コンクール参加と、いろいろ。
この数週間は、いろいろな事が重なって、なかなか慌ただしい日々が続いておりました。
そのうちのひとつが、今週からクレモナで始まる弦楽器製作コンクール、「トリエンナーレ」の準備でした。
3年に一度開催のこのコンクールですが、34カ国から355人の参加者が集い、バイオリンからコントラバスまでのエントリーの合計が462本という、世界でも最大規模のコンクールであることは間違いないと思います。
バイオリンだけでも、271本の参加と伺っております。
私は、バイオリンとビオラでの参加となりまして、昨日、仲間と一緒に提出してきました。
写真は、右から、高橋明君、私、ラザーリ師匠、奥様の伊東渚さん、日本からの参加の和田さん(日本での製作仲間でした)です。
ラザーリ師匠はコンクールには参加しませんが、楽器提出の代理人をお願いしました。
楽器は無記名で提出しますし、楽器提出は代理人にお願いしますので、書類には製作者の名前は残りません。
同時に提出する密閉された封筒の中にだけ、製作者の名前が書かれています。
公平を保つためのシステムが徹底されています。
高橋明君の楽器は、私が代理人となって提出しました。(これも、緊張します、、)
提出された楽器は、製作者を特定するサインなどがないか、内部までしっかりチェックされます。
もし、審査中に何かがみつかった場合は、その時点で失格になりますので、これも大切な作業になります。
コンクール参加の意義は、いろいろあります。
もちろん、良い成績を得ることは、大きな目標の一つです。
ですが、それ以上に、コンクールに参加する過程で多くのことを学び、より良い楽器を製作するための自己研鑽の場とすることが大切だと思っています。
普段は、なかなか本音の批評は聞けないものですが、コンクールの場は無記名審査ですので、時々、情け容赦のない評価が出たりします。
その評価には納得がいかないことも多いのですが、冷静になって分析することで、思わぬヒントを掴むことができたりもします。
それこそが、コンクールに参加する醍醐味なのかもしれません。
また、「コンクール用に特別な楽器を製作するのか?」と聞かれることもありますが、普段から100%の力を出し切っていますので、それ以上の楽器は作れません。
それ以上の楽器が作れる実力があるのなら、普段から作っています、、。
ですが、最後の音調整だけは、普段以上に念入りに仕上げます。
というのも、お客様にお届けする楽器の場合、お客様が時間をかけて好みの音色を作り出せるように、ある程度の幅を持たせたセッティングをするのですが、コンクールの場合、審査で演奏される一瞬で勝負が決まりますので、ケースから取り出した瞬間から、その楽器が持つ最高のパフォーマンスを発揮する必要があるのです。
このために、いろいろな弦を試したり、駒、魂柱を何度も取り替えたり、かなりの時間をコンクールの準備のために費やしますので、音の審査の成績が悪かった時は、製作者にとってかなりのダメージがあるのですが、こうして、全力を出し切ってコンクールに参加した場合には、必ず、何か自分の中に残るものがあるのだと思いますし、製作者として成長できる大きなチャンスだと感じています。
コンクールの結果は、月末頃に発表されると思います。
また、ご報告させていただきます。
さて、、シマにゃんの状態ですが、、前回、少し涼しくなったら手術、と書いていましたが、その数日後、突然、大出血しまして、、、、。
幸いにも病院が開いている時間だったので、即、入院、手術をしました。
やはり、ポリープが破裂したとのことでしたが、切除と止血処理が成功したのか、その後は特に出血もせず、毎日の痛い注射も効いてきたのか、少しずつ、元気も出てきた気もします。
ただ、昨年から、こういうことの繰り返しですので、、安心はできないのですが、とりあえず、安定した状態になってくれてホッとしています。
夏の間、辛い闘病生活の間に製作していた楽器でのコンクール参加になりましたので、一緒に戦うつもりで臨みたいと思います。
ミケにゃんも、以前は、どんどん近づいていっては猫パンチ合戦になっていましたが、最近は、気を遣ってか、遠巻きに見守っている感じです。
ビビっているだけかもしれませんが。
疲れるにゃ。
最後になりましたが、友人の製作家、大久保さんから差し入れが届きました。
メインは、ギターの本なのですが、、(ドック・ワトソンの特集記事があります)、でも、おもしろ食材の数々が、楽しいです。
この数週間、ほんとにストレスの山に押しつぶされそうになってましたが、この差し入れのおかげで、すごく癒やされました。。。
ありがとうございました。
by violino45 | 2012-09-17 08:07 | 日記 | Comments(16)
ミケにゃんの両腕をのばしたショット、最高です!!
お疲れ様でした。
無記名はテディベアのコンテストと
同じですね。
(私のは、変わったのを作ったと
思っても、バレます。)
ベストの音で審査に臨むんですね。
ドキドキですね。
良い結果をお祈りしています(^^)v。
しまにゃんちゃん、手術後経過良好で、
ご機嫌になりますように。
トリエンナーレ、クレモナの街はいつになく特別な雰囲気がするのでしょうか?遠い日本でも、その写真や文章でドキドキします。
コンクールに参加されるその想いが、ズーンと伝わりました。
全ての事が菊田さんにとって、素晴らしい事である様お祈りしています。
製作者さんサイドからの楽器の調整に関してのお話、とても興味深く思いました。ビオラは先日のUPされてた楽器ですね。バイオリンはどんな楽器だったのか、後ほど知る事が出来るのであれば、それも楽しみです。
シマんやん、戦っているのですね。早く落ち着いた状態になれるよう応援しています。
菊田さんも、お忙しいとは思いますが呉々もご自愛くださいね。
コンクールでの活躍をお祈りしています。シマにゃン 早く元気になるといいですね。
そうですね~、コンクールの楽器が手元にある間は、何かもっとできることがあるのではないかという気持ちと、楽器を傷つけてはいけないという緊張感で、かなりのストレスになるのですが、、提出が終わってしまうと、すでに楽器は手元に無い状態ですので、結果に対する気持ちはそれなりにあるのですが、製作者にとってのコンクールはすでに終わったような感じです。
あとは、どんな結果になったとしても、その結果が旬な間に(短いです)、どれだけ自己分析をして次の楽器に活かしていけるかが、本当の勝負だと思っています。
kawailawさんのお嬢様も、きっと、多くのことを得られたコンクールだったのだと思います。
次回が楽しみですね。
はい、見た目の審査と音の審査は、丁度50%ずつの割合になっています。
ヨッシーちゃん、かわいいですね。
私も、登り木を作ってみようかなと思いました。
ミケにゃんは、体が重くて登れないかもしれませんが、、。
そうですか~、ベアのコンクールも無記名なのですね。
でも、個性が出やすい世界だと思いますし、kanさんのように名の知れた方の作品は、見る人が見れば、分かってしまうのでしょうね。
その点、バイオリンは、かなり個性的な楽器でない限り、個人を特定することは難しいのではないかと思いますが、その分、審査も難しいのだと想像してしまいます。
さらに、音の審査となると、、、想像もできませんが、結果はともかく、審査の場で、楽器の本来の声で歌ってくれれば、それが一番だと思っています。
この時期のクレモナは、やはり独特の雰囲気ですね。
でも、気候的には一番過ごしやすい季節ですので、緊張しながらも、どこか、のんびりしたムードも漂うのが不思議です。
ビオラは、実は、先日からUPしているものではなく、ブログでは一切紹介していない楽器での参加です。
これも、公平性を損なうおそれがありますので、自主規制をしておりました。
音の調整は、なかなか難しいのですが、中庸なセッティングをしてしまうと、大きく外れることはないのですが、中庸な得点になる可能性が高いです。
上位を狙う場合は、リスクを覚悟で、ある程度的を絞ったセッティングにする必要も出てきます。
上位を狙うことが最終目的ではありませんが、こうした経験を意図的にすることで、音作りに関して成長できることが、コンクールという場の価値であると思って参加しています。
シマにゃんへのお気遣いをありがとうございます。
またご報告させていただきますね。
ありがとうございます。
コンクールに向けて、ベストは尽くしましたので、あとは、天命を待ちたいと思います。
シマにゃんが全快して、以前のように飛び跳ねてくれたら、、それはコンクールで優勝するよりも嬉しいことかもしれません。
またご報告させていただきます。
先日小学校の担任から、女の子なので、そろそろ思春期に入る、と言われました。これまでは何も考えない子どもでよかったのが、これからは、そうはいきません。
そうですよね、結果の良し悪しにかかわらず、真剣に取り組んだ分だけ何かしらの収穫があるのが、コンクールの意義だと思います。
そうですか~、これから、いろいろ難しい年頃になっていくのですね。。
でも、kawailawさんとお嬢様の様子を見ていると、いろいろなことがあっても、きっと、良い方向に行くのだと思っております。
毎回これ以上の力は出せないというところまで行きつけるところが、さらっとおっしゃっていますが、相当な努力なのでしょう。
まさに「全身全霊を傾ける」ですね。のほほ~んと生きている自分には、そんな姿が眩しく写ります。
しまにゃんのことは奥さまから伺ってましたが、手術お気の毒でした。再発のないことを心から祈っております。
しかし、最近のカラーって小型なんですね。うちにあるのはこの倍くらい大きいです(汗)。早く取り去ってあげたいですね、カラー・・・。
そして、カルピスもちなるものに目が釘付けに!初めて見ました知りました。早速検索しちゃいました(笑)。
いえいえ、実際のところは、ほんとうにベストを尽くせているのか、いつも疑心暗鬼の連続なのですが、、、でも、生きていくということは、仕事に限らず、すべてがこういうことなのかなと、極限状態で思うことができるのも、コンクールに参加することの良さなのかと思っております。
シマにゃんのことも、今までに、もっとできることがあったのではないかと、後悔することも多いのですが、健気に病気と闘っている様子を見ていると、今できることを最大限にしてあげたいと思う日々ではあります。
カラーは、市販のままではやはり大きすぎますので、耳を掻けない範囲で、最小限の大きさまで切ってあります。
このことで、足の先やしっぽくらいは舐めることができるので、少しはストレスが減っているようです。
カルピス餅、、美味しかったですよ~^^。
あっという間になくなりましたです。。
コンクール、陰ながら応援させていただいています!そしてシマちゃんのことも…応援しています!
菊田さんの楽器の音色を聴かせていただく機会があり、それからというもの菊田さんの作られる楽器は私の憧れです!私はビオラを弾くのですが、かつ40cmのものを使っているので製作日記、とても楽しく読ませていただきました。私は学生なので、菊田さんの楽器にはまだまだ手が届きませんが、いつかめぐり合えればと思っています!
はじめまして。
コメントをありがとうございました。
コンクール、そしてシマにゃんへのお気遣いもありがとうございます。
40センチのビオラの記事、なかなか更新できずにごめんなさい。
コンクールが一段落しましたら、再開させていただこうと思っております。
私の楽器も、機会がございましたらぜひ弾いていただければ嬉しいです。
またお気軽にコメントをいただければ嬉しいです。
今後ともよろしくお願いいたします。