追悼、ドック・ワトソン氏

普段、このブログでは、自分の趣味のことはあまり書かないのですが、、、

ですが、40年近く敬愛してきましたアーティストの訃報を耳にしまして、やはり、自分の人生の節目としても書いておくべきと思い、アップしました。

ですので、今回の記事は、少々マニアックな、また個人的な内容となりますことを、あらかじめお伝えしておきます。

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ドック・ワトソン氏(享年89歳、2012年5月29日没)を一言で紹介すると、アメリカのトラディショナルなフォークミュージックを卓越したギタープレイ、そして温かいボーカルで紹介し続けたシンガー、ギタリストです。

生まれつきの盲目だったドック氏は、11歳の時に、父親が手作りしてくれたバンジョーがきっかけで音楽に没頭するようになりました。

2年後に初めてギターを演奏した時には、すぐに完璧に弾きこなし、周りを驚かせたそうです。

その後、様々な音楽の影響を受けながらも、一貫して、89歳で亡くなる直前まで、トラディショナルなアメリカ音楽を紹介するスタイルを貫いた、アメリカの人間国宝のような人物です。

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ものすごく簡単に紹介してしまいましたが、、とてもブログで紹介しきれるような人物ではありませんので、、、すみません。。
書くべきことは、100倍あるのですが、、、。

私がドック氏の音楽に出会ったのは、中学生の頃でした。
小学6年生の時、担任のM先生の影響でギターを始めて、その頃は日本のフォークソングなどを演奏していましたが、中学になった頃、FMラジオから流れてきた音楽に耳が釘付けになりまして、、、すぐに録音して、何度も何度も聴いたものですが、いったいどんな弾き方をしているのかすら想像もできないような、自分にとって新しい音楽との出会いでした。

いわゆる、速弾きスタイルのギターだったわけですが、ドック・ワトソンのギターのすごいところは、ただ速いだけではなく、一つ一つの音が生きていて、魂がこもっていると感じたことでした。

まさに、「一音入魂」という言葉がふさわしい演奏に夢中になった私は、寝ても覚めても、、毎日のようにそのギタープレイをコピーしたものでした。

私の拙い文章では、ドック氏の凄さは伝わりませんので、少し動画でご紹介したいと思います。
これは、1991年に録画された、ドック氏自身による教則ビデオの映像なのですが、
ドック氏の代表曲である「ブラック・マウンテン・ラグ」が演奏されています。
私が初めてラジオで聴いたのもこの曲でしたが、、1970年代の当時、こんなビデオが存在したら、狂喜乱舞だったでしょうね、、、。

動画は、ドック氏による曲の説明から始まりますが、この、語りの声がなんとも言えず良いんですよね、、、。(すみません、完全にマニアトークに入ってます)
氏のライブアルバムでは、語りの部分も重要な音楽の要素でした。

曲は4コーラス構成で、転調後の2コーラス目は相棒のジャック・ローレンス氏のソロになっています。
ジャック氏も超優秀なギタリストですが、聴き比べると、ドック氏のギターの音の強さ、太さが分かっていただけるのではないかと思います。



次に、ドック氏のヴォーカルの魅力ということで、これも代表曲である「ディープ・リヴァー・ブルース」です。

ギターは、フィンガーピッキング・スタイルで演奏されています。
これも、ドック・ワトソンを語る上で欠かせない奏法です。
声の暖かみと渋みが、なんとも言えない魅力ですが、さらに、この卓越したグルーヴ感こそが、ドック氏の真骨頂だと思います。



さて、実は、ドック氏の息子さんのマール・ワトソン氏も優秀なギタリストで、70年代から80年代にかけて、親子でのステージ活動をされていました。
77年の来日公演には、私も友人たちと聴きに行って、サインもいただいてきました。
マール氏は、ドック氏の奥様とともに文字どおり、「目」となって手厚くサポートされていたのが印象的でした。
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ですが、1985年、マール氏はトラクターの事故のために亡くなってしまいます。

その悲劇を乗り越えたドック氏は、1988年から、息子さんの名前にちなんだ音楽祭「マール・ワトソン・フェスティバル」を開催して、昨年まで、ご自身も元気な姿で参加されていました。
このフェスティバルは、カントリーミュージック界の最大の祭典として、超一流のミュージシャンが勢揃いすることで有名です。

私も、ぜひ一度は観客として参加したいと思い、毎年、その時期が来ると悩んでいたのですが、、仕事の慌ただしさに負けて、実行に移すことはできませんでした。
そのことが、やはり後悔の念として残っています。
数年前に、ネットでチケットの予約まではしたことがあったのですが、、、、。

マニアックな話題にお付き合いいただき、ありがとうございました。

最後に、私のギターを紹介したいと思います。

ドック氏は、デビュー当時はマーティン社のギターを使っていたのですが、70年代に入ったころに、JW.ギャラガー&サンというギターに出会い、とても気に入って使い続けたことで、ギャラガーギターはドック氏のトレードマークとなりました。
(↑の動画のギターは、、残念ながらギャラガーではありませんです)
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特に、70年代中盤にドック氏とのコラボレーションで生まれた「ドック・ワトソンモデル」は、ドックワトソンファンには憧れのギターでした。

当然、私も欲しかったのですが、来日された70年代当時は高校生でしたし、そもそも、ほとんど日本には輸入もされていないギターでしたので、楽器店で見ることもなかった、まぼろしのギターでした。

時が過ぎ、、、NHKでの仕事も20年が過ぎるころ、私の友人の製作家(&ギター仲間)である大久保さんから突然電話がかかってきて、、「渋谷の楽器店にギャラガーがありますよ~」との知らせでした。
すぐに飛んでいったところ(仕事はどうした?)、そこには、夢にまで見た「ドック・ワトソンモデル」が、、、。

その場で即決でした。。

早速持ち帰って弾いてみると、、、、、
中学~高校の当時、どれだけ真剣にコピーしても、ドック氏のレコードの音にはほど遠い感じだったのですが、、ギターが本物になっただけで、かなりドック氏の音に近づいた気がしたのはビックリでした。
演奏は、、まだまだ、ほど遠いんですけどね。。

その後、クレモナへの留学が迫っていたのですが、最初に買ったこのギャラガーの感動が忘れられず、日本中の楽器屋さんからギャラガーギターを探し出して、あと2台、ドックワトソンモデルを購入してしまいました。
大久保さんには、大雪の中、水戸の楽器屋さんまで一緒に行ったり、、いつもギター探しにはお付き合いいただきましたね。。。ありがとうございました。

苦労して手に入れたギャラガーギターですが、一台は、クレモナにも持ってきています。宝物です。
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今回、私の人生の中で大きな位置を占めていたアーティストの訃報を聞いて、やはり悲しみは大きいのですが、でも、この40年間聴かせていただいた、かけがえのない音楽に感謝しつつ、笑顔で送り出したい気持ちです。

きっと、今ごろは、天国で息子さんと再会して、素敵なセッションをしていることと思います。
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by violino45 | 2012-05-31 08:33 | 日記 | Comments(16)
Commented by スーサン at 2012-05-31 10:42 x
ただただ残念です!ドックワトソン、高校以来長年のヒーローで大学卒業する位まではドックドックワトソンのLPは全部持っていました。(大昔!)楽器店の輸入担当となりギャラガーを仕入れた位です!菊田さんがブルーグラスにとても近い事は卒業制作にF5コピーを製作されていたのを見て知りました。バイオリン製作家にもブルーグラスファンがいることを知り凄く嬉しいです!
Commented by 菊田 at 2012-05-31 12:17 x
スーサンさん、こんにちは。

嬉しいコメントをありがとうございました。
LPを全てお持ちだったとは、すばらしいですね。。

そして、ギャラガーギターを輸入されていたとは、、、。。
びっくりです。。
今度、ゆっくりお話を伺わせてくださいませ、、^^。

そうなんです、、ドックワトソンがきっかけで、ブルーグラス音楽にも夢中になりまして、、バンジョーも弾いていました。
卒業製作にフラットマンドリンを選んだ理由も、今回の記事で御理解いただけたのではないかと思っております。

訃報を聞いて、あらためてドックワトソンの曲を聴き返しましたが、ギターも唄も、やはりすばらしいですね。。。
Commented by Hira-rin at 2012-05-31 14:42 x
気づいた時、クラレンス・ホワイトやジャンゴ・ラインハルトは、既にこの世にはいませんでした。

ましてや、もっと気づくのが遅れた、オイストラフやハイフェッツも同様でした。

けれども、ドック・ワトソンは違いました。高校時代から、30年以上もリアルタイムで音楽に触れることができました。本当に感謝の気持ちしか出てきません。
今頃はあちらで、マールはじめ、ワトソンファミリーで素敵な音を出しているでしょう。

昨夜は、本当に久しぶりにギターを持ちました。ドック・ワトソンを弾きました。
残念ながら、私の2台のドック・ワトソンモデルは、調整で入院中でしたが。。

そして昨日午後に、2人の音楽仲間が成田から、ノース・カロライナへ向かいました。
菊田さんはじめ、日本のドック・ワトソン好きの、お弔いの心をきっと届けてくれるはずです。
Commented by スーサン at 2012-05-31 14:52 x
それは良いですね!愚生、恥ずかしながら70年代末までは東京の殆どのライブハウスでブルーグラスのバンドやってました。懐かしいです!東京のI楽器店(NHK近くにも店舗、今のオフィス至近)の輸入担当なので菊田さんのギャラガーも愚生の輸入(15年位前)したかも?ドックワトソン~クラレンスホワイト~トニーライスと流れました。それで、今は五弦バイオリンも作っています。五弦は70年代のジョニーギンブル~ボビーヒックス今はケイシードリーセンです。世界は狭いですね!この話題はとても嬉しいです。今度東京に来られたらブルーグラスのライブハウスに行きましょうか?
Commented by 菊田 at 2012-05-31 19:35 x
Hira-rinさん、こんにちは。

Hira-rinさんのドックワトソンモデル2台は、きっと、ライブでもたくさん弾かれて、喜んでいると思います。
私ももっと弾いてあげなければと、今回、あらためて思いました。

そうですね、ドック・ワトソン氏は、70年代の当時から、すでに生きた伝説になっていましたが、その後も現役として最先端を歩み続けて、そのおかげで、私達は素晴らしいパフォーマンスをリアルタイムで体験できたのですよね。
あらためて、感謝したいですし、これからは天国でのんびりと音楽を楽しんで欲しいと思います。

ドック氏の故郷、ノース・カロライナに向かわれたお二人に、私も追悼の気持ちを預けさせていただきます。

ありがとうございました。
Commented by 菊田 at 2012-05-31 20:02 x
スーサンさん、ありがとうございます。

私のギャラガーは、アメリカから中古の状態で輸入されたものなので、スーサンさんが輸入されたものとは違うと思うのですが、、でも、、渋谷のI楽器店では、12年ほど前に、輸入されたばかりのギャラガーギターを数本、弾かせていただいたことがあります。

その時は、ドックワトソンのシグネイチャーモデルもあって、欲しかったですが、、、さすがに手が出る価格ではありませんでした、、、。

そして、その時に弾いたG-50というギターが、2007年にお茶の水の楽器店で安く売られていると、これまた大久保さんに教えていただき、代行で購入していただいたことがあります。

なので、そのギターは、スーサンさんが輸入されたものかもしれませんね。。

いろいろご縁を感じます。
ぜひ、機会がありましたら、ブルーグラスのライブにも久しぶりに行ってみたいです。。
Commented by ヴレ at 2012-06-01 00:19 x
ホント 偉大な方たちが 次々に天に召されて行かれます。
凄く残念ですが 時の流れには 逆らえませんね。
2010年に ケンタッキーで 思いがけず 生の演奏を聴けた事が宝です。
今日は 大好きなHome Againを 聞いて冥福を祈ります。
Commented by 菊田 at 2012-06-01 04:03 x
ヴレさん、こんにちは。
そうですね、今年は、特に音楽界の偉人の訃報が多い気がしますね。
そうですか~、2年前に生の演奏を聴かれたのですか!良かったですね。
私も、悩んでいないで、マールフェスに行っていれば良かったと、今後悔しています。。
Home Again、、いいですよね。
私も大好きなアルバムです。

あ、以前、ヴレさんにギャラガーの修理をお願いしたことがありましたよね。。
あのギターが、今回ご紹介した、渋谷で初めて出会ったドックワトソンモデルなのでした。。
その節は、お世話になり、ありがとうございました。。
Commented by junjun at 2012-06-01 07:12 x
菊田さん、こんにちは。

実は、このUPを読むまで ドック・ワトソン氏を知りませんでした。
でも、演奏を始めて聴かせて頂き 素敵な声と演奏に心を打たれました。

最近は、人生の中で今までにない位に毎日 クラシック、特にバイオリンの曲を聴いていますが、この演奏はジャンルを超えて
演奏自体の素晴らしさだけでなく、その人の音楽に対する真剣さ、愛情
じーんと心に訴えるものがありますね。そして、この記事を読ませて頂き、その生き様は凄いものがあったんだなと、想像します。

また改めて、しっかり自分の信念を持ち、誠実に 
一度しかない今日という日を大切に生きて行こうと感じる事が出来ました。

ワトソン信念の、ご冥福をお祈りいたします。
Commented by スーサン at 2012-06-01 10:33 x
ドックワトソンの葬儀にHira-rinさんの友人二名が向かったのですか?素晴らしい!1978年?ドックとマールワトソンにマイケルコールマンのベースで来日コンサートを思い出して合掌!
Commented by 菊田 at 2012-06-02 02:54 x
junjunさん、こんにちは。

超マニアックな記事にコメントをありがとうございました。。
私のルーツを少し御理解いただけたのではないかと思います^^。

演奏も聴いていただけて、嬉しいです。

盲目というハンデを背負ってはいても、ドック氏の心には、ギター、そして音楽を通じて、光に満ちた世界が広がっていたのだと思いますし、だからこそ、こんな煌びやかな音楽を表現できるのだと感じています。

高校生の時にコンサートに行って、サイン会で握手をしていただいた時の、手の大きさ、そのふくよかな感じは、今も忘れることができませんし、今も思い出すたびに、胸が熱くなる思いがします。

私も、ああいう手の人間になれたらいいなと、、いつも思っています。

ありがとうございました。
Commented by 菊田 at 2012-06-02 03:01 x
スーサンさん、こんにちは。

そうですね、Hira-rinさんのご友人に追悼の思いを託して、ご一緒に、ご冥福をお祈りしたいと思います。

ありがとうございました。
Commented by 大久保 治 at 2012-06-02 15:19 x
まずは ドック ワトソンのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
ついに 菊田さんのブログに初コメントする時がやって来ました。

なんか本文中に名前が出て来てしまって おしりが痒いですが、(ぽりぽり) 久々に見る菊田さんの ドックワトソンモデルに 感激いたしました。 もしかすると 今お作りのヴァイオリンのラベルに 「Doc Watson forever」と入るのではないかと 心配(期待)する今日この頃であります。
菊田さんのブログでこれだけ ブルーグラスで 盛り上がることを誰が予想したでしょうか? 又再び ギターとネコちゃんが登場することを願ってやみません。 では 「また会う日まで」
Commented by 菊田 at 2012-06-02 16:05 x
大久保 治さん、どうもどうもどうも、初コメントをありがとうございました。

そして、追悼のお言葉もありがとうございます。

私のドックワトソンへの思いを一番良くご存じなのは大久保さんだと思うので、コメントをいただけて嬉しいです。

つい先日も、古いLPをいただいたばかりでしたね、、、。
あれから一ヶ月も経たないうちに、こういう日が来てしまうとは、想像もしていませんでしたが、、、。

あ、ラベルの案、、いいですね~、、^^。

ギャラガー購入の際は、何度もお世話になり、ありがとうございました
再び、お茶の水で楽器店巡りができることを楽しみにしております。

実は、シマにゃんの調子が悪くて、、、しばらく猫ブログはお休みしたいと思っております。

ギターネタは、これからも少しずつ書いていきたいと思いますので、お楽しみに、、。

では、また逢う日まで、、、、
尾崎紀世彦さんも亡くなられたようですね、、ご冥福をお祈りいたします。
Commented by どうみつなおき at 2012-07-05 16:46 x
あまり見ることのない菊田さん番外(実は本編)に感激しています。


貼り付けられた演奏には驚きました。
テクニックの中に滲むスピリッツを感じますね。
繰り返し聴いてしまい、なぜか指が攣ってしまいました。

菊田さんの原点を知ることはとても楽しみなのです。
これからも製作以外のおはなし、たまには聞かせてくださいね。
Commented by 菊田 at 2012-07-07 16:16 x
どうみつなおきさん、こんにちは。
コメントをありがとうございました。

私の原点を、どうみつさんに共感いただけて、嬉しいです。

こうした内容は、実は書き始めると止まらないほどあるのですが、、、ブログそのものが維持できていない状況なので、、、というか、ブログの在り方について悩んでしまい、フリーズしている状況ではあったのですが、どうみつさんのコメントを拝読して、少し救われた気がしますので、そろそろブログも再開しようかと思っています。

ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

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