで、それぞれのアーチのバランスを取っていきます。
滑らかに、そして音響的にも良いアーチに仕上がったら、厚み出しに入ります。
厚み出しをする前は、平面ですが、
丸のみで、かなりのところまで薄くします。
仕上がりの厚さまで1ミリくらいのところまで削り込みますので、気を抜くと危険な作業です。
表板は柔らかく、サクサクと削れるので気持ち良いですが、慎重に、、、。
この季節、毎年、シソ(大葉)の芽が出てきます。
レモンの種を植えて3年目の鉢植え、まだまだ収穫は先のようです。
ビッキーとクロ丸、植木鉢に登ってます。
私の膝に登ってくるのは、ちび丸だけですが、
時々、指を噛まれます。
甘噛みなので、痛くはないですが。
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