3度目のミッテンバルト
前回、最終音響審査と結果発表についてお知らせしましたが、その一週間後、楽器を引き取るために、再びミッテンバルトに行ってきました。
一ヶ月の間に、400キロの道のりを3往復、2400キロを走破したことになります。
今回も、いろいろな出来事がありました@_@、、、。
まず、この日は展示会の最終日だったのですが、終了時間は18時の予定で、念のため何度もメールで確認していたのですが、現地に行ってみたら、15時に変更になっていました。
私達は、かなり余裕を持って出発していたので、それでもなんとか30分だけ見ることができたのですが、クレモナから来た製作家たちの多くは、まったく展示会を見ることができなかったのは本当に残念なことでした。
ドイツでの開催なので、こういう所は本来、厳密であるはずと想像していましたが、イタリア以上にアバウトな部分が多かったのは意外でしたし、残念なことでした。
さて、気を取り直して、今回のメインである、楽器の引き取りです。
明さんのチェロは、無事に帰ってきました。
私の番が来た時、問題が発生しました。
係の人が、どれだけ探しても、私の楽器が見つからないのです(汗)。
お手上げ状態なので、私自身が会場に入れてもらい、一緒に探しましたが、見当たりません。
これは、最悪の状況になったかな?、、と思った時、係の人が、まったく別の部屋から私の楽器ケースを運んできました。
ホッとするのと同時に、さすがの私もキレかけましたが、、、そこは、笑ってコラえて^^、、、楽器の無事を確認して、受け取り完了です。
それでもいろいろ心配なので、会場を離れる前に、最終確認です。
今回、残念だったのは、アバウトな審査結果のデータしか貰えなかったことでした。
通常のコンクールでは、楽器の見た目の審査の点数と、音の審査の点数は分けて表示されるのですが、なぜか、今回は合計点だけが発表されたのでした。
これでは、自分の楽器がどう評価されたのか、まったく知ることができず、今後に活かすこともできません。
私にとって、コンクールに参加する意味の多くは、この部分ですので、この点については本当に残念に思いました。
さて、今回の旅の出来事の極めつけは、コンクールとは関係ないところで起きました。
クレモナを出発して400キロ、ミッテンバルトまであと10キロ程度まで近づいた時、突然、エンジンオイルの警告灯が点灯したので、とりあえず、近くのガソリンスタンドに停車して、エンジンを切って、自動車学校で習ったように、オイルの残量を確認したのですが、特に異常なしでした。
で、もう一度確認するために、エンジンをかけようとしたのですが、セルモーターが全く回らず、立ち往生してしまったのです。
一時はパニック状態でしたが、幸い、愛車はマニュアル車で、しかも、4人居るので、これは、押し掛けするしかないということになり、近くに居たオジサンのアドバイスでギアを2速に入れ、男3人が押して、私の奥さんがクラッチ操作をしたところ、見事にエンジンがかかりました。
とりあえず、オイル警告灯は気になりつつも、オイルそのものは問題無さそうなので、ミッテンバルトまでは行くことができました。
あいにく、その日は土曜日で、全ての整備工場は閉まっていて、お手上げでしたが、ホテルの人がメカニックを呼んでくれて、点検してもらったところ、やはりセルモーターの故障で、交換するしかないとのこと。
オイル警告灯は、表示のエラーだろうとの返事でした。
月曜日まで待ては、整備工場も開くのですが、それではミケにゃんが飢え死にしてしまうので、翌朝、なんとしてでもクレモナに戻る覚悟で、ホテルの駐車場で押し掛けして、途中、一度もエンジンを切ることなく、クレモナに無事戻ってきました。
ミッテンバルトに居た二日間、できるだけエンジンを切らないようにしていたのですが、さすがに限界があり、何度か押し掛けしたのですが、その時の貴重な映像がありますので、恥ずかしながら、、。
出張で来られていた、宮地楽器の山本さんと岩下さんにも押していただきました。
展示会の会場の駐車場は広かったので、助かりました。
あ、クレモナの仲間の、坂本忍さんも押していただきましたね。
無事に始動しました。
まさかドイツでこういう経験をすることになるとは、、、やはり、アウェイの地なのでしょうか、、。
この駐車場には、立派な菩提樹の樹がありました。
イタリア語では、Tiglio(ティリオ)と言います。
実が落ちる時に、葉っぱがヘリコプターのように回る、とてもユニークな植物です。
お釈迦様は、菩提樹の下で悟りを開いたと言いますが、、、まだまだ、私にはその道は遠いようです。
さて、前回の記事で、最終音響審査についてご紹介しましたが、ご興味をお持ちの方も多いと思い、動画でご紹介させていただきます。
冒頭~チェロ、1分15秒~ビオラ、そして、5分9秒~ヴァイオリン、です。
抜粋していますが、実際は、各楽器、20分程度の審査でした。(フレーズを変えての繰り返し)
いろいろなご感想を持たれたことと思います。
コンクールによって、独自のスタイルで審査されることには異論を挟む余地はありませんが、個人的な感想を申し上げると、やはり、歴史のあるコンクールの最終音響審査ですから、一曲を通して演奏して、楽器の総合的な能力を判断できるような方法を選択して欲しいと思うのです。
動画にあったような、短いフレーズを弾いて比較する方法は、楽器の性能を測るという意味で、一次審査くらいでは有効だと思うのですが、最終審査では、もう少し高い次元の、「音楽の表現力」を競う場であって欲しいと、私は思っています。
写真は、昨年秋の、スロバキアでのコンクール、そして、2006年の、ヴィアエニアフスキーコンクールでの、最終音響審査の様子です。
どちらも、ヴァイオリン協奏曲が演奏されています。
私の中での、コンクールの最終審査というのは、やはりこういうものを期待してしまうのです。
いろいろあったコンクールでしたが、それとは違う部分で、同時代に生きた製作家同士がコンクールで競い合い、お互いに心の中に何かが残っていけば、やはりそれは意義深いことであったのだと思います。
お互いにライバルであり、競争相手でもあるわけですが、でも、もっと深い部分で通じ合い、絆が深まっていくのは、やはり良いものだと、今回、あらためて感じました。
長文にお付き合い、ありがとうございました。
コンクールの話題は、次回が最後です。
by violino45 | 2014-06-28 07:54 | 日記 | Comments(8)
でも、ある意味うらやましいですね。
経験こそが宝だと思いますので。
「車押しがけ仲間」の友情がもっと深まりますように!!
リンリンの試験は、点数は教えて貰えませんが、試験官全員のコメントの紙を頂きました。
ともかく、皆さんと楽器がご無事で何よりでした。
いつの日か、リンリンとクレモナに行くことを夢みています。
長文ご覧いただき、ありがとうございます。
ほんとにそうですね、こういう経験は、やろうと思ってもできるものではないですので、宝物として大切にしていきたいですね。
実は、今回、早めに出発して、展示会を見ることができたのも、前回(4年前)の経験が生きているのでした、、、。(この事務局は、スケジュールがコロコロ変わって、怪しいゾ、、という)
それはともかく、、、今の世の中、一緒に車を押すという経験は貴重になりつつありますので、、、そういう意味では、壊れやすいイタリア車にも感謝、ですね。。
いえいえ、ニッコリというか、引きつった笑いでしたが、、^^、でも、無事に楽器が戻ってきた安堵感のほうが強かったですね。
リンリンちゃんの試験、コメントを貰えたのはすばらしいですね。
コンクールも、そういう機会があれば良いのですが、、多くのコンクールでは、審査員が皆、逃げるように居なくなってしまうので、、、^^。
クレモナのコンクールは、そういう場をしっかりと用意しているので、その点では素晴らしいと思います。
ぜひ、いつかクレモナに来てくださいね、お待ちしています。
なりかけて、そりゃあ
ご心配でしたでしょう。
クルマの、押しがけは
冬にこちらでは
雪道を外れたりはまったりでは
よく見ますけれど。
ご無事で何よりでした
(^^;;
そうですね、自分の楽器ケースを探しながら、数年前に、あるコンクールで仲間の楽器が紛失した事件を思い出していました、、。
もしそうなっていたら、さすがに仏の顔では居られなかったでしょうね^^。
雪道、大変ですよね。
私も、石川県に住んでいたので、良く分かります^^。
皆で協力して、危機を脱した時の達成感、ありますよね。。
クレモナに無事に帰って来られたのは、奇跡のような感じですが、、最後に、ヴァイオリンの神様が後押ししてくれたのかもしれませんね。
ミッテンバルトでの様々なハプニング、本当に大変でしたね。お疲れ様でした。
ハラハラ ドキドキの旅の様子が、伝わりました。。
でも、最後にお仲間達との記念撮影は
皆さん、とても良い表情で素敵です!
車を後ろから押す経験は、私の場合二十年位前にスキーに行った時に、雪で車が脱輪した時です。今でも記憶にあります。
菊田さんも、道中に車が停止した時はかなりパニックになったと思いますが、皆さんでパーキングで押している写真は、なんだか楽しそう?みたいにも感じました。
( かなり、失礼ですね。すいません )
何はともあれ、ご無事に帰られて本当に良かったです。みけにゃんも、首を長くしてパパやママの帰りを待っていたのでしょう。体力的にも精神的にも、お疲れだと思いますが、呉々もお身体ご自愛くださいね。
明日は、ついに七月ですねー!
また私も一つ前進したいと思います。笑
そうですね~、いろいろなハプニング、皆で怒ったり、心配したり、苦笑いしたりの繰り返しでしたが、将来的には笑い話になるようなことばかりでしたし、こういう経験を共有した仲間とは、また一つ絆が深まった気がしますので、総合的には良い旅行となりました^^。
皆で車を押してエンジンがかかる時の感動^^は、普段、便利な生活に慣れてしまった私達にとって、ある意味原点回帰というか、、やはり楽しい瞬間でした。
スキーに行って、皆で車を押す経験というのも、いわば、青春時代のお約束のようなもので^^、そこから始まるドラマも多いですよね♥
いよいよ、夏本番の季節ですね。
私も、今回、体力の低下を痛感しましたので^^、、そのあたりを課題として、この夏を乗り切っていきたいと思っております。。